東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

ニッカブレンダーズバーなど

ニッカブレンダーズバー(表参道)

毎週水曜日のスイムのレッスンの後、どこで一杯飲んで帰るか悩み、表参道まで出てニッカブレンダーズバーに行ってみた。ジャパニーズウイスキーも別に嫌いではないけれど、最近割高になっているのでスルーしていたが、海外からゲストが来た時に連れていく前の下見と思って来てみた。SuntoryではなくNikkaを知っている外国人は相当マニアだとは思うが。


骨董通りをしばらく歩くとニッカの本社があって、その地下。9時半を回ったぐらいだったので先客は一組。
運動後なので何かソーダで割ったものが飲みたくなり、しばらく悩んで鶴17年のソーダを注文。以前京都寺町のサンボアで常連さんと思しき70前後の方が頼んでいたのを覚えていて、いつか同じものを頼みたいなと思っていたのだ。
鶴17年はまだ売っていたのか終売になったのか記憶が定かでなく、マスターに伺ったらやはり昨年終売とのこと。こちらの店ではまだ確保してあるが、もう数はないらしい。宮城峡のノンエイジ出たのも去年の今頃でしたね、という話になる。

喉が渇いているのもあってあっという間にソーダ割を飲み干してしまい、またしばらく悩んだ挙句にこの店でないと飲めなさそう、かつプレミアムがつき過ぎていないものをお願いする。宮城峡の2000年から2009年のヴァッテッド。ノンエイジの宮城峡の話をしていたので、なんとなく加水されてスムースな飲み口のものを期待して飲んでみたらかなりがっつりとしたカスクストレングスでびっくり。

その後全く同じスペックの余市をお願いする。いずれも何も言われずに飲むとスペイサイドと島系、と思ってしまうはず。余市はピートが適度に効いている感じでわざとらしくなくとてもいいと思った。
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カウンターにマスター一人しかいないのに7名の団体様がいらっしゃったので早々に退散。

 

MotoGP日本グランプリ

 もはや完全にウイスキーとはなんの関係もない世界だが、今回は私の趣味の中で最も酒と相性の悪い三つの趣味のうちの一つ、バイクの話。(ちなみに残りの二つはクルマとトライアスロン

年に一度のお楽しみ、バイクレースの最高峰MotoGP日本グランプリに行って結構波乱万丈だったので備忘録も兼ねて書く。

<土曜日>

05時15分 家からバイクでもてぎに出発
06時15分 守谷SA到着、朝からせたがやラーメン食べてコーヒー飲む
06時45分 中学高校時代からの友達と合流
06時50分 友人がタバコ吸っている間にSA内のGSで給油しようとバイク移動しようとしたらまさかのエンジン始動不能、一人で押しがけしてたら周りの人がバイクを押してくれてエンジン再始動、感謝!
06時55分 給油後また始動できず今度は友人に押してもらってエンジン始動
08時00分 ツインリンクもてぎに到着
09時00分-16時35分 MotoGP、Moto2/3フリー走行、公式予選を全て見る、陽射しが強く真っ黒に日焼け。
午前中応援しているホルヘ・ロレンソがFP3で練習走行中ほとんどだれも転ばない3コーナーで激しく転倒、ドクターヘリで搬送され、応援しに来た意味がなくなったと思って凹むものの、午後の最後の練習走行FP4にはヘリで戻ってきて3位のラップタイムをたたき出すのを見て感激、化け物か。
17時 前夜祭でフリースタイルモトクロスを観て大興奮、ETか。

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マルケスクラッチローも生で観られてテンションMax!
19時 宿泊予定の宇都宮のホテルに向かおうとしたらまたバイク始動できず、駐車スペースで友人にバイクに跨ってもらいひたすら押しがけするが全然ダメ、流石に200㎏超のバイクをずっと押しているとマジバテる
19時15分 見かねた周りの人たちが手伝ってくれる、感謝!でもエンジンかかる予感すらさせず絶望、体力も再び大きく消耗
19時20分 ダメもとで目の前のホンダコレクションホールに助けを求めたらツインリンクもてぎのスタッフを呼んでくださるとのこと、こういう車両トラブルもあるため専門のスタッフがサーキットに常駐しているとのこと、さすがホンダ!ホンダのバイクじゃなくてすみません、と謝るが快くスタッフを呼んでもらって感謝!
19時35分 白馬の騎士じゃなくて白いハイエース到着!ケーブルつないで一発始動。ただこのままだと明日の朝全く同じ問題が発生するはずで各所に電話して充電済みのバッテリー手に入れようとするもムリなことが判明
19時40分 安全策をとり、一泊して宇都宮で翌朝再びトラブル起こるリスクとるよりもエンストしないようにしながら今晩帰京することに決定、友人は宇都宮へ
21時 ガソリン切れでまた守谷SAにて給油、エンジン切ったら再び始動不能になるかと思って焦るが給油後セルが無事に回ってエンジン掛かって胸をなでおろす
22時 空腹と疲労でヘロヘロになって帰宅、嫁になんで家に帰ってきたのか訝しがられて簡単に説明すると大爆笑され、その後ずっと「ハイホーハイホー」みたいな鼻歌を歌っているので何だろうと思っていたらバイク王のCMソングだって。「バイクを売るならバーイク王」って売らねえし。アホか。とりあえずバッテリー充電し風呂入って爆睡

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<日曜日>

05時 起床、バッテリーの電圧高まらず、バイクで行くことをあきらめ新幹線かクルマで悩んだが、早朝ということもありクルマで行くことに決定
07時15分 水戸北インターから裏道使って渋滞回避し茂木町役場近くの場外駐車場に到着、裏道ではクルマの幅より狭い農道にはまりかけたがギリギリセーフ、危なかった!場外駐車場なのに3000円は高い
07時45分 茂木町内からのシャトルバスもそれほど時間かからず、ツインリンクもてぎに到着!
08時30分 開会式、航空自衛隊百里基地からT-4練習機2機が飛来してデモ飛行
08時40分ー10時 ウォームアップ走行、バイク芸人チュートリアル福田さんも目の前に現れる(白いTシャツの人)

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これまではバックストレート300㎞/hに近いスピードからフルブレーキングして曲がっていく勝負どころの90度コーナーで観戦していたのだが、今年はあっという間にチケット完売してしまったせいで1コーナー近くのV1スタンドからの観戦。ブレーキングして後輪が浮いてそこから2輪ドリフトしてコーナーに入っていくのが見られて面白い
11時 Moto3決勝、24歳の尾野弘樹が熱い走りで3位に入る(が車両規定違反があとから見つかり降着となる)
12時20分 Moto2決勝、中上貴晶が最後まで競り合うも4位に終わるがラストラップまでバトルで超盛り上がる
14時 MotoGP決勝、このもてぎでは今年のシリーズチャンピオンが決まるとはだれもが思っていなかったが、帝王ロッシが早々に転倒リタイア、そしてマルケスが優勝してロレンソが3位までに入らなければマルケスのタイトルが決まる、という状況の中でマルケスが先頭を走り、そして2位のロレンソが残り5周でまさかの転倒リタイア、そのままマルケスが先頭でチェッカーを受けてシリーズチャンピオン、という謎の展開。ヤマハはワークスライダー2人ともノーポイントなんてあり得ない。会場はロッシファンが4割ぐらいいて、転倒した後は葬式のような雰囲気
15時30分 若手の登竜門、シェルアドバンス・アジア・タレントカップを観戦
16時15分 コースウォーク

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その後シャトルバスにて場外駐車場に戻り、Google Mapの案内に従い裏道使いながら渋滞回避して帰宅、とても長くて楽しい週末だった。

 

 

 

 

 

 

最近の出来事など

コットンクラブにて

渡辺貞夫リチャード・ボナのライブに行ってきた。頂きもののチケットで、彼の直近のアルバムも聴かずに勉強せず行ったのだが、コットンクラブでの1時間半があっという間に感じたほど素晴らしかった。

