東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

ヴェトナムに来てみたの巻

諸事情あって突然私の夏休みが始まった。どこに行くか一瞬悩み、マイレージで空席のあったハノイへ。一昨年のスコットランドツアーも、昨年のクロアチア/トルコツアーも直前に決めたので、家族も慣れたもの。ハノイの宿とヴェトナム中南部のリゾート地ニャチャンへの国内線と宿を極めて適当に押さえて、8泊9日の旅程が完成。

羽田を朝9時前に出ると、5時間でハノイ。ヴェトナム初めて。土地勘全くなし。人がたくさん。バイクがそこらじゅうを走り回っていて、一方通行でも逆走してくるし信号無視は当たり前だから全く油断できない。クルマは始終クラクションを鳴らしてうるさい。道を横断するのも命がけ。人<バイク<クルマの優先順位がはっきりしている。

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食べ物は旨い。発酵調味料が多くて日本人の口に合う。当たり前かもしれないが野菜は新鮮。揚げ物にはコリアンダー(パクチーってタイ語だと最近知った)、シソ、ミントなどのハーブが大抵添えられていて、さっぱりするだけでなく体に良さそう。 f:id:KodomoGinko:20160806105506j:plain街がもうあり得ないぐらいカオス。嫌いじゃない。気温30度を超える路上で肉を捌いている。新鮮なうちに捌いて新鮮なうちに食べてしまう、ということなのだろう。f:id:KodomoGinko:20160806121946j:plain練炭とコンロ、鍋を持って来れば路上レストランのオープンだ。朝からオフィスの前でフォーをすすっているサラリーマンも多い。ハノイ中心部のオペラ座からちょっと裏道に入るとこんな景色が広がっている。f:id:KodomoGinko:20160806122002j:plain滞在2日目に台風がハノイの街を襲い、えらいことになっていた。f:id:KodomoGinko:20160806122711j:image

f:id:KodomoGinko:20160806122727j:imageアメリカに戦争で勝った国の誇りを感じさせる戦争博物館。鹵獲したヘリコプターの上でヴェトナム国旗がはためく。f:id:KodomoGinko:20160806122749j:plain鹵獲した戦車の後ろは撃墜した米軍機の残骸を使ったモニュメント。

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街に社会主義のプロパガンダがたくさんあるので一部の人には郷愁を誘うのではなかろうか。

いくつか日本人からすると不思議なものがあった。まずこれ。謎のジュースだが、ラベルをよく見てほしい。f:id:KodomoGinko:20160807171042j:plain鳥の絵がかいてあるのに気が付いただろうか。燕の巣入りジュース。ココナッツウォーターを思わせる甘さ。中身はこんな感じ。

f:id:KodomoGinko:20160807171110j:plainあとは何故か謎の海苔巻きが描かれたポテトチップス。よく見るとただののり塩味じゃないか。

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ハノイには一人でしみじみとウイスキーをなめるようなバーはあまりないという。家族旅行ということもあってあまりアドベンチャラスなこともできず。

そこからリゾート地ニャチャンへ。国内線で2時間ほど。白い砂と青い海が広がる。ハワイに行くと8時間かかって時差がきついが、ヴェトナムだと時差が2時間なので短期間の旅行だと体に楽だ。

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奥に見える漁村からは毎晩イカ釣り漁船がたくさん沖に出て煌々と灯りをともして漁をする。そして明け方にまた帰ってくる。そんな生活を何百年も続けているそうだ。

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帰りの免税店でKavalanのリッターボトルを80ドル、Laphoroaig An Cuan Morを95ドルでゲット。An Cuan Morは試飲で口に含んだら眠気が吹っ飛んだぐらい刺激的だった。口開けするとこなれてくるのだろうか。BalvenieのTriple Cask16年やGlenlivetのNadurraのAmerican White OakとOlorosoなど惹かれるものもあったが、いずれも信濃屋で買ったほうが安かった。さすが信濃屋。 

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結局一度も嫌な気持ちになることなく、素晴らしく心の平安を取り戻したヴェトナム旅行だった。アジアよりもハワイ、という方も多いかとは思うが、ヴェトナムいいですよ。オススメします。また行きたい。

 

 

 

 

 

Too young to die!

最近ふるさと納税モーションセンサーと脈拍センサー、それにGPSのついた腕時計を手に入れた。ランニング用に重宝しているが、個人的に一番興味深いのは睡眠の質の計測機能。センサーで睡眠に入ったことを自動で検知して、睡眠中の脈拍と腕の動きで眠りの深さを計測してくれる。


だがその結果が結構ひどいのだ。下が睡眠の質を可視化したグラフ。土、日、月の晩は深い眠り、すなわちグラフの深紫の部分があるが火曜日から深い眠りはゼロ。いや、朝起きた時の感じでもちろんわかってはいたけれど、こんなに露骨に可視化されると改めて凹む。

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平日は会食が入っていて酒を飲む機会が多くて運動できず、運動でストレス解消できないので会食後また酒飲んで結果として深酒になり、アルコールのせいで脈拍が上がって熟睡できていないのかも。酒飲むと眠れる気がするが眠りの質は悪くなる、というのを改めて思い知る。アルコールだけが悪者なのではなくて、当然仕事のストレスもあるのだが。

で、いつもと違うことをしてみる、というのもストレス解消の手段らしいし、笑うこともいいらしいので、珍しく仕事の後に予定のなかった晩、一人で映画を見に行った。金を払って映画を見るのは今年2回目、前回は「ヤクザと憲法」、今回は「Too young to die 若くして死ぬ」。宮藤官九郎の映画で、地獄で鬼がへヴィメタルバンド組んでいる、というコメディだ。

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銀座や渋谷の映画館ではちょうどいい時間から上映される回がなかったから平日夜の池袋へ。人が多くて独特の雰囲気。上映時間ぎりぎりに行くと席の3分の2ぐらいは埋まっていて、女性限定で1100円の日だったせいかほぼほぼ女性だけ、ごくわずかにカップル。私の右側には20代女子二人連れが、左側には小学校高学年の娘連れの母親。スーツ姿の男なんか俺だけだよ。

内容はネタバレになるので書かないが、若造りしたCharと野村義男カメオ出演でギターソロ対決、という予想していなかった展開で爆笑、女装したマーティーフリードマンRolly寺西が出てきた時点でRock Fujiyamaの再現か、と思って爆笑、ジミヘンとRandy RhoadsStevie Ray Vaughanの腕が山野楽器ならぬ鬼野楽器で売られていて…というくだりで爆笑、と周りと全く違うツボとタイミングで大爆笑。完全に浮く。でもそれでいいのだ。こちらはストレス解消が目的なので。Mission completed。しかし下ネタ多いので、娘連れのお母さんとか気まず過ぎたはず。死んだ直後にインコの姿に変えられて実家に戻ってみたら、葬式終わったばかりなのに弟がエロ本読んでいてがっくり、その場をお母さんに見つかる、みたいなコテコテ系。

