東京ウイスキー奇譚 Islay Whisky’s blog

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 その1 その2 その3
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

洋食屋でカキフライを追加しただけで私の人間としての器の小ささがこれでもかと問われるまさかの展開に

「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ…」というのはこういう時に使うのか?今日某有名洋食店でランチを食べたところ私の人間としての器の小ささが赤裸々となってしまうという事案が発生。

どんな事案だったかを簡単に説明すると以下の通り。

ランチの開店と同時にほぼ満席、2人がけのテーブルに相席で座りミックスフライ定食にカキフライ追加というオーダーをお母さんに通す
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中年女性客が入店、私の隣に相席で座りメニュー見ずにミックスフライ定食を頼み、お母さんの「アジフライをカキに変えますか」というオファーを断る
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混んでいるので料理が出てくるのに時間がかかり、ようやく出てきたと思ったら別の若い店員が「お待たせしました、ミックスフライ定食カキ追加です」といいながら隣のおばさんのテーブルに出してしまう
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おいおいそれ俺のオーダーだし、俺の方が先に店入ったのに順番狂うのもおかしいし、と思って「間違ってません?」と言おうか逡巡するものの、もしかするともう一つミックスフライ定食カキ追加、が私のために出てくるかもしれず、何も言えず
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おばさんはなんとカキから食べ始めるのが見えて心の中でずっこける、私のはなかなかやってこない
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しばらく経ってようやく私の定食が登場、案の定残念なことにミックスフライのみで追加のカキフライなし
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若い店員に「追加のカキフライは?」と聞くと私の伝票を見た後隣のおばさんの伝票見て、しばらくパニクったあと「間違えたの自分なんで」とおばさんに謝る、今からカキフライ持ってきますんで、と私に謝る
    ↓
ミックスフライ食べ終わりそうになってようやくカキフライ登場、おばさん最後まで一言も言わず

まあこんな些細な出来事なのに、ちょっとしたことで人はとても複雑な思いを抱くわけですよ。こんな目に遭った私はどう考えても被害者で、何一つ悪くないはずなのに、なぜかとっても自己嫌悪。どんな自己嫌悪かというのを自分なりに分析してみた。

1. 頼んだオーダーが隣のおばさんに行ってしまったことで料理が出てくるまで待たされる時間が長くなり、ちょっとイラッとしてしまった自分に自己嫌悪

2. 俺のカキフライは?と言わずに黙って間違いを受け止めてそのままミックスフライ定食を食べ、その分だけお勘定を払っていれば気持ちが千々に乱れることはなかったのに、そんなに心にさざ波立ててまでカキフライ食べたかったのか俺は、と自分を責めて自己嫌悪

3. 席に着くなりミックスフライ定食を注文するぐらい「こなれた」客で、かつアジフライをカキフライに変更しなくていい、と言った割に「はいお待たせしました、ミックスフライ定食カキフライ追加です」と言われて料理が出てきても何も言わずさらになぜかカキフライから食べ始めたおばさんは無言のままで、この人は確信犯に違いないと人を疑ってしまう自分に自己嫌悪

4. 明らかに料理を出す順序もオーダー内容も店員が間違えているのに指摘できない自分のふがいなさに自己嫌悪

5. カキフライが後から出てくる前に食べ終わりそうになり、たかが自分のペースで食事ができなかったことぐらいでストレスを感じている自分に自己嫌悪

6. 最初からミックスフライ定食にカキフライを追加した値段を払おうと思っていたはずなのに、隣のおばさんが同じもの食べてミックスフライ定食の値段しか払わないかと思うと、最初に払おうと思っていた値段を払うのが腹立たしくなっているちっちゃな自分に自己嫌悪

7. 間違えた若い店員はあとから追加のカキフライ持って来れば問題ない、と思っているかもしれないが、実はそうではなくてあなたのせいで本来感じる必要のなかった物凄い自己嫌悪を感じながら食事をしていてすごく残念な感じでどうしてくれる!と思い、だが結果的には自分のオーダーしたものがオーダーした通り食べられたのだから問題ないじゃん、ちっちぇえよ俺、と思ってまた自己嫌悪

思い返すだけでもまた自己嫌悪に陥るので、こういう時はウイスキー呑むに限る。頼むよサービス業の人。我らを試みに遭わせず、悪より救い出し給へ。アーメン。

 

 

 

 

 

秋葉原コーヒー VAULT

秋葉原に所用で出かけ、ついでにコーヒー好きとして以前から気になっていたVault Coffeeに行ってきた。以前も書いた気がするが、ウイスキーをストレートで飲んで旨いと感じられる人の多くは、旨いコーヒーをストレートで飲めばその旨さを感じ取ることができるのでは、と思っている。ソースは俺。

秋葉原の駅から中央通りを少し北上して脇道にそれ、アキバ系雑居ビルの怪しげな入口を入り萌えキャラポスターががっつり貼られたエレベーターに乗って3階に。

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事務所を改装したのだろうと思しき物件のドアを開けると長いカウンターと奥にソファが見える。意外と広い。カウンターの中には若い男性一人。