開演1時間前についたら席はかなり埋まっていて、ドラムとパーカッションのすぐ隣のステージ右袖の席に陣取った。プレイヤー同士で目で合図する視線が自分のほうに飛んで来ているように錯覚する席。なかなかスリリングだ。
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楽器は音を出すための道具ではなくて、自分が伝えたいことを伝える道具であることを改めて思い起こした。久しぶりの生演奏を聴いて心の中の硬いものの角が落ちていった気がした。やはり自分は音楽が好きなのだろう。グランドセイコーさん、ありがとうございました。

そこでシャンパン、赤と白のグラスワインを飲み、同じビルにあるバーでハートランド、グレンリベット、マッカラングレンフィディックを飲む。そのまま家に帰ればいいのにまた渋谷のいつもの店で飲んでしまう。結局家に着いたら2時半だった。

 

 

自家焙煎珈琲屋 バッハ


夏休み、国立新美術館に行った帰りに寄った西麻布の赤のれんという博多ラーメンの店をすっかり娘が気に入ってしまい、週末も連れて行け、と言われたが日曜日は定休。だがよく考えたら丸ビルにも支店があることを思い出し、家族で出かける。

脂っこいラーメンを食べたらコーヒー飲みたくなって、日本一のエリートサラリーマンの集まる丸の内界隈から日本一のドヤ街に移動。「自家焙煎珈琲屋 バッハ」に行ってみた。
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大通りに面した店で家族を降ろして、裏道に入ってコインパーキングを探す。天丼で有名な土手の伊勢屋につながっているいろは会商店街の端では炊き出しが行われていて、その横のコインパーキングに止めようとしたら酔っ払いのおっちゃんが目の前で立ちションしていた。まだ午後2時。

窓を開け放したドヤの中には年を取った人たちが多い。働きにも行けなさそうな年だ。年金で暮らしているのかもしれない。そんな景色を見ながら大通りまで歩く。目指すバッハのすぐ隣のスーパーの横では地面に座り込んで酒盛りしている。子連れで来るとかなりの社会勉強、英才教育。

木のドアをくぐると違う世界が開ける。バッハと言いながらBGMがベートーヴェンなのはご愛嬌。ポットでサーブされるアウスレーゼコーヒーというのを頼む。豆はその季節で変わるらしいがメキシコのオーロラという種類。
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大好きなモンブランも頼んでみた。ちなみに私は大のコーヒー好き。コーヒーを豆から挽いて出社前に飲むために毎日早起きしているぐらいだ。コーヒーをストレートで飲んで旨いと思う人は、かなりの確率でウイスキーをストレートで飲んで旨いと思うのではないか、と心から信じている。 

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コーヒーは悪くなかったが、少し薄めの軽やかな味わいと香りで私の好みとは少し違った。店の名前からは静かにコーヒーを楽しむ喫茶店をイメージするが、実際はかなり賑やか。もう少し落ち着いた雰囲気でコーヒーに集中したい人も多いだろうに。

私の最近のお気に入りは堀口珈琲研究所エチオピアをハンドミルで中挽きで挽いて飲むこと。家で飲むのが正直落ち着く気がする。

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Blue Bottle Coffee

バッハに行ったのと全く同じパターンで今度は清澄白河へ。午前中は土砂降りだったので、いつもより人はいないはずだ、と思って。店の前で家人を降ろすためにクルマを停めたら迷惑掛かるので駐停車禁止、と言われてしまった。
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この倉庫のような建物が今一番東京でイキオイのあるコーヒーショップだ。中には大きなテーブルが2つ、その前には注文を待つ列ができている。私はブレンドを注文。ハンドドリップしているのを見ながら名前が呼ばれるのを待つ。

f:id:KodomoGinko:20161009232745j:imageやはりコーヒー好きからすると自分の一杯を落としてもらっているのを見るのは楽しい。

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家人はエチオピアを頼む。店員さんはエチオピアは粉を細かめに挽いているので落ちるのが遅いです、紅茶のような香りが楽しめますよ、と教えてくれた。
色も楽しめるようにガラスの器に入れてくれる。

f:id:KodomoGinko:20161009232758j:imageこうやって見るとワインのようだ。ガラス越しに映っている女の子がかわいいのでこの写真はすごく気に入っている。
ここでのコーヒーも香り高いが、いろいろとアメリカンな感じ。間違ってもカップの底にコーヒーの粉が残らなさそう。こういうのもありだとは思うが、家で飲むほうがいいや。

 

 

 

 

 

別れ

仕事を終えて帰宅したら、家でずっと飼っていたカブトムシがいなくなっていた。

娘の学校で「おうちでカブトムシの幼虫がさなぎになって成虫になるのを観察してください」という宿題を貰ってきたので、一年近く我が家にいたメスのカブトムシ。結局この2か月ぐらいは娘ではなく私が面倒を見ていた。

成虫になって一度脱走を試み、我が家の階段の上でひっくり返って脚をバタバタさせていたところを確保。その後しばらく一生懸命虫かごのふたを押し上げて再び逃げ出そうとしていたので不憫に思い、隣の大きな公園に放そうかと家庭会議。しかし「地元の環境を壊してしまう恐れがあるので自然に返さないでくださいと学校に言われた」という娘が主張し、そのまま我が家に居続けた。そして私が実質飼い主となって、毎晩エサをやったり土を混ぜたりしていた。

今日もエサを替えないと、と思って虫かご見たら、こんなことに。  f:id:KodomoGinko:20160918111722j:image

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やはり、一生を虫かごの中で終えるというのは不憫だという結論に勝手に家内と子供でなったらしく、私のいない間に放してきてしまったとのこと。
放してきたこと自体は全然咎めだてするつもりはない。けれどせっかくだから隣の公園にあるカブトムシが集まってくるクヌギの木の近くまで連れて行ってやりたかった。毎晩帰宅してつい虫かごのカブちゃんを覗きこもうとしてしまい、実は割と強い愛着が湧いていたのだな、ということに気が付いた。

カブトムシの家出と同程度の話題では全然ないのだが、一緒に働いてきた友が志半ばで会社を辞めるという。いろいろ考えるとそれも本人のためでもあるしやむなしかと頭では思うものの、寂しい気持ちは止められない。


癖のあるやつではあったが、彼にはいろいろ素晴らしいところがあった。

限られた資源で何か新しいことを始めるようとするとその代わり何かができなくなるので、思い付きや雰囲気だけではなくまず機会費用も入れたコストとベネフィットを数字にして比較できること。

限られた資源をやりくりしていかにチームの全体としてのパフォーマンスを高めるかがマネジメントの仕事なので、残念ながら全員にいい顔をすることができないことを理解して人のせいにしたりその場しのぎの対応をせず、時にはチームメンバーに厳しいメッセージも伝えられること。

自分の哲学を常に明確にチームに伝え、その時の感情で流されることなく一貫性のある決断ができ、結果彼がいない時でも下の人間が「あの人だったらどういう結論を出すだろうか」と簡単に推察できるので結論が出るのが速い組織を作ることができること。

マネージャーとして自分の声の大きさに物を言わせて一番物の分かっている現場の人間の判断を簡単に覆したりすることなく、信頼できる部下の判断は常に信頼し「餅は餅屋」であるということを理解してチームの士気を保ち、鼓舞することができること。

彼の美点はもっともっとあるのだが、これぐらいにしておく。

もちろん人はいいところもあれば悪いところもある。
人がわざとうやむやにしようとして周りもそれをわかっているところにあえて空気を読まず突っ込みを入れまくって白黒つけてしまう、みたいなことや、以前の説明との矛盾を抜群の記憶力で指摘し、多くの人の前で人に恥をかかせることなどもあったが、それは自分の哲学を貫き通したいという美点の裏返しでもあったし、実は偽善を憎むあまり偽悪に走るやつでもあった。


組織においては「一緒に働くにはいい人だけど普通の人」と「一緒に働くには苦労するけれど他人に出せない結果が出せる人」のバランスをどうするのか、という常に答えのない問題と闘わなければならない。