映画の後、せっかく池袋に来たのだからと思って楊2号店で汁なし担々麺と餃子を食べ、尿酸値問題で止めていたビールを誓いを破って2杯だけ飲んで帰宅。自宅でさらに飲むことはせず、熟睡できるといいな、と思ってベッドへ。

だが残念ながら翌朝確かめると、深い睡眠をとれた時間はゼロ。おバカな映画見に池袋行って1800円払った意味なかったじゃん、と言いたいところだが、アホな映画を一人で見に行くという中年男子には結構高いハードル乗り越えるための壮大な言い訳だった、と思えばそれでよし。

そして開き直ってどうせ酒以外の手段でもストレス解消しないのならむしろ飲んでしまえ、と思うところが酒飲みのバカなところだ。

いつもの渋谷の店に行って、カウンター越しにバカ話から真面目な話もして盛り上がる。少々睡眠の質が低かろうが、楽しく酒飲んでから寝たほうがすっきりするというもの。

最初からフルスイングで前回飲んだCadenのCaol Ilaから。以前は物凄くスムースで綺麗な印象を受けたのに今回飲むと一番初めにピートが立ち上がってくる。やはりウイスキーは飲む順番で味が変わるのだな、と改めて実感。そうなるとどの順番で飲むかも重要になってくるので、また難易度上がる。
どこのボトラーのものか忘れてしまったが1981年はCaol Ilaの当たり年ということでそれをいただき、その次におそらく私好みだろう、ということでマイナー系GlenAllachieをいただき、ドンピシャでツボにヒット。こういうバーボン樽熟成系は本当に大好き。そしてAngel's Choiceの1976年蒸留38年熟成Caol Ilaをいただく。これも言われないとアイラのウイスキーとは気づかない、年数相応に丸くはなっているものの奥深く味わうと出自が分かる味。

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そしてまたCaol Ila、Teaninich。この辺になるといい加減酔いが回ってきて記憶が怪しくなってくるが、Teaninichも大好きな味。

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 好きなウイスキー何ですか、と聞かれるとDailuaine、と答えていたが、Teaninichもそこに加えていいのではなかろうかと思う。どちらもあまりにマイナー系で、その質問にそう答えるのは相当の天邪鬼だが。

 

tooyoungtodie.jp

 

 

ふるさと納税 諏訪市

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セイコーエプソン Pulsense

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リベラルデモクラティックパーリーナイト(笑)

忙しい週末だった。土曜日は5時起きでロンドンから戻ってきている先輩とゴルフのはずだったのだが生憎の雨。強行するかどうか悩んだが結局先輩がキャンセルを選択。代わりに朝から飲むかホテルで朝食でも、と思ったら結局ビジターは時差ボケでもっと寝ていたいとのこと。その代わり昼からなぜか田町の串揚屋で昼飲み。せっかくロンドンから帰国しているのだからウナギでも食べればいいのに、と思ったが結局3人で一杯380円のハイボール飲みながら串揚げ食べて旧交を温める。


でも酔っぱらうわけにはいかないのだ。酒臭い赤い顔の運動員から投票のお願いされても困ってしまうでしょ?最初の会社で仕えた上司が参院選に出ていてそれも事前の予測では当落線上、そのお手伝いをしに行くことになっていた。私の政治的指向性はともかく、6年間毎朝駅前に立って自らの政策を訴え続けることを日課にしていた元上司が当落線上にいると思うと手伝わないわけにはいかない。当選した暁には特段私にいいことあるわけでもないのだが。今回無所属で立候補しているので政党助成金(というか我々の税金だが)を受け取ることもできず、選挙運動はおそらくすべて自腹。1期6年務めた現職とはいえ落選すればただの人、持ち出したコストも全てパー。

ビラは適当に配っていいわけではなく、選挙管理委員会に届け出がなされた腕章をつけた運動員だけが証紙が貼られているものだけ配っていい、というシステム。東京近郊の大ターミナル駅で演説会、それもゴルゴ13好きの副総理とハイトーンボイスの原発反対派現職大臣が応援に来る、というヘヴィ級のイベント。人だかりがどんどん大きくなってきて、広い駅構内の通路が半分埋まるぐらいの熱気。SPがたくさんいるし、地元警察の警備課からの応援も多い。そして捜査二課の人たちも。


漢字の読めない元首相は大人気。苗字の違う太郎がもう一人いたが、集客力では10倍ぐらい違う。女性のSPがついていて、絶対この人は倒せないだろうなという妙な確信を持った。

そしてすごい動員だった演説会が終わり、最後のお願いをする県庁所在地まで電車で移動。18日間の選挙運動が終わる午後8時までラストスパート。午後からずっと立ちっぱなしで腰を低くしてビラを配っていると腰が張ってくる。しかし候補者はこれを朝から晩まで18日間ぶっ通しでやっていると思うと疲れたなんて言っていられない。

だが確実にへとへとになり、9時過ぎから有志で私の大好きなシュウマイ作っている中華料理屋で打ち上げをして真夜中に帰宅。

日曜日は早起きしてトレーニングベンチでダンベル使いながら筋トレ。その後軽くジョギング。近くのスーパーで豚バラ肉と丸鶏を買って帰宅しようとしていたら、近所の安倍首相の自宅前で黒塗りの車があわただしく動き始めたので私邸前に行ってみる。昨日は副総理、今日は総理の顔が見られるかも、だ。
警備のお巡りさんに「安倍さんがそろそろお出かけになられるのですか?」と聞いたらそうです、とのこと。マジガチの警護の人たちがセンチュリーを囲み、そろそろマンションからお出ましかな、と思っていたらさっきのお巡りさんが来て「ちょっとすみません」と言われて排除されてしまう。いや、ランニングする格好で手には肉のハナマサの袋下げているだけなんだけど。まあでも警護の人からすると図体のでかいおっさんが近くにいるだけでよろしくないのだろう。公僕の仕事の邪魔しても何なので現場を離れる。

豚バラ肉を600gほど野菜とともに焼いて、バルサミコソース作って肉にかけたランチを家族で食べ、子供と遊んでいると日曜日のイベント、都内某所でのウイスキー試飲会の時間に。6月のスコットランドツアーで仕込んできたウイスキーをみんなでいただくという会。いつもは夜カウンターでご一緒する人たちに陽が高いうちからお会いする、ってのもなかなか非日常でいい。

このCadenのJuraはアタックの強い穀物感あふれる味が力強く、フィニッシュまでは比較的短いが男らしい力強さが。樽の中ではなくてボトリングされてから20年近く熟成されているのにすごい。f:id:KodomoGinko:20160712231922j:image

そして次のCadenのSmall BadgeはCaol Ilaのいいところってどんなところ?と聞かれたら挙げるであろう美点をすべて備えたといっても過言ではないCaol Ila。美しすぎる。