カウンターの一番端に座ってメニューを眺め、「いつもエチオピアやグァテマラが好きで飲んでいるのですが、何がお勧めですか?」と聞くと名前を失念してしまったが特別なブラジルを勧められる。
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オーダーを終えてほっと一息、改めて店を見渡すと、一人で来ている女性客がカウンターでホットサンドのようなものを召し上がっていて、いかにも秋葉原という感じの4、5人連れが奥のソファーで盛り上がっている。だが意外と店が広いのでカウンターの端に座っていると気にならない。

床は仕上げ材なしで研磨した感じ、壁も天井もかなりミニマルな内装。カウンターの中も手作りな感じなので、おそらくカウンターの中にいる20代のように見える店主が一人で頑張ったのだろう。

コーヒー好きとしてはどのような落とし方をするのか気になるのだが、見ていて正直「これで大丈夫???」と最初思った。というのも豆を挽き、その粉を温めておいたポットに入れ、お湯をポットに注いで蓋をしてしばらく置いて、アラームが鳴ったらナイロンのフィルターにざばっと注いで温めたカップに一気に落とす、という一見とてもラフな淹れ方。まるで紅茶を入れるよう。

普通はハンドドリップで、首の長いケトルでネルに入れたコーヒーの粉をしばらく蒸らし、ゆっくりとお湯を注いで落としていく、という淹れ方をするのだが、こんなざっくりとしたやり方で美味しいのか?と疑問を抱きつつ飲んでみると、これが驚くほど旨い。香りが高いのに飲み口は軽く、何杯でも飲めそう。だが飲みごたえがないわけではない、という不思議な旨さ。

「美味しかったですか?」と尋ねられたので「美味しくて驚きました、なんでハンドドリップしないのですか?」と聞いてみた。

すると返ってきた答えが、「私は豆屋に働いていたので」。答えの意味が分からず、なんで豆屋で働くとハンドドリップではないのか改めて聞く。
そして再び帰ってきた答えが「ハンドドリップで入れると豆が売れないんです」。また???となる。

よくよく聞いてみるとこういうことだった。
「私はかつてコーヒー豆屋に勤めていて、ハンドドリップで美味しいコーヒー出すと淹れ方が上手いのでコーヒーが美味いと思われて美味しい豆が売れなかった。美味い豆から淹れるコーヒーは雑味がないのでハンドドリップでなくても旨い」とのこと。深いわ。VAULTではCup of Excellenceという最上級の豆を使っているので、適当に入れているように見えるやり方でも旨いコーヒーがいただける、ということだ。

「うちで豆買うと高いですけど、新大久保にあるトーアコーヒーで売ってもらうととてもいいコーヒー豆がすごく安いですよ」と教えてもらう。
でももう豆の売れ行きを気にしなくても、上等のコーヒー豆を上手い淹れ方で入れて特別美味いコーヒー出しても別にいいんじゃない、このお兄さんは美味いコーヒーよりも美味いコーヒー豆をこよなく愛している人なのかも、と思い少し可笑しくなった。

VAULT COFFEE

食べログVAULT COFFEE

 

 

 

 

 

 

香港で置き忘れた現金が何故か手元に戻ってきて運とは何か思いを致す

会社の後輩が出られなくなった某有名マラソン大会に、大した練習もせずに替え玉として参加したら30キロから尻と膝が悲鳴をあげ、やはりマラソンなめてたらダメだと思い知らされたその足で成田へ。そして空港でシャワーを浴び夕方の便で香港へ。

 

香港でお金を置き忘れたのに戻って来た。びっくりした。夕方携帯に現地の番号から着信があり、仕事の電話かと思って出たら先ほど訪れた銀行から。何だろう、と思ったらプラスチックバッグを忘れなかったか?と聞かれ、そうかもしれない、と答えると中身は何だったか聞かれ、1000ドル、およそ14000円ぐらいのお札一枚とコイン1枚、と答えると、もう閉店しているけど扉ノックしてくれれば渡すから今から取りに来て、とのこと。手続きの際にジップロックの袋に入れていた現金をカウンターに忘れてきてしまっていたらしい。ジップロック、とカタカナで書いてあってこれはどうやらさっきの日本人のものでは、と思って書類に携帯番号書く欄があったのを見て電話くれたようだ。

 

手ぶらで行くのも何なので何か手土産を、と思ったが、閉店しているのに遅くなり過ぎても申し訳ないので、近くのコンビニで何かないか探し、あまり冴えたチョイスではないとは承知で日本のどら焼き2つ入りの袋を3つ買って、閉店から1時間以上経ったHSBCの支店へ。

 

店のガラス扉から中を見ると、さっき窓口にいたお兄さんが短パンTシャツ姿に着替えていて、すぐにジップロックの袋を渡してくれた。お礼に、と言ってどら焼きの袋、それも香港のコンビニなので袋にも入れてもらえず包装も何もなしで、を差し出すと、規則で受け取れない、とのこと。いやそう言わずに、と軽い押し問答のようになってしまったが、結局受け取って頂けず。