異物をあえて入れることでただのアコヤ貝から真珠ができる。異物を人工的に入れないと、ほとんどはただの貝で終わる。

金曜日の晩、彼の好きなステーキハウスで送別会をした。とても素敵な店だ。予約の時に「何かリクエストはありますか?」と店の女性に聞かれたので、「三連休前の金曜日の夜ですが、男二人なのでロマンティックな雰囲気のテーブルは避けてください」と言ったら電話の向こうで爆笑された。

昔の我々の職種の人たちは、何かあるとステーキハウスでワイン飲みながら肉を食っていた。Peter Lugerで。Smith and Wollenskyで。Del Frisco'sで。古き良き時代を知っていて、それを次世代に伝えらえる人が一人減るかと思うととても寂しい。

そして彼とウイスキーを飲みに行く。あまり酔わない。むしろ酔えなかったのかもしれない。f:id:KodomoGinko:20160918111751j:image

 

 

 

 

 

水天宮にて一期一会を思う

仕事の気分転換は旨いものを食べるに限る、ということでランチにさくっと水天宮前へ。

目的地は喜寿司。駅から数分、甘酒横丁の交差点を二本北に上がって東に入ったところにある、江戸前鮨の伝統を守り続ける店。久しぶりの来訪。暖簾をくぐって引き戸を開けると、イメージしていたのと全く変わらない昭和の香りを色濃く残す店内。椅子には白いカバーが掛けられ、パリッとした白い服を着た板前さんが手際よく仕事をしている。
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先客はなく、貸し切り状態で一人前の握りを食べる。しみじみと旨い。丁寧な仕事。クラシックな江戸前の鮨。これが食べたかったのだ。そして間合いを詰めすぎず、かといって突き放さない江戸前の接客。旨いものを出してくれたのに加え、居心地が良かった、つまり最高、ということだ。突き詰めていうと、味だけでなくその店で「何を体験できたか」「それを再び体験したいと思うか」が重要なのだから。これは食事をするところでもバーでも同じだ。

いつも行く東京の西側ではなく、東側にもおそらくいいバーはあるのだろうな、と思いながら会社に戻って仕事をやっつける。そして夜9時過ぎ、再び水天宮前の交差点に立っていた。

昔と違ってタワーマンションが立ち並ぶ。かつて私は新大橋通りをもう少し東に行ったところに5年ほど住んでいた。まだ新しいタワーマンションの1階にあるバー鶴亀へ。

カウンターの一番奥に通される。先客はさらに奥のソファー席の3人連れのみ。夕飯は食べていないのだが、なんだかお腹がいっぱいなのでタリスカーソーダではなくショットからお願いする。目の前に牡丹のラベルのFriends of OakのCaperdonichがたまたま置かれていて、それをカウンターの女性にお願いする。

私の後ろではその辺の会社の役員と監査役、もしくは顧問弁護士らしき人たちが大きな声で他の役員のことを話している。Caperdonich、マイナー系閉鎖蒸留所のボトルがカウンターにおいてあるなんて珍しい。私は大好きな蒸留所。その後ハイランドかスペイサイドのバーボン系の樽のものを、と今度はもう一人の男性の方にお願いしてみたが、なんだかケミストリーが今一つ合わない。ちょっと違うけれどCraigellachieはどうですか、と言われてもちろん結構です、と答え、店の反対側に行ってしまった彼にこちらも気を遣って「美味しいです」と言ってみたものの、それっきり。

その後私のような独りもののお客さんがカウンターに3人等間隔に座る。iPadでアメフトの試合を見ながら戦術を研究している人、黙々と飲む人2人。カウンター越しの会話がない。

その後小腹が減ったのでホットサンドをつまみにLaphoroaigの限定品のCairdeas 2016年を飲んだ。以前都内某所でこれを飲んだが、「ここで飲んだとは言わないでください、あとでいろいろあるので」と言われたもの。
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いいお酒、珍しいお酒を飲めたが、また近々来るか、というとよく分からない。たまたまだったのかもしれないが、それでも一期一会。

そのまま帰ってもよかったが、もう一軒寄ってみた。バー暖炉。水天宮前の交差点から歩いてすぐ。扉を開けると結構混んでいて、席がないかと思ったらカウンターの一番奥の席を一つ作ってもらえた。改めてタリスカーソーダをもらう。

少し間隔の狭いカウンターで隣が妙齢の女性と50前後の男性の二人連れ。黙って一人で飲んでいると2人の会話にずっと耳をそばだてているみたいだから申し訳なく思い、お店の方とお話しする。やはりこういう時にウイスキーの話題があると座持ちが良くてよい。

その後Exclusive MaltsのTeaninichをもらう。紺色のラベルにフクロウが描かれていてかっこいい。バランスが良くて旨い。2007年蒸留の8年ものとは思えない熟成感。やはりマイナー系でこういう当たりをつかむと嬉しく、心の中でプチガッツポーズしながらお店の方と話していたら、隣の女性にいきなり話しかけられたのでびっくりする。いやいや意外な展開で大人力問われるわーと思ったが、どうやら隣の男性とはたまたま隣り合わせになったので話していただけ、らしい。

珍しい展開になって、私もLaphoroaigのソーダ割好きなんです、みたいなどうでもいい話で盛り上がっていたら、新たにお客さん一人が入ってきた気配。カウンターはもう満席、一人でテーブル席って訳にも行かないし、と思いながらふとドアのほうを見ると、なんと会社の同僚、というか相方。東京にも星の数ほどバーがあるのに、なんで一人飲みしている二人が同じバーで出くわさなければならないのだろうか。あまりの偶然にお互い顔を見合わせる。周りのお客さんもびっくり。

流石に追い返すわけもなく、隣の方とお店の方に断ってカウンターからテーブル席へ移動。せっかく妙齢の女性と話が弾んでいたのになんて間が悪い。その後Ardbog(Ardbegの間違いではなく、バーボン樽とシェリー樽のバッティッド、2013年限定)をいただきながら野郎二人で飲み続ける。流石に都合6杯も飲むといい感じになった上、日付も変わりそうになったので撤退。ここは「びらかし」系のバックバーではなく内容の濃いいい酒をリーズナブルに出す店だということがよくわかった。スタッフも、お客さんもいい感じで、また来たいな、と思わせる店だった。

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最近伺ったバーなど: 有楽町キャンベルタウンロッホ、池袋クエルクスバー他

最近伺ったバーその他を備忘録的にまとめておきます。

有楽町 キャンベルタウンロッホ

仕事中に腹が減ったのでデスクで軽い夕食を取り、9時半ぐらいに仕事を終えて会社を出た。さてどうしよう。食事する気にはなれない。さくっと飲んで帰りたい。さあどこへ行こう、と思い、久しぶりに有楽町のCampbelltoun Loch、キャンベルタウンロッホさんにお邪魔した。今思い返すと、真っ直ぐ家に帰るという選択肢もあったのに、なぜ思いつかなかったのだろう、ああ不思議不思議(棒読)。


店がこぢんまりとしていて6人も客が入れば閉所恐怖症気味の私が圧迫感を覚える感じなので、長居せずにさくっと飲むには丁度いい。そしてバックバーが恐ろしく充実。限られた時間で充実した時間を過ごすにはぴったりだ。お勘定もクオリティの割に超良心的。

Caydenhead'sのAllt-A-Bhainne22年と他にもう一杯頂いて、「最後にアイラで締めたいのですがおすすめを」と言ったらSestanteのCaol Ila14年、おそらく70年代終わりから80年代初めのものが出てきた。
上手い感じで枯れてきているものの、骨格を失ってはおらず最後にかけて香りが立ち上る。これは素晴らしかった。

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隣で飲んでいた巨漢のモルトマニアのおじさんも「こんなのこの値段で飲めないよ~」と言っていた。3杯飲んで1新渡戸稲造、じゃなかった1樋口一葉。ここは引き続き凄かった。また行こう。