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そしてアイルランドのとても女性的で優しいウイスキー、Teelingで癒される。雄弁な男性の話ばかり聞いていると疲れてしまうので。

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そして次も女性的なFarclasですよ。本当に綺麗で優しい。理想的。女性の膝の上で頭を撫でられているかのような感じ。変態か。本当にスムース。

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お次はArranのミニボトル。あまり期待しないで飲んでみたら美味くてびっくり。先日飲んだシェリー樽のArranもよかった。

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そしてまたCaol Ila2連発。こちらと次のボトルは以前すでに飲んでいて、どんな感じかわかっている。この2本を購入して帰った。

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このG&MのCaol Ilaはいつ開ければいいのだろうか。自分の家で口開けするにはよっぽど特別の機会がないともったいない気がする。熟した桃の香りがするCaol Ilaなんてそうないだろう。

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いくつかのボトルはお代わりして飲んだので、3時間で完全にへべれけに。朝筋トレしてランニングしたので背中が張っていて、酔っぱらったままマッサージ屋に行ったらうつむけになった途端に寝込んでしまったようで、気が付いたら1時間経っていて終了、と言われた。酔っぱらって寝ている間は本当にマッサージしてもらえているのかよくわからない。腰は楽になったような気もするし、そうでない気もする。そこんとこどうなっているんだろう、教えてエライ人。

千鳥足でいつもは10分ぐらいのところを倍ぐらいの時間かかって帰宅。混濁した意識の中で週刊こどもニュースのおじさんがやっている開票速報番組を見る。某県で最後の議席をぜひお願いします、と言っていた私の元上司に午後11時半ごろ当確が出て、某県最後ではなく全国最後の選挙区の議席を獲得したのを確認したのち、私の長い週末は終わった。ある意味いろいろ充実していたといってもいいかもしれない。

 

オチのない最近の飲み食いの記録

朝7時15分発の羽田発の飛行機に乗り関空へ。朝食は基本的に必ず食べるので、6時から開いているスタバでコーヒー買って地下のヴィ・ド・フランスでパンを買って機内で食べる、というのがいつものパターン。機内サービスでは大抵スカイタイム、というキウイ味の酸っぱい飲み物とお水をもらう。でもこのスカイタイムを紙コップに入れてもらうと、健康診断での一場面を常に思い出してしまう。

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伊丹空港への着陸の際とは全く異なる、夏休みどこに行こうか人に思いを巡らさせるようなのどかな雰囲気が窓の外に広がる。そして関空に着陸。小一時間ほどレンタカーのハンドルを握って客先へ。仕事を終えてせっかく和歌山まで来たからにはランチに魚でも食べたかったが、残念ながら帰りの飛行機まで時間がない。「駅の中のラーメン屋が旨いですよ」と同行した後輩が言うのでそこで手を打つか、と思っていた時、街の中心部で「井出ラーメン」と書かれた看板が目に入る。外観からしてまさに昭和のラーメン屋。


さっきまで駅の中の店に行こうと主張していた若者は、「ここ和歌山ラーメン発祥の店だよ」というとミーハー心に火が付き、ぜひここで、という。何とか2人座れたが、小さな店の中はすし詰めで、みんな肩を微妙に斜めにしながら狭いスペースで譲り合ってラーメンをすすっている。特製ラーメン味玉入り、を注文。

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醤油とんこつ味。ストレートの細めの麺が絡む。玉子は別盛り。そして一口サイズの押し鮨、一個150円、も食べる。昭和20年代から続く味は、今となっては普通によくある美味しいラーメンの味だけれど昔は革命的だったのではなかろうかと思いつつ、店を後に。

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会社のアシスタント2人にいつも世話になっているので、たまにはゆっくりランチでもご馳走しよう、ということで神田明神下の神田川へ。

3日前に予約を入れ、事前に注文も入れて11時半からの時間でお願いしておいた。前のミーティングが長引いたのでアシスタントたちに時間に間に合うよう先に行ってもらう。私は15分ほど遅刻しているのでタクシーで向かう。それほど遠くないのでビルの車寄せに停まっているクルマではなく、流しの中央分離帯寄りの車線で信号待ちしている四社の空車のタクシーに手を挙げると、なかなか私の目の前まで来ない。そして止まったところも微妙に私の立ち位置からずれている。そして営業所は世田谷、と書いてある。
これはキビシイのを捕まえてしまった、と乗る前から分かっていたが、やはり、だった。明神下の交差点までお願いします、と言ったがやはり道を知らない。カーナビ入れようとするので、とりあえずまっすぐ行ってくれ、と頼んだら後方確認の甘いままに慌てて発進して、後ろから来たトラックが結構な勢いで迫ってきたので小さな悲鳴を上げてしまった。ずっとまっすぐ行ったら明神下、と書いてある大きな交差点があるから、そこを越えたところで止めてください、と言っているのに、まだですか、とか信号いくつ目ですか、とか聞かれて辛かった。

遅れて店に入って、黒光りする階段を上がって二階の奥の座敷へ。20畳ぐらいはあるだろうか、3人で使うには広すぎる個室。お姉さんがお茶をもってきてくれて、注文を聞かれ、「予約の時に注文したはずですけれど、大きなうな重3つで」と言ってみたものの、おそらく焼き場への注文は通っていないのだろう。こちらは1時までには帰らないといけない立場で、もう12時前。これも結構厳しい。お椀は肝吸いか赤だしのいずれか、と聞かれ、肝吸いとあれば肝焼きを、とお願いする。

肝焼きは今日はない、ということで残念。そして肝吸いもない、というので赤だしに変更。さらに厳しい。

ダメ押しは、焼き場の手違いで大きいお重が2つしか出ない、とのこと。アシスタントの一人が「私は小さいのでいいです」と言ってくれる。

いろいろ厳しい目にあったが、大好きなうなぎが来るとすべて忘れられる。すでに12時40分になっていたが。ここのお重は上品でいい。そもそも見た目からして品がある。脂っこすぎると品がないので、ちょっと物足りないかな、と感じさせるぐらいがちょうどいい。

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お詫びに、と言ってグレープフルーツゼリーが出てきた。下足番をしていた男性が若旦那とは知らなかった。丁寧にお詫びしていただいてこちらが恐縮。運の悪い一日だったがうなぎは旨かった。

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自宅で夕食をとった後、ランニング。どこに行こうか迷った挙句、渋谷区をぐるっと一回りして最終地点は広尾の商店街にある銭湯、広尾湯へ。着替えを持って走り、7キロ強ほど走って汗まみれになり、銭湯の扉をくぐる。セレブ御用達の印象のある広尾だが、外苑西通りよりも恵比寿側は下町の香りを残す。そして銭湯はいつ来ても意外と混んでいる。