 

お金はありがたいことに戻って来たが、どら焼き2個入りの袋3つを手に持って途方に暮れ、ホテルに持って帰っても食べないし日本に逆輸入するのも何だし、だからといって捨てるのも抵抗あるし、と思って悩む。そういえば昨晩ホームレスの人があそこにいたな、折角なので差し上げようと思って行ってみたがおじさんはおらず。だが夜露をしのげるところなので今晩また来るかもしれない、と思い、だが一方でゴミのポイ捨てのようで迷惑かもしれず、様々逡巡したが結局昨晩おじさんが座っていた場所にどら焼き6つを置いて来た。

 

しかし何故現金が私の手元に帰って来ることになったのだろう、逆にどうだったら帰って来なかったのか、銀行に謎のお金が残されていると管理上問題だったからなのか、香港の人が親切だからなのか、日本を贔屓にしてくれているからなのか、様々考えながら目についてふらっと入ってみた湾仔のバーで一人飲む。Back Barという、文字通りレストランの裏にひっそりあるバー。入り口はレストランの裏口のよう。気づかず行き過ぎて隣のビルの工事現場まで出てしまったらネズミが数匹逃げてちょっとびびる。引き返して無愛想なステンレスの分厚い扉を開けると、20人は入りそうなバーが現れる。週末は立って呑む人たちでごった返すのかもしれない。客は4分の入り。モルトバーではないがそこそこスコッチ置いてあるのでArdbeg and Soda、と注文。隣の香港人は山崎をストレートで飲んでいる。

 

カウンターで白人のお兄ちゃんが飲み物を作っているのを見ながら、サイドカーを飲み(レシピ見ながら作ってくれた)、タリソー飲んでいるうちに香港の夜は更けていった。

 

翌朝目覚めると携帯がやたらブルブルいうので何かと思ったら家人からのLINEで、大津波警報出ているとのこと。慌ててホテルの部屋のテレビを付ける。NHKのアナウンサーが「津波です、一刻も早く逃げてください」と強い口調で言っているのをずっと聞いているうちに5年前を思い出したのか、何故か涙が出てきた。もうアラフィフのおっさん、それもほとんど被害がなかった東京在住、にとってもトラウマになっているのだとすると、今回どれだけの人が改めてあの出来事を思い起こして再び心を痛めたのだろう、という思いに至った。幸せは築くのに時間がかかるが不幸せは人の人生に一瞬のうちに降りかかる、という非対称性の不条理について、そして昨晩も考えた運とは何かについてまた考えさせられた。どら焼きは捨てられていないと良いのだが。

 

www.cathaypacific.co.jp

 

 

 

 

 

ブラックニッカブレンダーズスピリットを大人買いなど今週の記録

ブラックニッカ ブレンダーズスピリット

大人買い、という本当の大人はあまりしないはずの極めて大人げない行為をやってみた。ブラックニッカ発売60周年記念のブレンダーズスピリットを箱買い。60年前に蒸留された余市などが入っているという話題の品、ありそうでなかなかない青色の瓶。

そもそも原酒不足で余市や宮城峡の10年がノンエイジになってしまったり、鶴17年が終売になってしまったりしたわけで、それでもブラックニッカ60周年には貴重な原酒がブレンドされる、それも一瓶2000円台前半で、というのはなんだか不思議な気がする。そういう意味では実質的にはノンエイジの余市と宮城峡とカフェグレーンのブレンデッドだと考えるべきなのだろう。こう書くと何となく見下したように聞こえるかもしれないが、ノンエイジの宮城峡が出たばかりの頃美味くて驚いたという記事を過去に書いたぐらいなので誤解なきよう。

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ラベルには「チョコレートのような甘い香りと、心地よいピートの薫香。長期熟成原酒ならではの円熟味とまろやかさが全体を包みます。しっかりとしたモルトの味わいとほのかなビター感。カフェグレーンの甘く豊かな味わい。穏やかなピートのコクと余韻が続きます。」と書かれている。

確かにふんわりと柔らかなチョコレートを感じるが、ピートはそこまで感じない、ものの最後にピートの香りがほのかに立ち上る。すごくきれいで、いい意味で何かつかみきれない感じがしてそれが何だったのか確かめるために何杯も飲んでしまう。まとめて買うと1本2000円強なので大人買いしても後悔はない。 1万2千箱の限定発売のうちの1箱。

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価格は安いものの、しっかり作っている感じが伝わってくるウイスキー。10年ぐらい放置しておいて、70周年と飲み比べてみたい。やはりニッカはマジメだわ。

 



 

islaywhiskey.hatenablog.com

 