 

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銀座3丁目 日比谷バー ウイスキー

最近は仕事が遅いことが多く、家で夕食を摂ることをすっかり諦めていて家人にもそう言ってある。そこで会社と自宅との間にある、食事が出来てウイスキー飲める店を調べていたらこの店を発見。

銀座を独りでウロウロするにはまだ早い、と自分では思っていたが、よくよく考えるとあと1ヶ月もすれば四捨五入したら50だよ。そろそろ自主規制を解禁しないと徘徊老人in銀座になってしまう。会社からも近いし。ということで地下鉄出口から銀座松屋方面に向かってすぐのところにある日比谷Bar Whisky-sに行ってみた。

最近行くバーはほとんど個人経営的なところばかりで、いつもの感じをイメージしてドアを開けたら「いらっしゃいませ」と複数の声をかけられてちょっとびっくりする。結構な大箱。ウェブではわからなかったが、メニューを見てサントリー直営店だと気づく。スコッチもサントリー1社提供的な品揃え。なので1杯目はタリスカーソーダ、と決めていたのに叶わない。

おすすめはウイスキーソニック、というウイスキーとトニックとソーダを1:1:1で割ったものとのこと。そちらを頂くものの、やはりタリスカーソーダを飲みたかった気分は満たされず、Laphroaig10年のソーダへ。オールドで同じ10年があるので飲み比べてみませんか、と言われ、3杯目はストレートで。ソーダとストレートを飲み比べるのはなかなか難しい。90年代の10年か。瓶熟したものの方がやはり丸い気がする。
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一口で食べられるように切られたカツホットサンド、燻製が効いていてそして食べ応えもある。それをつまみながらピートの効いたウイスキーを啜るのも悪くない。

その後Balvenie、白州の93年蒸溜の10年物、山崎の90年代蒸溜のものなど頂いて退散。ちなみに誕生月に来るとすべての飲み物が半額だそうだ。一度来店してメンバー登録し、ジャパニーズウイスキーのレア銘柄を飲みたい人と誕生月に一緒に来るとよいのでは。

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神宮外苑 森のビアガーデン

家人と地下鉄に乗って散歩に出掛け、四谷を通りかかると迎賓館に人の群れが。そういえば一般公開始まっているのかも、と見に行くと見学できるという。券売機でお一人様1000円払い、中に入ろうとすると後ろで何かもめている。

どうしたのかな、と思いながら子どもの手を引いて中に入ろうとしたが、「クレジットカードでは払えないのか、ここまで来たのに」と英語で言っているのが遠くに聞こえた。確かに円の現金しか券売機では受け付けていなかった。海外からの観光客だって見学に来るのだから、観光立国目指す国策に沿ってクレジットカード使えるようにせいよ宮内庁、と思いながら行き過ぎようとした。が、さすがに自分がエディンバラ城に見学に行った時、ポンドの現金の持ち合わせが少なかったので追い返されて見学できなかったら悲しかっただろうな、と思い、券売機のところまで戻った。

アジア系のアメリカ人のおじさんと係員が話している。「ドルを円に両替してもらえないか?」と言われ、係員がブロークンな英語で無理だと言っている。見かねて声をかけ、「10ドル持っているのなら私の1000円と交換するよ」と言うと、20ドル札しかないという。私も1000円札1枚しか持っていない。彼は「いいよ、1000円と20ドル交換しよう」というが、流石にそれはないので家人を呼んでもう1000円手に入れ、無事に物々交換。彼はそれで入場券を買うことが出来、喜んでもらえた。

おじさんはピッツバーグから来たという。どこに住んでいるの?と聞かれたので東京だよ、と答える。おじさんはどうやら私がアメリカからの旅行者で、ドルを受け取っても問題ないアメリカ人だと思ったらしい。日本人だと分かったら恐縮していた。でも彼もアジア系で、ペットボトルを入り口で回収されそうになった時に片言の日本語を話していたのでもしかしたら日系人かも知れなかった。

それはともかく、迎賓館凄い。凄すぎ。何が凄いって、ぱっと見西欧の宮殿の模倣のようにしか見えないのに、よく見ると屋根の上に甲冑乗っていたりする。それも鹿の角付きで。

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喩えて言うと、日本のことが大好きで仕方がない欧州の一国の王様が自分の国に紀州から上質の木材を輸入してきて名古屋城そっくりの城を建てて、シャチホコの代わりにマーメイドの銅像つけた、みたいなそういうノリか。あんパンとか欧風カレーとか中華そばとか日本で独自の進化を遂げたものは沢山あるが、そういうアレンジが上手なのだろう、我々も我々のご先祖様も。って欧風カレーってヨーロッパにはカレーないんですけど。

内部も楽しく見学したが撮影禁止なのでご紹介できない。裏庭も美しかった。

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そして見学を終えて東宮御所の脇を青山一丁目交差点に向かっていたら、娘が喉が渇いたと訴える。御所の横には自動販売機なんかなく、私も何か飲みたくなったので神宮外苑の森のビアガーデンへ。

台風のせいで天候が安定せず、外で飲むのにはあまり向いていない日だったにもかかわらず昼飲みしている人たちが結構いた。我々もあくまでも散歩の通過点、な訳でがっつり飲むつもりはなかったが、痛風予備軍のため控えていたビールをどうしても飲みたくなる臨界点に来ていたのでかまわず行っときました。一番搾り東京づくり。でも作っているのは横浜は子安にある工場。

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ビール会社の方に伺うと、一番旨いのは樽生ではなくて瓶ビールとのこと。そしてここは一番搾りのアンテナショップ的な存在でもあるので、ここで飲む一番搾りは不味い訳はない。

私はキリンラガーが好きだったのだが、最近キリンの決算説明資料を見たらビール類の販売数量ベースでいわゆる「なんちゃってビール」が6割、一番搾りが24%で残り11%が「その他」。

かつての基幹ブランドキリンのラガーは「その他」の中の一つ、に成り下がってしまったようだ。なんだか残念。そしてラガーではなく一番搾りで暑い日に喉の渇きを癒すビールを満喫。

mbg.rkfs.co.jp

 

池袋 クエルクスバー

ググれカス、でもなく、某商社が会計操作していると指摘したグラウカス、でもなくクエルクス。オークのことだ。先日おバカな映画を見に来て以来の池袋。金曜日の夜9時半過ぎ。帰宅方向と逆ではあるがとんでもなく遠回り、というほどでもない。

東口を背にしてしばらく歩くと、豊島区役所の解体現場があってすぐその先のビルの地下。入っていくと先客がカウンターに4名、テーブルに2名。カウンターの一番端に陣取る。一杯目はタリスカーソーダ。あっという間に飲んでしまった。旨い。脇を見るとボトルキープされたウイスキーが棚に置いてあり、飲んだことのなかったTullibardine(タリバーディン)とお店のコラボボトルがあったのでそれをお願いしたが残念ながら品切れ。同じくお店と蒸留所とのコラボのMacduff2007年を頂く。蒸留所の名前はMacduffだが、売られるウイスキーの名前はGlen Deveronの時もある、という珍しいパターン。お店の14周年記念のボトル。

バックバーはカウンターから少し距離があるのでラベルがよく見えなかったが、オフィシャルだと限定物が多く、あとはボトラー系。

3杯目はLinkwoodの27年、Whisk-Eが入れた限定物。ジャケ買い。サソリのラベルがかっこいい。84年の蒸溜。最後にいい感じでパフューミーになる。ブルゴーニュのピノの熟成されたものを飲んでいるよう。
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店に入った際に一人でカウンターに立っていた30代前半ぐらいに見えるお兄さんと世間話やウイスキーのあれこれの話をしていて盛り上がる。声が低くてよく通る、多分カラオケ行ったらみんなを感心させるタイプの人。この方がてっきりオーナーさんかと思っていたらそうではなかった。