熱めの風呂にはほんのちょっとしか浸からず、洗髪(シャンプーというと銭湯っぽくない気がして)して体を洗ってすぐに出る。走って体は暖まっているので、烏の行水。
そして風呂上がりの一杯を求めて、前から行きたかった目黒のザ・マッシュタンへ。

目黒駅東口のロータリーのちょっと先を入ったところ。ほど近いオフィスに10年以上勤めていたのに、なぜか来る機会がなかった。近くの餃子屋にはちょくちょく来ていたのに。雑居ビルの前に看板も出さず、二階にひっそりと佇んでいるので窓のスコットランドとアーガイルの旗に気づかないと通り過ぎてしまうかもしれない。

最初にTaliskerのソーダ割をお願いしたが、18年しかないとのこと。それはもったいないので、Ardbegソーダをお願いした。ビールの代わりとしてはかなり素敵な飲み物。その後何を飲むか悩み、バックバーにArranのThe Bothy Batch Oneがあったのでお願いした。自宅用に買ったボトルを口開けする前に飲んでみたかったのだ。結果的にはまだまだ固すぎてもう少し。その後Elgin、Imperial、Allt-a-Bhainneというマイナー系ばかりを攻める展開に。お話ししながらたくさんのことを教えてもらった。特にAllt-a-Bhainneは飲んだことがなく、レモンの香りがして樽がいい感じで乗っている非常にうまいボトルだったので、また新たな発見ができてとても嬉しかった。

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毎年恒例の行事はいくつかあるのだが、そのうちの一つがサクランボ狩り。5月下旬から6月の週末に、中央道を北上して南アルプス市勝沼インター周辺の果樹園に行くことにしている。今年は昨年お邪魔した塩山の桜桃屋うちだ園に再訪することに。

中学校の体育館ほどもあるビニールハウスの中にサクランボの木が30本近く植わっていて、そこで40分食べ放題。3人で6000円払う、というので結構なお値段。その値段あったら桐箱入りのサクランボ買って食べられるんじゃないか、と思ったあなた、正しい。

でもわんさか木に実をつけているサクランボを食べ放題で遠慮なく食べるのは、本当に贅沢だ。うちだ園ではいろんな種類が食べられるし。

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JRの塩山駅からタクシーでも遠くない。朝一で中央道で出かけて1時間ほどでうちだ園に着き、40分サクランボ狩りをした後シャトーメルシャンへ。ここにも毎年立ち寄って、ワイナリー限定発売のワインを買って帰ることにしている。今年は北信シャルドネミッドナイトハーベスト2014をゲット。

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そして午後1時前には東京に。充実した午前中の使い方だった。

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会社の人と仕事の話をしながらステーキを食べた後、2次会で六本木通り沿いの某有名モルトバーへ。Balblairを頼んだつもりがBalvenieが出てきた。多分私が酔っ払っていたのだろう。改めてBalblair頼んだら置いていないとのこと。Laphroaigの200周年ボトルをまた頼み、そして先日信濃屋で購入したBBRのDailuaine22年を発見したので飲んでみた。これがやはり大好きなDailuaineの味。家のボトルをいつ開けるか楽しみ。でもこの店は複数のバーマンの態度が好きになれないので一人で来ることはないだろう。

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中野 South Parkにて、あるいは初めて訪れるバーに期待すること

先日、中野飲みを敢行するため久しぶりに東西線に乗った。いつも乗っている丸ノ内線とは全然雰囲気が違う。銀座にて仕事帰りに食事したり買い物したり、あるいはそのあとから仕事が始まる女性たちのおかげかかなり雰囲気が華やかな路線に比べ、東西線は車両が古かったせいか照明がなんとなく薄暗く、車内の空気の成分の2割ぐらいはサラリーマンの溜息でできているのではなかろうかという気がした。


猥雑な北口をすこしふらついて、駅からさほど離れていない魚の旨そうな居酒屋へ。微妙な高級感のあるしつらえで、箱がでかい。谷中の新生姜、空豆、シャコ、焼き地ハマグリなどをお願いする。隣では金目の煮つけの大きな皿をつつきながら一人で飲んでいる人がいる。ある意味粋。一皿1000円を超えるものがあるなど中野にしてはハイエンドだが、結局二人で飲んで食べて5000円ほど。クオリティを考えると安い。そしてもう一軒焼鳥屋へ。


おそらく中野は日本一の焼鳥屋密度が高い街だろう。感覚的には5分歩けば20軒以上の焼鳥屋を見つけられる気がする。そして大抵の店は混んでいる。昔の秋葉原と一緒で、「あの店ダメだったらこの店行ってみよう」ということでお互いに補完しているのかもしれない。何軒か覗いてみたがなかなか入れず、しばらく散歩がてら夜風に吹かれつつ店を見つけ、ハイボール飲みながらつくねや皮、レバーなど。ここにも1時間ほどいたがお勘定は4000円ちょっと。2軒回って酔っぱらってお腹もいっぱいになったが一人5000円しなかった。東京の真ん中ではこうはいかない。

飲み終わって私一人で以前から気になっていたSouth Parkというバーへ。松本清張の「砂の器」の蒲田操車場を思い起こさせる暗くて少し寂しい線路横を歩き、紅葉山公園の坂を下った交差点の近くのビルの地下。公園の南だからSouth Parkなのか、あのシュールなアニメから名付けたのか。

店に入ると、思ったよりも広いことに驚く。20人くらい並べるのではないかというカウンターがあり、バックバーもその分大きく、圧巻の数のボトルが並ぶ。そしてカウンターにはCadenheadの黒いラベルのSmall Badgeシリーズと金ラベルのSingle Caskシリーズの角ボトルが二重にずらっと置かれている。カウンターは広くてボトルが二重におかれていても、酒飲みが圧迫感を覚えることはない。

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先客は私の左右に一人ずつ、そして大分離れたところにカップルが。左の人は立ちながら飲んでいて、おそらく私と同様に腰痛持ちなのだろう。親近感が湧く。

日本人離れした上背の一見いかつく見えるスキンヘッドのバーマンが、丁寧にオーダーをとってくれる。ハイランドのバーボン樽のものでお勧めがあれば、とお願いしたら、どこの蒸留所のものを飲んだことがありますか、と聞かれた。結構いろいろ飲みました、と答えると、Teaninichの27年、Bladnoch Distillery Forum向けボトリングを持ってきてくれた。

初めてのバーだとコミュニケーションが少し難しい。席に通されてさてどうしましょうか、というのを上手い感じで言って頂けるとこちらも頼みやすい。常連客の相手をしていてこちらに振らなかったり、店が客を試すような注文の取り方をする店はたまにあるが、そういう店に再び行くことは結果としてあまりない。


大抵わたしから「この地域のこんな感じのものでお勧めを何本か持ってきてください」とお願いし、バーマンがどんなものを持ってきてくれるのかでまず店の雰囲気を探る。そしてバーマンはそれらのボトルを紹介しながら、こちらが何を言いながらどれを選ぶのかを見て客の雰囲気を探っている。