家族サービスで日光へ

前週バイクで日光に紅葉を見に行った。東北道をかっ飛ばして矢板インターまで行き、県道56号線から日塩もみじラインへ。全然混んでいない上、バイク乗りにはたまらないワインディングロード。タイヤを新品にしてから日が浅いのだが、かなり端のほうまで使うことができた。紅葉のピークにはまだ早かったが写真でもわかるように十分綺麗だった。
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一人だけ紅葉を満喫して何となく罪悪感に苛まれ、家人たちにもこの感動を共有させたいと思って今週改めてクルマで日光を目指した。

 

日光宇都宮道路経由で堂々と正面切って日光に入るとどえらく渋滞するが、群馬側からアプローチすれば大して混まないことが事前のバイクでの偵察で分かっていたので、関越道の沼田から日本ロマンティック街道経由でアクセス。最初は秋晴れのいい感じだったのだが、白根温泉を過ぎたあたりから雲行きが怪しくなって雪が降り始め、山に近づくにつれ雪が積もっていて、まだ昼過ぎだというのに菅沼の辺りでは外気温1度。正直夕方とか走りたくない。スノータイヤじゃないのです、こちらは。
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群馬と栃木の県境の金精トンネルでは、吹きっさらしのトンネルの中が凍結していてバイクが転倒事故を起こしていた。危ない危ない。

県境を越えると景色は一転して栃木は晴れて暖かい。中禅寺湖がきれいに見えた。

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戦場ヶ原、中禅寺湖、第二いろは坂を抜け、日光山輪王寺大猷院で家康の位牌を見、二荒山神社にお参りした後日光東照宮を見る、というおのぼりさんのような日光観光。東照宮は今修復作業中で、白塗りの陽明門を見ることができた。

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これから極彩色の塗りを入れていくのだが、その前に一度真っ白にしてから、ということのようだ。これはこれで悪くない。日光市街では渋滞にはまったがそれ以外は問題なし。鬼怒川温泉で一泊。

朝早起きしてチェックアウトし、紅葉真っただ中の第一いろは坂というなかなかやりたくてもできないチャレンジに向かう。
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鬼怒川に一泊したおかげで渋滞する前にいろは坂を登ることができた。意外と流れが速くて紅葉を楽しむ、というよりも峠を楽しく走る感じになってしまいそうになる。昨日は素通りしただけの戦場ヶ原まで行って少し散策し、引き返して中善寺金谷ホテルの下のコーヒーショップで休憩。

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中禅寺湖では投網で小魚を捕まえている人がいて、たくさんの魚が仕留められていた。

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再び第二いろは坂を通って日塩もみじラインへ。いろは坂と違ってもみじラインはクルマの密度が低く、きれいな景色があったら徐行して写真撮っても問題ないぐらい。その割にはいろは坂よりも紅葉がきれいなので圧倒的にお勧め。

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日塩もみじラインを満喫した後、塩原側の料金所を越えて一つ目の右折できる交差点(土産物屋のわき)から広域農道に入り、ブラックマークが大量についた県道56号線を通って矢板インターまで。そこから東北道で帰宅。こんなに紅葉のピークのシーズンなのに全く渋滞することなく日本の秋を思う存分楽しむことができた。やはり四季がある国は素晴らしい、と心から思った。

 

 

 

 

 

ニッカブレンダーズバーなど

ニッカブレンダーズバー(表参道)

毎週水曜日のスイムのレッスンの後、どこで一杯飲んで帰るか悩み、表参道まで出てニッカブレンダーズバーに行ってみた。ジャパニーズウイスキーも別に嫌いではないけれど、最近割高になっているのでスルーしていたが、海外からゲストが来た時に連れていく前の下見と思って来てみた。SuntoryではなくNikkaを知っている外国人は相当マニアだとは思うが。


骨董通りをしばらく歩くとニッカの本社があって、その地下。9時半を回ったぐらいだったので先客は一組。
運動後なので何かソーダで割ったものが飲みたくなり、しばらく悩んで鶴17年のソーダを注文。以前京都寺町のサンボアで常連さんと思しき70前後の方が頼んでいたのを覚えていて、いつか同じものを頼みたいなと思っていたのだ。
鶴17年はまだ売っていたのか終売になったのか記憶が定かでなく、マスターに伺ったらやはり昨年終売とのこと。こちらの店ではまだ確保してあるが、もう数はないらしい。宮城峡のノンエイジ出たのも去年の今頃でしたね、という話になる。

喉が渇いているのもあってあっという間にソーダ割を飲み干してしまい、またしばらく悩んだ挙句にこの店でないと飲めなさそう、かつプレミアムがつき過ぎていないものをお願いする。宮城峡の2000年から2009年のヴァッテッド。ノンエイジの宮城峡の話をしていたので、なんとなく加水されてスムースな飲み口のものを期待して飲んでみたらかなりがっつりとしたカスクストレングスでびっくり。

その後全く同じスペックの余市をお願いする。いずれも何も言われずに飲むとスペイサイドと島系、と思ってしまうはず。余市はピートが適度に効いている感じでわざとらしくなくとてもいいと思った。
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カウンターにマスター一人しかいないのに7名の団体様がいらっしゃったので早々に退散。