お兄さんにアイラのウイスキーを締めに飲みたいのですが、といって出してもらったのがBunnahabhain(ブナハーブン)。Led Zeppelinのアルバムデザインみたいなラベル。かっこいい。ピート焚いてないながらもしっかりピーティ。仕込み水の段階でピートの茶色が入ってますから、アイラの場合。これも旨かった。加水するとより強く感じる、という出来の良いウイスキーにありがちなパターン。 

そしてぼちぼち帰ろうかな、と思っていたらオーナー登場。いいウイスキーばかり飲んで頂いて、とお礼を言われて、こちらこそいいもの飲ませて頂いてありがとうございます、と思う。

イチローモルトもいくつか置いてあって、ジョーカーがあったので凄いですね、というと肥土伊知郎社長のご実家が十条にあり、よく秩父から池袋に飲みに来られるので置いてあるのだそうだ。また最近では北欧からの観光客がよく来るらしい。1杯5000円とかでも飲んでいく、という。そりゃ我々もアイラに行ったらアイラでしか飲めない高いウイスキーがあれば、金に糸目つけずに飲みますよね、と言ったら確かにそうですね、と笑っていた。

ソサエティーから日本限定のBowmoreでいいのが入ったので是非飲んで帰ってください、と言われ、先ほど締めの一杯をお願いしたんですけど、と苦笑すると、それだけの価値はあるので是非、と強めのプッシュを頂く。そこまで飲食業の方がおっしゃられることはあまりないので、これは本当に希少な旨いものを勧めて頂いていることもがよく分かり、頂くことに。マンゴーの甘い香りが強いBowmoreなんて飲んだことなかった。最近オフィシャル飲んでも全然感心しないのに、何これ凄い。ピートと甘みの絶妙な調和。やはり人の言うことは聞いた方がいい。 

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都合5杯飲んで、諭吉と漱石が仲良く一人ずつ出て行った。クオリティ考えると安い。変な六本木のバーで飲むのの3分の2か半分ぐらいか。また池袋にも来ないと。

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渋谷 Caol Ila

渋谷Caol Ilaでこの前初めてAuchroiskを飲んだ。読み方分かります?正解はオスロスク。旨くてその場で携帯から同じボトルを早速購入。

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そして昨日、倉敷の酒屋からブツが届く。ちなみに包装で緩衝材に使われた新聞は山陽新聞。渋い。BBRの復刻ボトルの見た目が好きなのだが、今のボトルも決して悪くない。ロイヤルワラントもついてかっこよい。BBR日本法人が入れたボトルだが、BBRが日本でウイスキーのインポーター業務から撤退した際に処分したもののように思われる。当時は相当安く投げ売りしたのではなかろうか。今となってはお宝だ。

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これもいつ口開けしたらいいのか悩む。10年ぐらい忘れたままにしておいてもいいかもしれない。

 

 

 

 

 

南千住の尾花でうなぎを食す

世間では山の日からお盆休みが始まっているらしく、朝起きてニュース見たら中央高速が相模湖から50㎞渋滞とのこと。じゃあ都内は空いているかもしれないので、久しぶりに南千住の尾花に行ってうなぎでも食べるか、と思い立つ。

拙宅から尾花までは電車で一時間。10時ごろにお店に電話してお盆休みでないことを確認して、開店30分前の11時に現着すればいいかな、と考えいそいそと準備。で、10時になってそろそろお店の方も来たかな、と思い電話してみた。

確認するとお店は営業しているとのことだが、「11時にきて並んでもおそらく1回目には入れませんよ」と言われる。いや、今から行っても11時になるんですけど。うなぎ、うなぎと盛り上がった気分が一気に冷める。

一瞬あきらめかけたが、クルマで行けば30分ちょっとで着くので酒飲むのをあきらめて慌てて首都高乗って入谷を目指す。外環と中央環状線ができてほんとありがとう、空いてるぜお盆の都心。すっ飛ばして行ったら10時半過ぎには南千住の線路沿いの尾花に。昔はドヤ街の中に突然うなぎ屋が出現、という感じがしたが今は周りも随分きれいになった。でもすでに炎天下に人が15mほど列をなしている。店の隣のコインパーキングにクルマを停める。
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日光街道を浅草から尾花のある南千住に向かうと、常磐線の高架の手前に泪橋、という交差点がある。その先、尾花のすぐ近くに江戸の三大刑場の一つ、小塚原刑場があった。そこに向かう罪人が最後の涙を流したから泪橋、と言われている。刑場は今は小塚原回向院となっている、というか正確に言うと常磐線の建設で寺が南北に分断され、日比谷線常磐線に挟まれたところにある延命寺が刑場だったといわれる。まあそういうところだ。

朝は比較的涼しいな、と思ったが大間違い。1時間弱並んで待つのに帽子もしくは日傘、そして飲み物は必携。線路わきで陽を遮るものがない。いきなり店入った途端にぐびぐびビールとか飲んだらひっくりかえってしまうかも。そして汗かくからうなぎもよりうまく感じられるのではないかとも思う。


11時過ぎにお店の人が人数の確認にやってくる。店に入る前に全員揃っていないと入れてもらえない。その後改めて開店10分前ぐらいに人数揃っているかの確認があり、ちょうど私を含む2、3組が一回転目に入れるかどうか微妙なところ、と言われてしまってドキドキする。11時に入れないと、次に入れるのがおそらく早くても1時間半後。ということは並び始めてからは2時間待ち。ネズミーランドも行かないし、バーゲンで並ぶなんて死んでもしないので、私の人生でそんなに並んだことなど記憶にない。

そして開店。お庭の前のシャッターが開く。大丈夫か、大丈夫かと思ったが滑り込みセーフ。われわれが並んだのとほぼ同時に列を作ったひと組あとの二人まで入店。その直後に来た人たちはさらに1時間半待ちぼうけ、とわずかな差で明暗が分かれた。

店は入れ込み。神田の鳥すきのぼたんの二階のように、大広間にちゃぶ台がたくさん並んでみんなで一緒に仲良くいただく。
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奥の調理場には蒸籠が積み重なっているのが見える。

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鰻重、肝吸い、白焼きと鯉のあらいをお願いする。鯉のあらいをつまみながら小一時間ほど待つと、まず白焼きの登場。

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身が厚く、箸で持つとほろほろと崩れてしまうぐらいの柔らかさ。何とか摘まんで山葵を乗せ、軽く醤油につけるとさっと醤油の表面に脂が溶け出す。山葵もうなぎも甘く、山葵がうなぎの脂を引き締めてくれる。

我々が白焼きを食べているうちに他のお客さんのお重がどんどん運ばれてきて、香りが漂ってきてますます食欲がそそられる。白焼きを食べ終わって待ち構えているとようやく本日の主役が登場。

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こちらは大きいほうのお重。関西のうなぎは焼きが強くてパリッとしているが、尾花のうなぎはそれの対極にある。しっかりと脂の乗ったうなぎの旨さを蒸しで閉じ込めてたれの香ばしさを引き出すために軽く炙る、という感じだろうか。
身と皮の間の脂が甘いこと。そして白焼き同様にふっくらふわふわ。蒸しが強いと身が水っぽくなってしまいがちだが全くそんなことはない。そして主張しすぎない米とさっぱり目のたれがよく合う。これまでも東麻布や川越や三ケ日や名古屋、京都などさまざまなところでうなぎを食べてきたが、ここまで他の店との違いがはっきりしている事実を思い知らされ、改めて偉大さに想いを馳せる。ある意味東京のうなぎの極北。そして東京の食べ物の極北。

店内にはとても大きな神棚があり、庭には二羽ニワトリが、じゃなかった、庭にはお稲荷さんが祀られている。目には目を、歯には歯を、庭には二羽ニワトリを(©安住紳一郎)。
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家人と3人でお勘定は昼から二諭吉を超える。なかなかな贅沢だが、こんな贅沢がそんな値段で味わえるのは世界中で東京だけだ。ある確立したジャンルの食べ物の最高峰を極めるのにそんな値段で済む、と思うととんでもないバーゲンだと思う。だから人は夏の暑さの中でも寂れた常磐線の横の小道に今日も列を作るのだろう。