初めてのお店に、あるいはすべてのバーもしくはバーマンに期待していることは、こちらのストライクゾーンを広げてくれる、あるいはこれまで試していなかった超ストライクの球を見繕って投げてくれるかどうか。

ちょっと変な喩えで言うなら、スタイリストにお任せして髪の毛をカットしてもらって、自分だとこのような髪型にしてくれ、とは思いつかなかったけれど、鏡をよく見ると実は意外と自分によく似合っていた、あるいは、最初はなんだかなあと思ったけれど次の日周りの人から「その髪型とってもよく似合っているよ」と言われた、そんなような仕事をしてくれるスタイリストと巡り会えると、とても嬉しい。

それと同様に、見ず知らずの他人同士なのにもかかわらず、わずかばかりのコミュニケーションの中からこちらの好みを見抜いてくれて、それに合う私の知らないもの、そして飲んでみたら感激してしまうようなものを提案してくれるバーマンと巡り会えるのは酒吞み冥利に尽きる。

そんな店のストックを広げるために、初めての店のドアを開く。

持ってきてもらったTeaninichは初めて飲む。こんな蒸留所があったんだ、と嬉しい驚きがあった。まだまだ飲んだことがない蒸留所は残っていることは、むしろ嬉しいことだ。全蒸留所を征服するという目的のためだけに急いで飲むよりも、今後時間をかけて自分の好みの酒を見つけていく楽しみを温存したい。

2杯目はCadenheadから。Cadenだけのメニューというかカタログがあり、おそらく200種類は下らないだろうというコレクション。その中で大好きな蒸留所のひとつであるDailuaineを選ぶ。これも間違いのない選択だった。

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そして3杯目はElginかBurgieかでお勧めがあれば、とお願いして出てきたGreen Elgin。本当に緑がかっている。樽がなせる業に驚くことは多いが、酒が緑色になるとは。そして先入観からかもしれないがさわやかな果実を思わせる涼しげかつ繊細な味わい。いい物を飲んだ。

カウンターで飲んでいた客がカウンターの中に入っていったので???と思っていたら、実はその方は二方さんというオーナーで、初めて来た客であるわたしに挨拶してくださった。奥様もお店に立たれていて、こちらもご挨拶。その後オリジナルボトルのClynelishを飲んで、その日は退散。

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そして数日後、改めてまたSouth Parkへ。今回はわざわざそれだけのために。裏を返す、というかまた何かを期待して。

スウェーデン語で「炎の水」を意味するSvenska EldvattenというボトラーのBenriachから始め、CadenのAuthentic Collectionからお勧めいただいたCaol Ila8年、そしてこちらも好きな蒸留所のひとつ、Burgie21年。

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そしてDuncan Taylor のPeerless Collection、というかDimensionsのCaperdonich37年。ちょっと力強さは失われているがやさしい味わい。最後にIchiro's MaltからMalt & Grainの白黒飲み比べ。

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どれだけのボトルが入れ替わるか、というバックバーの回転の意味では他の店に譲る部分はあるかもしれないが、ストックされているボトルの数で行くと途轍もなく楽しめる店だと思う。もっと通うと、いろんな違った面が見られるのではと思うとまたひとつ楽しみが増えた。

ちなみにSouth Parkは禁煙なので、念のため。

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自分史上最も高くついたウイスキー

 

GW二日目にぎっくり腰、というか腰椎すべり症を発症してしまい、あまりの痛さにベッドに横になっていたいのに寝ているだけでもダメで少しは歩いてください、と言われたので激痛に耐えながら家族と散歩に出かけただけで私の大型連休は終了。

そしてGW明けに嫌な予感がしながらもどうしても行かなければならない大阪出張に行き、何とか無事に仕事を終えて夕方伊丹空港に向かい、フライトまで小一時間ほどあったので空港からすぐのところにある前から行ってみたかった念願のSake Shop Satoへ。珍しいウイスキーがあまりプレミアムを付けずに売られている良心的なお店だと聞いていた。

雨が降る中、タクシーの後部座席の反対側のドアから中腰で降りようとしたときに再び激痛が腰に走る。典型的なぎっくり腰の症状。流石に変な声を出しながら店に入ってきたら怪しすぎるので、うめき声をこらえながら店に入る。「クルマ降りた時に腰を痛めちゃいました、渋谷のCaol Ilaの元永さんの紹介で来ました」と何とか声を絞り出し、店の中の段ボールに手をつかせてもらって深呼吸。しばらくして人間らしい動きができるようになり、お店の中を見せてもらった。

黄色いラベルのSake Shop SatoオリジナルのCaol Ilaが置いてある。「これ飲みましたけど、美味しかったです」というと若旦那が喜んでくれた。痛いのであまりゆっくり見て回る余裕もなく、「お勧めのものを2本程ください」といって選んでもらう。
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飛行機の中で痛み止めが効かず、脂汗をかきながら腰が痛まない姿勢を探し続けているうちに羽田に着き、酒瓶の重さが応えながら帰宅。家からCaol Ilaの元永さんに「お休みの日にすみません、念願のSake Shop Satoに行ってきました、でも店入るときにぎっくり腰になってしまいました」とメール送ると、怪しい客が東京から来たことが佐藤さんから元永さんにすでに通報されていた。Sake Shop Satoには何の落ち度もないが、ある意味非常に高くついたウイスキーだった。

話は変わるが、信濃屋のウェブ上では予約で完売してしまったBBRのDailuaine、1992年22yoを実店舗、というか世田谷代田の本店で発見。大のDailuaineファンとして、手に入れられて本当にうれしい。
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またもう一つ嬉しかったのは、先日アイラの蒸留所の200周年縛りシリーズ、Lagavulin、LaphroaigArdbegを飲めたこと。Lagavulinはまだ8年なので軽さがあるが、それも美点、というか軽快な感じで旨い。これが日本に8000円程度で入ってくるのであればぜひ2本ぐらい買いたい。Laphroaigは以前飲んだが不覚にも酔っぱらってどんな味だったか忘れてしまったのだが、改めて飲んでみて出来の良さに驚いた。2本確保しておいてよかった。信濃屋本店でまだ売っていたので、気になった方はぜひGetしていただければ。ArdbegのPerpetuumは他の2本と比べると何となく有難味が薄い。

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腰痛の痛み止めを飲んでいるせいで、ちょっと飲むだけですぐ眠気が襲ってくる。早く運動できる体に復活して、健康的に酔っぱらえるようになりたい。

G&MのBalblairが終売に

入社3年目までぐらいの20人ほどを前に仕事について何か話してください、と頼まれ、会社の会議室でランチをとりながら3つほど小話をした。

1つ目は、赤白100個ボールの入った箱があってそこからボールを1個取る。100個のうち99個は赤で赤を引くと100万円もらえるが、1個だけ入っている白を引くと2億円払う。あなたはこのゲームをやるか?あなたがマネージャーになったら部下がこのゲームをやりたいと言ったらなんというか?