 

MotoGP日本グランプリ

 もはや完全にウイスキーとはなんの関係もない世界だが、今回は私の趣味の中で最も酒と相性の悪い三つの趣味のうちの一つ、バイクの話。(ちなみに残りの二つはクルマとトライアスロン

年に一度のお楽しみ、バイクレースの最高峰MotoGP日本グランプリに行って結構波乱万丈だったので備忘録も兼ねて書く。

<土曜日>

05時15分 家からバイクでもてぎに出発
06時15分 守谷SA到着、朝からせたがやラーメン食べてコーヒー飲む
06時45分 中学高校時代からの友達と合流
06時50分 友人がタバコ吸っている間にSA内のGSで給油しようとバイク移動しようとしたらまさかのエンジン始動不能、一人で押しがけしてたら周りの人がバイクを押してくれてエンジン再始動、感謝!
06時55分 給油後また始動できず今度は友人に押してもらってエンジン始動
08時00分 ツインリンクもてぎに到着
09時00分-16時35分 MotoGP、Moto2/3フリー走行、公式予選を全て見る、陽射しが強く真っ黒に日焼け。
午前中応援しているホルヘ・ロレンソがFP3で練習走行中ほとんどだれも転ばない3コーナーで激しく転倒、ドクターヘリで搬送され、応援しに来た意味がなくなったと思って凹むものの、午後の最後の練習走行FP4にはヘリで戻ってきて3位のラップタイムをたたき出すのを見て感激、化け物か。
17時 前夜祭でフリースタイルモトクロスを観て大興奮、ETか。

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マルケスクラッチローも生で観られてテンションMax!
19時 宿泊予定の宇都宮のホテルに向かおうとしたらまたバイク始動できず、駐車スペースで友人にバイクに跨ってもらいひたすら押しがけするが全然ダメ、流石に200㎏超のバイクをずっと押しているとマジバテる
19時15分 見かねた周りの人たちが手伝ってくれる、感謝!でもエンジンかかる予感すらさせず絶望、体力も再び大きく消耗
19時20分 ダメもとで目の前のホンダコレクションホールに助けを求めたらツインリンクもてぎのスタッフを呼んでくださるとのこと、こういう車両トラブルもあるため専門のスタッフがサーキットに常駐しているとのこと、さすがホンダ!ホンダのバイクじゃなくてすみません、と謝るが快くスタッフを呼んでもらって感謝!
19時35分 白馬の騎士じゃなくて白いハイエース到着!ケーブルつないで一発始動。ただこのままだと明日の朝全く同じ問題が発生するはずで各所に電話して充電済みのバッテリー手に入れようとするもムリなことが判明
19時40分 安全策をとり、一泊して宇都宮で翌朝再びトラブル起こるリスクとるよりもエンストしないようにしながら今晩帰京することに決定、友人は宇都宮へ
21時 ガソリン切れでまた守谷SAにて給油、エンジン切ったら再び始動不能になるかと思って焦るが給油後セルが無事に回ってエンジン掛かって胸をなでおろす
22時 空腹と疲労でヘロヘロになって帰宅、嫁になんで家に帰ってきたのか訝しがられて簡単に説明すると大爆笑され、その後ずっと「ハイホーハイホー」みたいな鼻歌を歌っているので何だろうと思っていたらバイク王のCMソングだって。「バイクを売るならバーイク王」って売らねえし。アホか。とりあえずバッテリー充電し風呂入って爆睡

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<日曜日>

05時 起床、バッテリーの電圧高まらず、バイクで行くことをあきらめ新幹線かクルマで悩んだが、早朝ということもありクルマで行くことに決定
07時15分 水戸北インターから裏道使って渋滞回避し茂木町役場近くの場外駐車場に到着、裏道ではクルマの幅より狭い農道にはまりかけたがギリギリセーフ、危なかった!場外駐車場なのに3000円は高い
07時45分 茂木町内からのシャトルバスもそれほど時間かからず、ツインリンクもてぎに到着!
08時30分 開会式、航空自衛隊百里基地からT-4練習機2機が飛来してデモ飛行
08時40分ー10時 ウォームアップ走行、バイク芸人チュートリアル福田さんも目の前に現れる(白いTシャツの人)