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ヴェトナムに来てみたの巻

諸事情あって突然私の夏休みが始まった。どこに行くか一瞬悩み、マイレージで空席のあったハノイへ。一昨年のスコットランドツアーも、昨年のクロアチア/トルコツアーも直前に決めたので、家族も慣れたもの。ハノイの宿とヴェトナム中南部のリゾート地ニャチャンへの国内線と宿を極めて適当に押さえて、8泊9日の旅程が完成。

羽田を朝9時前に出ると、5時間でハノイ。ヴェトナム初めて。土地勘全くなし。人がたくさん。バイクがそこらじゅうを走り回っていて、一方通行でも逆走してくるし信号無視は当たり前だから全く油断できない。クルマは始終クラクションを鳴らしてうるさい。道を横断するのも命がけ。人<バイク<クルマの優先順位がはっきりしている。

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食べ物は旨い。発酵調味料が多くて日本人の口に合う。当たり前かもしれないが野菜は新鮮。揚げ物にはコリアンダー(パクチーってタイ語だと最近知った)、シソ、ミントなどのハーブが大抵添えられていて、さっぱりするだけでなく体に良さそう。 f:id:KodomoGinko:20160806105506j:plain街がもうあり得ないぐらいカオス。嫌いじゃない。気温30度を超える路上で肉を捌いている。新鮮なうちに捌いて新鮮なうちに食べてしまう、ということなのだろう。f:id:KodomoGinko:20160806121946j:plain練炭とコンロ、鍋を持って来れば路上レストランのオープンだ。朝からオフィスの前でフォーをすすっているサラリーマンも多い。ハノイ中心部のオペラ座からちょっと裏道に入るとこんな景色が広がっている。f:id:KodomoGinko:20160806122002j:plain滞在2日目に台風がハノイの街を襲い、えらいことになっていた。f:id:KodomoGinko:20160806122711j:image

f:id:KodomoGinko:20160806122727j:imageアメリカに戦争で勝った国の誇りを感じさせる戦争博物館。鹵獲したヘリコプターの上でヴェトナム国旗がはためく。f:id:KodomoGinko:20160806122749j:plain鹵獲した戦車の後ろは撃墜した米軍機の残骸を使ったモニュメント。

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街に社会主義のプロパガンダがたくさんあるので一部の人には郷愁を誘うのではなかろうか。

いくつか日本人からすると不思議なものがあった。まずこれ。謎のジュースだが、ラベルをよく見てほしい。f:id:KodomoGinko:20160807171042j:plain鳥の絵がかいてあるのに気が付いただろうか。燕の巣入りジュース。ココナッツウォーターを思わせる甘さ。中身はこんな感じ。

f:id:KodomoGinko:20160807171110j:plainあとは何故か謎の海苔巻きが描かれたポテトチップス。よく見るとただののり塩味じゃないか。

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ハノイには一人でしみじみとウイスキーをなめるようなバーはあまりないという。家族旅行ということもあってあまりアドベンチャラスなこともできず。

そこからリゾート地ニャチャンへ。国内線で2時間ほど。白い砂と青い海が広がる。ハワイに行くと8時間かかって時差がきついが、ヴェトナムだと時差が2時間なので短期間の旅行だと体に楽だ。

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奥に見える漁村からは毎晩イカ釣り漁船がたくさん沖に出て煌々と灯りをともして漁をする。そして明け方にまた帰ってくる。そんな生活を何百年も続けているそうだ。

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帰りの免税店でKavalanのリッターボトルを80ドル、Laphoroaig An Cuan Morを95ドルでゲット。An Cuan Morは試飲で口に含んだら眠気が吹っ飛んだぐらい刺激的だった。口開けするとこなれてくるのだろうか。BalvenieのTriple Cask16年やGlenlivetのNadurraのAmerican White OakとOlorosoなど惹かれるものもあったが、いずれも信濃屋で買ったほうが安かった。さすが信濃屋。 

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結局一度も嫌な気持ちになることなく、素晴らしく心の平安を取り戻したヴェトナム旅行だった。アジアよりもハワイ、という方も多いかとは思うが、ヴェトナムいいですよ。オススメします。また行きたい。

 

 

 

 

 

Too young to die!

最近ふるさと納税モーションセンサーと脈拍センサー、それにGPSのついた腕時計を手に入れた。ランニング用に重宝しているが、個人的に一番興味深いのは睡眠の質の計測機能。センサーで睡眠に入ったことを自動で検知して、睡眠中の脈拍と腕の動きで眠りの深さを計測してくれる。


だがその結果が結構ひどいのだ。下が睡眠の質を可視化したグラフ。土、日、月の晩は深い眠り、すなわちグラフの深紫の部分があるが火曜日から深い眠りはゼロ。いや、朝起きた時の感じでもちろんわかってはいたけれど、こんなに露骨に可視化されると改めて凹む。

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平日は会食が入っていて酒を飲む機会が多くて運動できず、運動でストレス解消できないので会食後また酒飲んで結果として深酒になり、アルコールのせいで脈拍が上がって熟睡できていないのかも。酒飲むと眠れる気がするが眠りの質は悪くなる、というのを改めて思い知る。アルコールだけが悪者なのではなくて、当然仕事のストレスもあるのだが。

で、いつもと違うことをしてみる、というのもストレス解消の手段らしいし、笑うこともいいらしいので、珍しく仕事の後に予定のなかった晩、一人で映画を見に行った。金を払って映画を見るのは今年2回目、前回は「ヤクザと憲法」、今回は「Too young to die 若くして死ぬ」。宮藤官九郎の映画で、地獄で鬼がへヴィメタルバンド組んでいる、というコメディだ。

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銀座や渋谷の映画館ではちょうどいい時間から上映される回がなかったから平日夜の池袋へ。人が多くて独特の雰囲気。上映時間ぎりぎりに行くと席の3分の2ぐらいは埋まっていて、女性限定で1100円の日だったせいかほぼほぼ女性だけ、ごくわずかにカップル。私の右側には20代女子二人連れが、左側には小学校高学年の娘連れの母親。スーツ姿の男なんか俺だけだよ。

内容はネタバレになるので書かないが、若造りしたCharと野村義男カメオ出演でギターソロ対決、という予想していなかった展開で爆笑、女装したマーティーフリードマンRolly寺西が出てきた時点でRock Fujiyamaの再現か、と思って爆笑、ジミヘンとRandy RhoadsStevie Ray Vaughanの腕が山野楽器ならぬ鬼野楽器で売られていて…というくだりで爆笑、と周りと全く違うツボとタイミングで大爆笑。完全に浮く。でもそれでいいのだ。こちらはストレス解消が目的なので。Mission completed。しかし下ネタ多いので、娘連れのお母さんとか気まず過ぎたはず。死んだ直後にインコの姿に変えられて実家に戻ってみたら、葬式終わったばかりなのに弟がエロ本読んでいてがっくり、その場をお母さんに見つかる、みたいなコテコテ系。

映画の後、せっかく池袋に来たのだからと思って楊2号店で汁なし担々麺と餃子を食べ、尿酸値問題で止めていたビールを誓いを破って2杯だけ飲んで帰宅。自宅でさらに飲むことはせず、熟睡できるといいな、と思ってベッドへ。

だが残念ながら翌朝確かめると、深い睡眠をとれた時間はゼロ。おバカな映画見に池袋行って1800円払った意味なかったじゃん、と言いたいところだが、アホな映画を一人で見に行くという中年男子には結構高いハードル乗り越えるための壮大な言い訳だった、と思えばそれでよし。