この問題はかなり奥が深い。100個全部引くと9900万円貰って2億円払うからネットで1億100万円の損。1回当たりの期待値はマイナス101万円。
期待値はマイナスだが、ほぼ100%の確率で100万円がもらえる(ように思える)ので調子に乗ってやりたがる人が多い。特にキャリアの初期に成功者になった気がするので若者はやりたがる傾向が強い。
だけど100万円儲かった、1000万円儲かった、とうれしがって2億円払わされる確率が上がっている (箱にはボールを戻さない)ことを無視しているうちにハズレを引いて結局大負けする羽目に。

白玉引いたらそこでゲームオーバー、だと期待値は1.5倍も悪くなる(残り全部の当たりが引けなくなるので)。

つまりこのゲームはロシアンルーレットと一緒。確率が低くてもダウンサイドを食らったら立ち直れないような賭けは何度もすべきではない(し、もしやりたかったらダウンサイドを小さくしておくべき=誰かにリスク移転する)。

現実世界はもっと難しくて、確率が事前に分かることはなく、ペイオフ(結果が100万円貰うか2億円払うか)も事前には分からないことが多い。

そんなような話をした。残り2つの話も含め、その場でアドリブで出来る話ではない(上に英語で話さなければならない)ので、前の晩に何を話すか考えた。原酒不足のために終売になってしまったGordon&MacphailのBalblair10年を飲みながら。

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蘊蓄をたれると、1790年創業でハイランドで3番目に古い蒸留所を名乗ってはいるが、その近くに1894年に建てられた新しい蒸留所で作られている。タイ資本所有。

今の若い人たちの言い方を借りると、「普通に旨い」。口に含むと加水してあるはずだがピリッとした刺激が口の中に広がり、その後甘みとクリスピーな穀物の感じが残って比較的速く消えていく。派手さはないが、飲み疲れしない。

こういう人目を引かない地味なウイスキーが終売になるのは仕方のないことかも知れないが、存在を忘れないでいることも大事だと思う。絶対値段が上がることはないのだろうが信濃屋渋谷店でストック用にもう一本買った。ウェブで見ると残りがやはり少なくなってきているようだった。

ちなみに残りの2つの小話はこちら。

教室の中で幼稚園児と二人きりになり、マシュマロを1個見せて、「このマシュマロ食べてもいいけど、今から先生が出て行って15分後に戻ってくるときまで食べずに我慢できたらもう1個あげます。」という実験を行った。3分の2の子供は我慢できずに食べてしまって1個しかもらえず、残りの3分の1の子供は15分待って2個もらえた。2個もらえた子供を追跡調査すると、センター試験に相当するテストのスコアが待てなかった子のスコアに対して平均で8%強高かった。われわれがこの実験の結果から得られる教訓は何か?

10年ほど前にNYからシャーロットに向かった飛行機が、離陸直後にバードストライク(鳥の群れとの衝突)によりすべてのエンジンが止まってしまい、不時着せざるを得なくなった機長が乗員乗客200人を乗せた飛行機をハドソン川に着水させて奇跡的に一人の犠牲者も出さなかったという事故があった。NYの市街地に墜落していたら乗員乗客はおろか、とてつもない数の市民も犠牲になったかもしれず、ハドソン川に緊急着水させた機長はヒーローだと讃えられた(ここまではノンフィクション)。その機長が自分のやったことに対して特別ボーナスを欲しい、とマネージャーであるあなたに言ってきた。その時にマネージャーとしてのあなたが考えるべきことは何か?

 

中野 Bar Esterにて

中野という街は、私の住むところからそれほど遠くはないのだが不思議とこれまであまり縁がなかった。

サンプラザ中野で、30年前熱狂的に好きだったギタリストが老いたとはいえまだ健在だったことを確認し、公演後居酒屋に入ったら店の中はまさにさきほど同じコンサートから出てきた中年の善男善女ばかりで、「昔ヘビメタ好きだった人たちは魚の旨い昭和の匂いのする居酒屋に集う年齢になったのだな」と変な感銘を受けた。
外国人観光客もたくさん集まるようになったと聞いた中野ブロードウェイを、週末の午後家族で冷やかしに行き、ダンジョンのような、あるいは大型のビレバンのような猥雑な建物と一部のマニアックな人たちが意図せず発する圧倒的な熱量のようなものでお腹が一杯になった。

私の中野体験というとこれぐらいのものだ。

だが最近、雨のしのつく平日の仕事帰りに中野サンロードからブロードウェイを抜けて早稲田通りを越えて新井薬師のほうに歩く機会があった。最近感度が悪くなっていたわたしの中の好奇心の受信機が、夜の中野の裏道が放つ波長を受けて激しく反応する。下北沢とも渋谷とも歌舞伎町とも違う、集積度の高い飲み屋街がそこにあった。所用のせいで再来を誓って帰宅。

そして昨日、満を持して再訪。自宅から軽く7㎞ほどジョギング。前回来て目をつけていた新井薬師に向かう商店街の中の天然温泉の銭湯、ことぶき湯に浸かって汗を流す。最近訪れた銭湯の中では最も混んでいて、湯船に浸かるのに少し待たなければならないほど。東京の温泉というと黒湯のイメージがあるのだが、ここは透明な柔らかいお湯。でも水道との違いは正直分からない。

中野ブロードウェイの東側にあるいい意味でぐだぐだに店が広がる夜の街角に気になるバーを見つけた。闇に沈む色に塗られた店とMalt Bar Esterと書かれた看板。屈まないと入れない控え目な引き戸の窓からこぼれる光に惹かれて入ってみる。

5、6名ほどしか入れなさそうなカウンターだけの小さな店に先客が一人。カウンターの中には2人は立てないだろう。圧巻のバックバー。ビンテージのボトルのみ。こういうところは一杯目を頼むのが難しい。最近好きなLinkwoodが目に入ったが、Rare Maltsの22年。一杯目にしてはかなりのフルスイングだとは思いながらもお願いする。
1972年の蒸留。私よりも1歳若い。もうすぐ半世紀が経とうとするぐらいのビンテージなのに全く枯れておらず力強い。そんなウイスキーがBaccaratの脚の長いグラスで出てくる。

先客が帰ったので客は私だけになり、お店の方とたわいのない会話が始まる。一昨日に京都の千ひろでいただいた食事が素晴らしかったこと。バックバーはネットのオークションではなくオールド専門の酒屋から仕入れていること。ネットオークションだと偽物が多くて、お客さんがイタリアから買った1950年のTaliskerが偽物だったこと。でも黙って飲むと違う蒸留所でも古いビンテージの原酒を使っているのでそれなりに旨いこと。などなど。