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これまではバックストレート300㎞/hに近いスピードからフルブレーキングして曲がっていく勝負どころの90度コーナーで観戦していたのだが、今年はあっという間にチケット完売してしまったせいで1コーナー近くのV1スタンドからの観戦。ブレーキングして後輪が浮いてそこから2輪ドリフトしてコーナーに入っていくのが見られて面白い
11時 Moto3決勝、24歳の尾野弘樹が熱い走りで3位に入る(が車両規定違反があとから見つかり降着となる)
12時20分 Moto2決勝、中上貴晶が最後まで競り合うも4位に終わるがラストラップまでバトルで超盛り上がる
14時 MotoGP決勝、このもてぎでは今年のシリーズチャンピオンが決まるとはだれもが思っていなかったが、帝王ロッシが早々に転倒リタイア、そしてマルケスが優勝してロレンソが3位までに入らなければマルケスのタイトルが決まる、という状況の中でマルケスが先頭を走り、そして2位のロレンソが残り5周でまさかの転倒リタイア、そのままマルケスが先頭でチェッカーを受けてシリーズチャンピオン、という謎の展開。ヤマハはワークスライダー2人ともノーポイントなんてあり得ない。会場はロッシファンが4割ぐらいいて、転倒した後は葬式のような雰囲気
15時30分 若手の登竜門、シェルアドバンス・アジア・タレントカップを観戦
16時15分 コースウォーク

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その後シャトルバスにて場外駐車場に戻り、Google Mapの案内に従い裏道使いながら渋滞回避して帰宅、とても長くて楽しい週末だった。

 

 

 

 

 

 

最近の出来事など

コットンクラブにて

渡辺貞夫リチャード・ボナのライブに行ってきた。頂きもののチケットで、彼の直近のアルバムも聴かずに勉強せず行ったのだが、コットンクラブでの1時間半があっという間に感じたほど素晴らしかった。

開演1時間前についたら席はかなり埋まっていて、ドラムとパーカッションのすぐ隣のステージ右袖の席に陣取った。プレイヤー同士で目で合図する視線が自分のほうに飛んで来ているように錯覚する席。なかなかスリリングだ。
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楽器は音を出すための道具ではなくて、自分が伝えたいことを伝える道具であることを改めて思い起こした。久しぶりの生演奏を聴いて心の中の硬いものの角が落ちていった気がした。やはり自分は音楽が好きなのだろう。グランドセイコーさん、ありがとうございました。

そこでシャンパン、赤と白のグラスワインを飲み、同じビルにあるバーでハートランド、グレンリベット、マッカラングレンフィディックを飲む。そのまま家に帰ればいいのにまた渋谷のいつもの店で飲んでしまう。結局家に着いたら2時半だった。

 

 

自家焙煎珈琲屋 バッハ


夏休み、国立新美術館に行った帰りに寄った西麻布の赤のれんという博多ラーメンの店をすっかり娘が気に入ってしまい、週末も連れて行け、と言われたが日曜日は定休。だがよく考えたら丸ビルにも支店があることを思い出し、家族で出かける。

脂っこいラーメンを食べたらコーヒー飲みたくなって、日本一のエリートサラリーマンの集まる丸の内界隈から日本一のドヤ街に移動。「自家焙煎珈琲屋 バッハ」に行ってみた。
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大通りに面した店で家族を降ろして、裏道に入ってコインパーキングを探す。天丼で有名な土手の伊勢屋につながっているいろは会商店街の端では炊き出しが行われていて、その横のコインパーキングに止めようとしたら酔っ払いのおっちゃんが目の前で立ちションしていた。まだ午後2時。

窓を開け放したドヤの中には年を取った人たちが多い。働きにも行けなさそうな年だ。年金で暮らしているのかもしれない。そんな景色を見ながら大通りまで歩く。目指すバッハのすぐ隣のスーパーの横では地面に座り込んで酒盛りしている。子連れで来るとかなりの社会勉強、英才教育。

木のドアをくぐると違う世界が開ける。バッハと言いながらBGMがベートーヴェンなのはご愛嬌。ポットでサーブされるアウスレーゼコーヒーというのを頼む。豆はその季節で変わるらしいがメキシコのオーロラという種類。
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大好きなモンブランも頼んでみた。ちなみに私は大のコーヒー好き。コーヒーを豆から挽いて出社前に飲むために毎日早起きしているぐらいだ。コーヒーをストレートで飲んで旨いと思う人は、かなりの確率でウイスキーをストレートで飲んで旨いと思うのではないか、と心から信じている。 

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コーヒーは悪くなかったが、少し薄めの軽やかな味わいと香りで私の好みとは少し違った。店の名前からは静かにコーヒーを楽しむ喫茶店をイメージするが、実際はかなり賑やか。もう少し落ち着いた雰囲気でコーヒーに集中したい人も多いだろうに。

私の最近のお気に入りは堀口珈琲研究所エチオピアをハンドミルで中挽きで挽いて飲むこと。家で飲むのが正直落ち着く気がする。

tabelog.com

 