そして開き直ってどうせ酒以外の手段でもストレス解消しないのならむしろ飲んでしまえ、と思うところが酒飲みのバカなところだ。

いつもの渋谷の店に行って、カウンター越しにバカ話から真面目な話もして盛り上がる。少々睡眠の質が低かろうが、楽しく酒飲んでから寝たほうがすっきりするというもの。

最初からフルスイングで前回飲んだCadenのCaol Ilaから。以前は物凄くスムースで綺麗な印象を受けたのに今回飲むと一番初めにピートが立ち上がってくる。やはりウイスキーは飲む順番で味が変わるのだな、と改めて実感。そうなるとどの順番で飲むかも重要になってくるので、また難易度上がる。
どこのボトラーのものか忘れてしまったが1981年はCaol Ilaの当たり年ということでそれをいただき、その次におそらく私好みだろう、ということでマイナー系GlenAllachieをいただき、ドンピシャでツボにヒット。こういうバーボン樽熟成系は本当に大好き。そしてAngel's Choiceの1976年蒸留38年熟成Caol Ilaをいただく。これも言われないとアイラのウイスキーとは気づかない、年数相応に丸くはなっているものの奥深く味わうと出自が分かる味。

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そしてまたCaol Ila、Teaninich。この辺になるといい加減酔いが回ってきて記憶が怪しくなってくるが、Teaninichも大好きな味。

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 好きなウイスキー何ですか、と聞かれるとDailuaine、と答えていたが、Teaninichもそこに加えていいのではなかろうかと思う。どちらもあまりにマイナー系で、その質問にそう答えるのは相当の天邪鬼だが。

 

tooyoungtodie.jp

 

 

ふるさと納税 諏訪市

www.furusato-tax.jp

セイコーエプソン Pulsense

youtu.be

 

www.tv-tokyo.co.jp

リベラルデモクラティックパーリーナイト(笑)

忙しい週末だった。土曜日は5時起きでロンドンから戻ってきている先輩とゴルフのはずだったのだが生憎の雨。強行するかどうか悩んだが結局先輩がキャンセルを選択。代わりに朝から飲むかホテルで朝食でも、と思ったら結局ビジターは時差ボケでもっと寝ていたいとのこと。その代わり昼からなぜか田町の串揚屋で昼飲み。せっかくロンドンから帰国しているのだからウナギでも食べればいいのに、と思ったが結局3人で一杯380円のハイボール飲みながら串揚げ食べて旧交を温める。


でも酔っぱらうわけにはいかないのだ。酒臭い赤い顔の運動員から投票のお願いされても困ってしまうでしょ?最初の会社で仕えた上司が参院選に出ていてそれも事前の予測では当落線上、そのお手伝いをしに行くことになっていた。私の政治的指向性はともかく、6年間毎朝駅前に立って自らの政策を訴え続けることを日課にしていた元上司が当落線上にいると思うと手伝わないわけにはいかない。当選した暁には特段私にいいことあるわけでもないのだが。今回無所属で立候補しているので政党助成金(というか我々の税金だが)を受け取ることもできず、選挙運動はおそらくすべて自腹。1期6年務めた現職とはいえ落選すればただの人、持ち出したコストも全てパー。

ビラは適当に配っていいわけではなく、選挙管理委員会に届け出がなされた腕章をつけた運動員だけが証紙が貼られているものだけ配っていい、というシステム。東京近郊の大ターミナル駅で演説会、それもゴルゴ13好きの副総理とハイトーンボイスの原発反対派現職大臣が応援に来る、というヘヴィ級のイベント。人だかりがどんどん大きくなってきて、広い駅構内の通路が半分埋まるぐらいの熱気。SPがたくさんいるし、地元警察の警備課からの応援も多い。そして捜査二課の人たちも。


漢字の読めない元首相は大人気。苗字の違う太郎がもう一人いたが、集客力では10倍ぐらい違う。女性のSPがついていて、絶対この人は倒せないだろうなという妙な確信を持った。

そしてすごい動員だった演説会が終わり、最後のお願いをする県庁所在地まで電車で移動。18日間の選挙運動が終わる午後8時までラストスパート。午後からずっと立ちっぱなしで腰を低くしてビラを配っていると腰が張ってくる。しかし候補者はこれを朝から晩まで18日間ぶっ通しでやっていると思うと疲れたなんて言っていられない。

だが確実にへとへとになり、9時過ぎから有志で私の大好きなシュウマイ作っている中華料理屋で打ち上げをして真夜中に帰宅。

日曜日は早起きしてトレーニングベンチでダンベル使いながら筋トレ。その後軽くジョギング。近くのスーパーで豚バラ肉と丸鶏を買って帰宅しようとしていたら、近所の安倍首相の自宅前で黒塗りの車があわただしく動き始めたので私邸前に行ってみる。昨日は副総理、今日は総理の顔が見られるかも、だ。
警備のお巡りさんに「安倍さんがそろそろお出かけになられるのですか?」と聞いたらそうです、とのこと。マジガチの警護の人たちがセンチュリーを囲み、そろそろマンションからお出ましかな、と思っていたらさっきのお巡りさんが来て「ちょっとすみません」と言われて排除されてしまう。いや、ランニングする格好で手には肉のハナマサの袋下げているだけなんだけど。まあでも警護の人からすると図体のでかいおっさんが近くにいるだけでよろしくないのだろう。公僕の仕事の邪魔しても何なので現場を離れる。

豚バラ肉を600gほど野菜とともに焼いて、バルサミコソース作って肉にかけたランチを家族で食べ、子供と遊んでいると日曜日のイベント、都内某所でのウイスキー試飲会の時間に。6月のスコットランドツアーで仕込んできたウイスキーをみんなでいただくという会。いつもは夜カウンターでご一緒する人たちに陽が高いうちからお会いする、ってのもなかなか非日常でいい。

このCadenのJuraはアタックの強い穀物感あふれる味が力強く、フィニッシュまでは比較的短いが男らしい力強さが。樽の中ではなくてボトリングされてから20年近く熟成されているのにすごい。f:id:KodomoGinko:20160712231922j:image

そして次のCadenのSmall BadgeはCaol Ilaのいいところってどんなところ?と聞かれたら挙げるであろう美点をすべて備えたといっても過言ではないCaol Ila。美しすぎる。

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そしてアイルランドのとても女性的で優しいウイスキー、Teelingで癒される。雄弁な男性の話ばかり聞いていると疲れてしまうので。

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そして次も女性的なFarclasですよ。本当に綺麗で優しい。理想的。女性の膝の上で頭を撫でられているかのような感じ。変態か。本当にスムース。

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お次はArranのミニボトル。あまり期待しないで飲んでみたら美味くてびっくり。先日飲んだシェリー樽のArranもよかった。

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そしてまたCaol Ila2連発。こちらと次のボトルは以前すでに飲んでいて、どんな感じかわかっている。この2本を購入して帰った。

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このG&MのCaol Ilaはいつ開ければいいのだろうか。自分の家で口開けするにはよっぽど特別の機会がないともったいない気がする。熟した桃の香りがするCaol Ilaなんてそうないだろう。

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いくつかのボトルはお代わりして飲んだので、3時間で完全にへべれけに。朝筋トレしてランニングしたので背中が張っていて、酔っぱらったままマッサージ屋に行ったらうつむけになった途端に寝込んでしまったようで、気が付いたら1時間経っていて終了、と言われた。酔っぱらって寝ている間は本当にマッサージしてもらえているのかよくわからない。腰は楽になったような気もするし、そうでない気もする。そこんとこどうなっているんだろう、教えてエライ人。

千鳥足でいつもは10分ぐらいのところを倍ぐらいの時間かかって帰宅。混濁した意識の中で週刊こどもニュースのおじさんがやっている開票速報番組を見る。某県で最後の議席をぜひお願いします、と言っていた私の元上司に午後11時半ごろ当確が出て、某県最後ではなく全国最後の選挙区の議席を獲得したのを確認したのち、私の長い週末は終わった。ある意味いろいろ充実していたといってもいいかもしれない。

 