そんな話をしていると立ち飲み屋から流れてきたというやや酔っ払い気味の二人連れがご来店されて静かな会話はいったん終了。現行のボトルをほとんど置いていない店なのでウイスキーに詳しくない人が限られた知識の中でオーダーしようとすると結構大変。一杯の値段と好きな感じを伝えてお店に任せるのが得策なのだろう。

よく行く渋谷の店も、かなりハードコアなモルトバーなのにもかかわらず場所柄「どんな感じのお酒が好きですか?」と聞かれて「ウイスキーみたいな強い酒『以外』だったらたいてい好きです」的な答えをするカップルも割と来店し、そんな客にも嫌な顔一つせず美味しいカクテルを作って出すのだが、こちらの店も雰囲気に惹かれてウォークインで予備知識なく入ってくる人が結構いるかも。でもおそらくカクテルは作ってもらえない。

その後、偽物のTalisker1950年、というのを少し舐めさせていただいた。やはりTalisker独特のクレゾール臭がするので飲み比べたことのない人間からすると本物の気がする。そしてスペイサイドのバーボン樽熟成のお勧め、といういつものリクエスト。Benriachのオールドの10年を何本かの中から選び、完成度の高さに驚く。
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自家製のおつまみをいただきながら、カウンターに置いてあるSpringbankの丸くてずんぐりした陶器でできたボトルが気になる。オールドのものはベリー系の香りがするらしい。それもラズベリーではなくストロベリーのような甘い香り。そんな話を聞いていたらまた少しだけ味見をさせていただいた。確かにいちごのように甘いエステル臭。世の中にSpringbankのマニアの人がいるのも納得。だが私の好みはDaluaine、Glen Elgin、Capadonich、Mortlachなどで、幸いなことに値段がそれほど上がっていない蒸留所のもの。

そしてMaltmanのMortlach13年をお願いして〆とした。いい感じでパフューミーで旨い。Hart Brothersの22年を少しだけ飲み比べさせていただいたが、22年はパフューミー過ぎてちょっときつかった。今日のハイライトはオールドのBenriach。最近流行っているBenriachだが、昔のオフィシャル10年という基本のキがあそこまで旨いとは、と感心した。お勘定は3杯飲んで諭吉が2人いなくなって漱石が1人帰ってきた。まあそんなものだろう。
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気が付いたら真夜中近くなり、酔っぱらって走って帰るわけにもいかないので中野駅から新宿に出て、春の宵に咲くツツジを愛でながら歩いて帰宅。ツツジは桜などと比べて圧倒的に過小評価されているけれど、東京の街によく似合うとても美しい花だと思う。

 

bar-navi.blog.suntory.co.jp

tabelog.com

信濃屋巡ってお宝ハンティング

仕事用の小ぶりのアタッシュケースが欲しくなり、ウェブで物色していたら運よくよさそうなものを発見。実物を確かめ、内貼りをベージュから上品なパープルに変えてもらえたら即買い、と思い銀座に出掛けた。
革もいいし、思っていたサイズ。少々追加料金払ってもいいので内貼り変えてもらえるか聞きたくて店員を呼ぶ。
東レのウルトラスエード使ってあるとホームページに書いてありましたが、同じウルトラスエードの中にある薄紫色のものに変えてもらうことは可能でしょうか、もちろん追加料金は払います」「いえ、お受けできません」「少々値段が高くなってもいいので、お願いできませんでしょうか」「いえ、それはちょっと」
そんなめちゃくちゃなお願いをしているわけではなく、お金払えば何とかなる話だと思うのだが、相手にしてもらえず。なんだかな、と思いながらやさぐれ気味に店を出て、ストレス解消にウイスキー物色しようと近くの信濃屋に吸い込まれる。

やはり一人で来る信濃屋は楽しい。Laphroaigの200周年記念の15年が目に入り、まだ売っているんだ、知らなかった、と思って手に取って見ていたら、「それすごくいいんですよ~。それに普通の値段で出しています」と若い店員さんに声を掛けられる。信濃屋で店員さんから声かけられるなんて初めて。一度渋谷Caol Ilaでいただいたことがあるのだが、酔っぱらっていたせいか明確な記憶がない。そこまで勧められると飲みたくなり、飲んでみて美味しかったら困るので2本お持ち帰り。

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そしてその隣はCaol IlaのUnpeated15年2014年ボトリング。最近バーで飲んで感激し、自宅用に苦労してウェブで探し当てた一本。わざわざアイラのウイスキーでピート使ってないものを、という人も多分いると思うが、これが旨いのだ。いつか飲む機会が来る日までいい状態で眠れるよう、パラフィルムを巻き付けてLaphroaigとともに自宅の倉庫の奥にしまった。

昨日は娘がツクシを採りに行きたい、というので池尻大橋まで散歩。せせらぎの道、という遊歩道の横に毎年ツクシが生える。昨年は不作だったのだが今年はにょきにょき映えている。お浸しにして食べたいというので形のいいものだけ選ばせた。20本ぐらい採れたところで、大きなレジ袋にツクシをたくさん入れた二人組が上流側から来たのとすれ違う。その二人とすれ違った後は、ぺんぺん草も生えない、という表現がまさにぴったり。一本も残っていなかった。あきらめて、川沿いに歩いて代田の信濃屋本店へ。

信濃屋のウェブサイトでは売り切れになっていたCaperdonich、BBRの復刻ラベル for LMDW (La Maison du Whisky)[1992-2015]を見つけ、これも確保。Caperdonichは以前飲んだ際大好きになったので、LMDW向けに厳選されたBBR、という二重の保険が掛かっているものを見つけられて嬉しい。だがラベルをよくよく見てみても、LMDW向けとは書かれていない。以前飲んだものには1991 aged 22 years Selected for WHISK-E Ltdと明記されていたのだが、今回はSelected for LMDWと書かれていなかった。店員に聞いても要領を得ず。しかしいずれにせよ、閉鎖蒸留所のBBRボトリングのものを1万5千円ちょっとで買えて得した気がした。

f:id:KodomoGinko:20160313150502j:plainそして店内をウロウロしていたら、Arran The Bothy Batch1を発見。1本限り、とのこと。アラン初のファーストフィルのバーボン樽熟成後のアメリカンホワイトオークのクオーターカスクで18ヶ月以上追加熟成。Arranはこの前訪れたイチローモルト同様、小さな蒸留器が2基しかない小規模な作り手。調べてみると全世界で12000本しか作られておらず、Arranの公式HPで確認してみるとArranのオンラインショップで54.99ポンド、すなわち今の為替で9000円弱で売られているもの、が税込み7000円で売られていて、これも保護。信濃屋、ちょっと良心的過ぎはしないか。これだから信濃屋チェックは飽きないのだ。

 