Blue Bottle Coffee

バッハに行ったのと全く同じパターンで今度は清澄白河へ。午前中は土砂降りだったので、いつもより人はいないはずだ、と思って。店の前で家人を降ろすためにクルマを停めたら迷惑掛かるので駐停車禁止、と言われてしまった。
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この倉庫のような建物が今一番東京でイキオイのあるコーヒーショップだ。中には大きなテーブルが2つ、その前には注文を待つ列ができている。私はブレンドを注文。ハンドドリップしているのを見ながら名前が呼ばれるのを待つ。

f:id:KodomoGinko:20161009232745j:imageやはりコーヒー好きからすると自分の一杯を落としてもらっているのを見るのは楽しい。

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家人はエチオピアを頼む。店員さんはエチオピアは粉を細かめに挽いているので落ちるのが遅いです、紅茶のような香りが楽しめますよ、と教えてくれた。
色も楽しめるようにガラスの器に入れてくれる。

f:id:KodomoGinko:20161009232758j:imageこうやって見るとワインのようだ。ガラス越しに映っている女の子がかわいいのでこの写真はすごく気に入っている。
ここでのコーヒーも香り高いが、いろいろとアメリカンな感じ。間違ってもカップの底にコーヒーの粉が残らなさそう。こういうのもありだとは思うが、家で飲むほうがいいや。

 

 

 

 

 

別れ

仕事を終えて帰宅したら、家でずっと飼っていたカブトムシがいなくなっていた。

娘の学校で「おうちでカブトムシの幼虫がさなぎになって成虫になるのを観察してください」という宿題を貰ってきたので、一年近く我が家にいたメスのカブトムシ。結局この2か月ぐらいは娘ではなく私が面倒を見ていた。

成虫になって一度脱走を試み、我が家の階段の上でひっくり返って脚をバタバタさせていたところを確保。その後しばらく一生懸命虫かごのふたを押し上げて再び逃げ出そうとしていたので不憫に思い、隣の大きな公園に放そうかと家庭会議。しかし「地元の環境を壊してしまう恐れがあるので自然に返さないでくださいと学校に言われた」という娘が主張し、そのまま我が家に居続けた。そして私が実質飼い主となって、毎晩エサをやったり土を混ぜたりしていた。

今日もエサを替えないと、と思って虫かご見たら、こんなことに。  f:id:KodomoGinko:20160918111722j:image

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やはり、一生を虫かごの中で終えるというのは不憫だという結論に勝手に家内と子供でなったらしく、私のいない間に放してきてしまったとのこと。
放してきたこと自体は全然咎めだてするつもりはない。けれどせっかくだから隣の公園にあるカブトムシが集まってくるクヌギの木の近くまで連れて行ってやりたかった。毎晩帰宅してつい虫かごのカブちゃんを覗きこもうとしてしまい、実は割と強い愛着が湧いていたのだな、ということに気が付いた。

カブトムシの家出と同程度の話題では全然ないのだが、一緒に働いてきた友が志半ばで会社を辞めるという。いろいろ考えるとそれも本人のためでもあるしやむなしかと頭では思うものの、寂しい気持ちは止められない。


癖のあるやつではあったが、彼にはいろいろ素晴らしいところがあった。

限られた資源で何か新しいことを始めるようとするとその代わり何かができなくなるので、思い付きや雰囲気だけではなくまず機会費用も入れたコストとベネフィットを数字にして比較できること。

限られた資源をやりくりしていかにチームの全体としてのパフォーマンスを高めるかがマネジメントの仕事なので、残念ながら全員にいい顔をすることができないことを理解して人のせいにしたりその場しのぎの対応をせず、時にはチームメンバーに厳しいメッセージも伝えられること。

自分の哲学を常に明確にチームに伝え、その時の感情で流されることなく一貫性のある決断ができ、結果彼がいない時でも下の人間が「あの人だったらどういう結論を出すだろうか」と簡単に推察できるので結論が出るのが速い組織を作ることができること。

マネージャーとして自分の声の大きさに物を言わせて一番物の分かっている現場の人間の判断を簡単に覆したりすることなく、信頼できる部下の判断は常に信頼し「餅は餅屋」であるということを理解してチームの士気を保ち、鼓舞することができること。

彼の美点はもっともっとあるのだが、これぐらいにしておく。

もちろん人はいいところもあれば悪いところもある。
人がわざとうやむやにしようとして周りもそれをわかっているところにあえて空気を読まず突っ込みを入れまくって白黒つけてしまう、みたいなことや、以前の説明との矛盾を抜群の記憶力で指摘し、多くの人の前で人に恥をかかせることなどもあったが、それは自分の哲学を貫き通したいという美点の裏返しでもあったし、実は偽善を憎むあまり偽悪に走るやつでもあった。


組織においては「一緒に働くにはいい人だけど普通の人」と「一緒に働くには苦労するけれど他人に出せない結果が出せる人」のバランスをどうするのか、という常に答えのない問題と闘わなければならない。

異物をあえて入れることでただのアコヤ貝から真珠ができる。異物を人工的に入れないと、ほとんどはただの貝で終わる。

金曜日の晩、彼の好きなステーキハウスで送別会をした。とても素敵な店だ。予約の時に「何かリクエストはありますか?」と店の女性に聞かれたので、「三連休前の金曜日の夜ですが、男二人なのでロマンティックな雰囲気のテーブルは避けてください」と言ったら電話の向こうで爆笑された。