オチのない最近の飲み食いの記録

朝7時15分発の羽田発の飛行機に乗り関空へ。朝食は基本的に必ず食べるので、6時から開いているスタバでコーヒー買って地下のヴィ・ド・フランスでパンを買って機内で食べる、というのがいつものパターン。機内サービスでは大抵スカイタイム、というキウイ味の酸っぱい飲み物とお水をもらう。でもこのスカイタイムを紙コップに入れてもらうと、健康診断での一場面を常に思い出してしまう。

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伊丹空港への着陸の際とは全く異なる、夏休みどこに行こうか人に思いを巡らさせるようなのどかな雰囲気が窓の外に広がる。そして関空に着陸。小一時間ほどレンタカーのハンドルを握って客先へ。仕事を終えてせっかく和歌山まで来たからにはランチに魚でも食べたかったが、残念ながら帰りの飛行機まで時間がない。「駅の中のラーメン屋が旨いですよ」と同行した後輩が言うのでそこで手を打つか、と思っていた時、街の中心部で「井出ラーメン」と書かれた看板が目に入る。外観からしてまさに昭和のラーメン屋。


さっきまで駅の中の店に行こうと主張していた若者は、「ここ和歌山ラーメン発祥の店だよ」というとミーハー心に火が付き、ぜひここで、という。何とか2人座れたが、小さな店の中はすし詰めで、みんな肩を微妙に斜めにしながら狭いスペースで譲り合ってラーメンをすすっている。特製ラーメン味玉入り、を注文。

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醤油とんこつ味。ストレートの細めの麺が絡む。玉子は別盛り。そして一口サイズの押し鮨、一個150円、も食べる。昭和20年代から続く味は、今となっては普通によくある美味しいラーメンの味だけれど昔は革命的だったのではなかろうかと思いつつ、店を後に。

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会社のアシスタント2人にいつも世話になっているので、たまにはゆっくりランチでもご馳走しよう、ということで神田明神下の神田川へ。

3日前に予約を入れ、事前に注文も入れて11時半からの時間でお願いしておいた。前のミーティングが長引いたのでアシスタントたちに時間に間に合うよう先に行ってもらう。私は15分ほど遅刻しているのでタクシーで向かう。それほど遠くないのでビルの車寄せに停まっているクルマではなく、流しの中央分離帯寄りの車線で信号待ちしている四社の空車のタクシーに手を挙げると、なかなか私の目の前まで来ない。そして止まったところも微妙に私の立ち位置からずれている。そして営業所は世田谷、と書いてある。
これはキビシイのを捕まえてしまった、と乗る前から分かっていたが、やはり、だった。明神下の交差点までお願いします、と言ったがやはり道を知らない。カーナビ入れようとするので、とりあえずまっすぐ行ってくれ、と頼んだら後方確認の甘いままに慌てて発進して、後ろから来たトラックが結構な勢いで迫ってきたので小さな悲鳴を上げてしまった。ずっとまっすぐ行ったら明神下、と書いてある大きな交差点があるから、そこを越えたところで止めてください、と言っているのに、まだですか、とか信号いくつ目ですか、とか聞かれて辛かった。

遅れて店に入って、黒光りする階段を上がって二階の奥の座敷へ。20畳ぐらいはあるだろうか、3人で使うには広すぎる個室。お姉さんがお茶をもってきてくれて、注文を聞かれ、「予約の時に注文したはずですけれど、大きなうな重3つで」と言ってみたものの、おそらく焼き場への注文は通っていないのだろう。こちらは1時までには帰らないといけない立場で、もう12時前。これも結構厳しい。お椀は肝吸いか赤だしのいずれか、と聞かれ、肝吸いとあれば肝焼きを、とお願いする。

肝焼きは今日はない、ということで残念。そして肝吸いもない、というので赤だしに変更。さらに厳しい。

ダメ押しは、焼き場の手違いで大きいお重が2つしか出ない、とのこと。アシスタントの一人が「私は小さいのでいいです」と言ってくれる。

いろいろ厳しい目にあったが、大好きなうなぎが来るとすべて忘れられる。すでに12時40分になっていたが。ここのお重は上品でいい。そもそも見た目からして品がある。脂っこすぎると品がないので、ちょっと物足りないかな、と感じさせるぐらいがちょうどいい。

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お詫びに、と言ってグレープフルーツゼリーが出てきた。下足番をしていた男性が若旦那とは知らなかった。丁寧にお詫びしていただいてこちらが恐縮。運の悪い一日だったがうなぎは旨かった。

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自宅で夕食をとった後、ランニング。どこに行こうか迷った挙句、渋谷区をぐるっと一回りして最終地点は広尾の商店街にある銭湯、広尾湯へ。着替えを持って走り、7キロ強ほど走って汗まみれになり、銭湯の扉をくぐる。セレブ御用達の印象のある広尾だが、外苑西通りよりも恵比寿側は下町の香りを残す。そして銭湯はいつ来ても意外と混んでいる。

熱めの風呂にはほんのちょっとしか浸からず、洗髪(シャンプーというと銭湯っぽくない気がして)して体を洗ってすぐに出る。走って体は暖まっているので、烏の行水。
そして風呂上がりの一杯を求めて、前から行きたかった目黒のザ・マッシュタンへ。

目黒駅東口のロータリーのちょっと先を入ったところ。ほど近いオフィスに10年以上勤めていたのに、なぜか来る機会がなかった。近くの餃子屋にはちょくちょく来ていたのに。雑居ビルの前に看板も出さず、二階にひっそりと佇んでいるので窓のスコットランドとアーガイルの旗に気づかないと通り過ぎてしまうかもしれない。

最初にTaliskerのソーダ割をお願いしたが、18年しかないとのこと。それはもったいないので、Ardbegソーダをお願いした。ビールの代わりとしてはかなり素敵な飲み物。その後何を飲むか悩み、バックバーにArranのThe Bothy Batch Oneがあったのでお願いした。自宅用に買ったボトルを口開けする前に飲んでみたかったのだ。結果的にはまだまだ固すぎてもう少し。その後Elgin、Imperial、Allt-a-Bhainneというマイナー系ばかりを攻める展開に。お話ししながらたくさんのことを教えてもらった。特にAllt-a-Bhainneは飲んだことがなく、レモンの香りがして樽がいい感じで乗っている非常にうまいボトルだったので、また新たな発見ができてとても嬉しかった。

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毎年恒例の行事はいくつかあるのだが、そのうちの一つがサクランボ狩り。5月下旬から6月の週末に、中央道を北上して南アルプス市勝沼インター周辺の果樹園に行くことにしている。今年は昨年お邪魔した塩山の桜桃屋うちだ園に再訪することに。

中学校の体育館ほどもあるビニールハウスの中にサクランボの木が30本近く植わっていて、そこで40分食べ放題。3人で6000円払う、というので結構なお値段。その値段あったら桐箱入りのサクランボ買って食べられるんじゃないか、と思ったあなた、正しい。

でもわんさか木に実をつけているサクランボを食べ放題で遠慮なく食べるのは、本当に贅沢だ。うちだ園ではいろんな種類が食べられるし。

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JRの塩山駅からタクシーでも遠くない。朝一で中央道で出かけて1時間ほどでうちだ園に着き、40分サクランボ狩りをした後シャトーメルシャンへ。ここにも毎年立ち寄って、ワイナリー限定発売のワインを買って帰ることにしている。今年は北信シャルドネミッドナイトハーベスト2014をゲット。

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そして午後1時前には東京に。充実した午前中の使い方だった。

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会社の人と仕事の話をしながらステーキを食べた後、2次会で六本木通り沿いの某有名モルトバーへ。Balblairを頼んだつもりがBalvenieが出てきた。多分私が酔っ払っていたのだろう。改めてBalblair頼んだら置いていないとのこと。Laphroaigの200周年ボトルをまた頼み、そして先日信濃屋で購入したBBRのDailuaine22年を発見したので飲んでみた。これがやはり大好きなDailuaineの味。家のボトルをいつ開けるか楽しみ。でもこの店は複数のバーマンの態度が好きになれないので一人で来ることはないだろう。

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