イチローズモルトの秩父蒸留所に行ってきた

金曜日の遅くまで赤羽で酒を飲んだが職業病(もしくは加齢のせい)で翌朝も早く目が覚める。コーヒー豆挽いてゆっくり朝食をとり、Facebookなど見て過ごす。

家人が起きだしてきて、一人の静かな時間は終わりだな、と思っていたらFacebook上に「秩父蒸留所見学ツアーにキャンセル出ました」との記事を発見。9時池袋駅東口集合、と書いてある。時計を見ると8時10分。ダッシュで身支度を整え、家を飛び出てタクシー捕まえたら30分ちょっとで池袋東口に到着。意外と近いじゃないの。

 

正直いわゆる「オフ会」的なものは得意ではない。だがこの手のものであれば人見知りでもなんとかなるかな、と思って参加。特急券が配られ、誰も知り合いがいない中で2人掛けの席を回転させて向かい合わせにして歓談。10時にもならないのに酒盛り開始。慌てて出てきたので私はボトルを持って来られなかったのだが。

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車窓からは梅が咲いているのが見える。ウイスキー談義で盛り上がるが、まるでバーで隣り合わせたお客さんと話しているときのよう。あっという間に秩父に着いた、と書きたいところだが、レッドアロー号で2時間弱かかる。ということはいい感じ、もしくはそれ以上酔っぱらうということだ。
一度トイレに行って1号車のドアを開けたら、微かなフェノール臭が。

 

秩父に到着、懇親も兼ねてレストランでランチ。マチエールというところで鯛とホタテのグリルを戴いたのだが、大人数でのランチなのに手抜きのないきっちりした仕事で感銘を受けた。かつて秩父を訪問した時にはいい店見つけるのに苦労したのだが、ここは強くお勧めします。
食事を終えて、イチローモルト肥土(「あくと」と読みます)社長にサインしていただくために地元の酒屋でDouble Distilleriesを購入。秩父だからイチローモルトたくさん売ってたりすることはないらしい。

秩父駅からタクシー乗って約20分、4000円弱で秩父蒸留所に到着。予想通りではあるが、やはり小さくて驚く。ビジターセンターは試飲はさせてもらえるが、付属のカフェもなければ小売りは土産物だけでウイスキーは売っていない。

ツアーを案内してくれるブランドアンバサダーの吉川さんいわく、秩父蒸留所の年間9万リットルの生産量というのは、スコットランドの大きな蒸留所の2、3日の生産量程度だそうだ。麦の粉砕から糖化から発酵から蒸留から瓶詰からすべての工程が、小さな小学校の体育館程度の建物の中で一気に行われる。

 

まずは原料となる麦を食べてみる。素朴に旨い。そういえばマクビティースのビスケットってこんな感じだったかも。

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一袋20kg。ここに置いてある160kgが一回当たりの仕込みの量だそうだ。
吉川さんが、粉砕した麦をハスク、グリッツ、フラワーに分ける工程を説明しているところ。小石が入っていたりするので手作業で取り除かないといけないそうだ。

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大麦の絞りかすを取り出しているところ。牛の餌になる。

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麦汁が仕込まれるマッシュタン。ミズナラの木肌に乳酸菌が住み着いていて、独特のフレーバーをもたらしてくれるそうだ。

f:id:KodomoGinko:20160305134610j:plainマッシュタンの中では発酵が進む。

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そして麦汁はポットスティルに送られる。秩父蒸留所はこの2基のみ。

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吉川さんはすべての質問に即答できてびっくり。もともとはバーテンダーをやっていらっしゃったのだが、スコットランドの蒸留所でも働いたことがあるという。何とかイチローモルトで働こうと名前を憶えてもらうために5年間クリスマスカード出し続けたり、断られると凹むのでいつ働かせてくださいと切り出そうかとタイミングを見計らったり、様々な苦労をしながら今の仕事にたどり着いたそうだ。

左側のウォッシュスティルで一度蒸溜されたものを右側のスピリットスティルで再溜し、出来上がったスピリッツのいい部分=ミドルカット(ハートとも呼ばれる)だけを熟成させる。

f:id:KodomoGinko:20160305142014j:plain一番面白かったのは、どこからがハートなのかをスティルマンがノージング、すなわち自分の鼻だけで決める際の決め方。

 

写真はスティルマンの山岸さん。若い。最初に出てくるイヤな臭いってどんな感じか、という質問に答えているので、ちょっと渋い顔をしている。

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 実際に最初に出てくる部分とミドルカットが始まる部分の両方を嗅がせてもらった。

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金属を舐めたときのような重苦しい臭いがきついのがヘッド、すなわち最初の部分。そしてフルーティーさが錆臭さを打ち負かしてミドルカットを始める部分。違いがよく分かった。面白い。
カットするときのスイッチの役目を果たすスピリットセーフはこんなカタチをしている。

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そして第一貯蔵庫へ。

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土の上に樽が直に置かれている。Makers MarkだのJim Beamだのと書かれたバーボンバレルや、シェリー樽など色んな種類があった。

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そして樽工場へ。これまでは樽を海外から仕入れるだけだったのだが、自分たちでも作れるようにしようとしているそうだ。

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新樽の内側に焦げ目をつけているところ。

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そして第二、第三貯蔵庫を拝見したあと、ビジターセンターに戻って試飲。

f:id:KodomoGinko:20160305131512j:plain上の中から5種類ほど飲んだが、面白かったのがニューポット。すなわちウイスキーになるまで熟成する前のスピリッツ。

f:id:KodomoGinko:20160305161013j:plainNon Peated Concertoと書かれているものは、私にはミドルカットの前のヘッドのような臭いというか香りがしてちょっと厳しかったが、Heavily Peated Concertoと書かれている方は既に旨かった。

どこかで見たことあるような(?)絵も飾ってある。

f:id:KodomoGinko:20160305132250j:plainそして肥土伊知郎社長と歓談して、サインを頂いたボトルがこちら。f:id:KodomoGinko:20160305162504j:plain
自分たちで樽を作ることもそうだが、今度は秩父で作る大麦のみを使ってウイスキー作りたい、とか、これまではモルトスターから発芽、乾燥させた麦を買っているのを自分たちでフロアモルティングしてキルンで乾燥させる試みを始める、とか様々なチャレンジを試みているのがまさに株式会社ベンチャーウイスキーベンチャーたるところだ。

正直、妙に人気が出ているので何となく手を出しづらかったイチローモルトだが、ここまで細やかにウイスキー作りの作業をしているかと思うと頭が下がった。

祖父が始めた造り酒屋が行き詰まり、民事再生法が適用されて新しいスポンサーがウイスキー事業の引き取りを拒んだため、行き場のなくなった熟成原酒を決して無駄にしまいと奔走した肥土伊知郎社長の物語は、埼玉県のHPにある彩の国経営革新モデル企業事例集の一部としてこちらで読める。

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0803/documents/555851_1.pdf

 

 

帰りの電車でまた酒盛りが続く。突然決まった秩父蒸留所見学だが、楽しい大人の遠足だった。

 

 

 

 

 

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