昔の我々の職種の人たちは、何かあるとステーキハウスでワイン飲みながら肉を食っていた。Peter Lugerで。Smith and Wollenskyで。Del Frisco'sで。古き良き時代を知っていて、それを次世代に伝えらえる人が一人減るかと思うととても寂しい。

そして彼とウイスキーを飲みに行く。あまり酔わない。むしろ酔えなかったのかもしれない。f:id:KodomoGinko:20160918111751j:image

 

 

 

 

 

水天宮にて一期一会を思う

仕事の気分転換は旨いものを食べるに限る、ということでランチにさくっと水天宮前へ。

目的地は喜寿司。駅から数分、甘酒横丁の交差点を二本北に上がって東に入ったところにある、江戸前鮨の伝統を守り続ける店。久しぶりの来訪。暖簾をくぐって引き戸を開けると、イメージしていたのと全く変わらない昭和の香りを色濃く残す店内。椅子には白いカバーが掛けられ、パリッとした白い服を着た板前さんが手際よく仕事をしている。
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先客はなく、貸し切り状態で一人前の握りを食べる。しみじみと旨い。丁寧な仕事。クラシックな江戸前の鮨。これが食べたかったのだ。そして間合いを詰めすぎず、かといって突き放さない江戸前の接客。旨いものを出してくれたのに加え、居心地が良かった、つまり最高、ということだ。突き詰めていうと、味だけでなくその店で「何を体験できたか」「それを再び体験したいと思うか」が重要なのだから。これは食事をするところでもバーでも同じだ。

いつも行く東京の西側ではなく、東側にもおそらくいいバーはあるのだろうな、と思いながら会社に戻って仕事をやっつける。そして夜9時過ぎ、再び水天宮前の交差点に立っていた。

昔と違ってタワーマンションが立ち並ぶ。かつて私は新大橋通りをもう少し東に行ったところに5年ほど住んでいた。まだ新しいタワーマンションの1階にあるバー鶴亀へ。

カウンターの一番奥に通される。先客はさらに奥のソファー席の3人連れのみ。夕飯は食べていないのだが、なんだかお腹がいっぱいなのでタリスカーソーダではなくショットからお願いする。目の前に牡丹のラベルのFriends of OakのCaperdonichがたまたま置かれていて、それをカウンターの女性にお願いする。

私の後ろではその辺の会社の役員と監査役、もしくは顧問弁護士らしき人たちが大きな声で他の役員のことを話している。Caperdonich、マイナー系閉鎖蒸留所のボトルがカウンターにおいてあるなんて珍しい。私は大好きな蒸留所。その後ハイランドかスペイサイドのバーボン系の樽のものを、と今度はもう一人の男性の方にお願いしてみたが、なんだかケミストリーが今一つ合わない。ちょっと違うけれどCraigellachieはどうですか、と言われてもちろん結構です、と答え、店の反対側に行ってしまった彼にこちらも気を遣って「美味しいです」と言ってみたものの、それっきり。

その後私のような独りもののお客さんがカウンターに3人等間隔に座る。iPadでアメフトの試合を見ながら戦術を研究している人、黙々と飲む人2人。カウンター越しの会話がない。

その後小腹が減ったのでホットサンドをつまみにLaphoroaigの限定品のCairdeas 2016年を飲んだ。以前都内某所でこれを飲んだが、「ここで飲んだとは言わないでください、あとでいろいろあるので」と言われたもの。
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いいお酒、珍しいお酒を飲めたが、また近々来るか、というとよく分からない。たまたまだったのかもしれないが、それでも一期一会。

そのまま帰ってもよかったが、もう一軒寄ってみた。バー暖炉。水天宮前の交差点から歩いてすぐ。扉を開けると結構混んでいて、席がないかと思ったらカウンターの一番奥の席を一つ作ってもらえた。改めてタリスカーソーダをもらう。

少し間隔の狭いカウンターで隣が妙齢の女性と50前後の男性の二人連れ。黙って一人で飲んでいると2人の会話にずっと耳をそばだてているみたいだから申し訳なく思い、お店の方とお話しする。やはりこういう時にウイスキーの話題があると座持ちが良くてよい。

その後Exclusive MaltsのTeaninichをもらう。紺色のラベルにフクロウが描かれていてかっこいい。バランスが良くて旨い。2007年蒸留の8年ものとは思えない熟成感。やはりマイナー系でこういう当たりをつかむと嬉しく、心の中でプチガッツポーズしながらお店の方と話していたら、隣の女性にいきなり話しかけられたのでびっくりする。いやいや意外な展開で大人力問われるわーと思ったが、どうやら隣の男性とはたまたま隣り合わせになったので話していただけ、らしい。

珍しい展開になって、私もLaphoroaigのソーダ割好きなんです、みたいなどうでもいい話で盛り上がっていたら、新たにお客さん一人が入ってきた気配。カウンターはもう満席、一人でテーブル席って訳にも行かないし、と思いながらふとドアのほうを見ると、なんと会社の同僚、というか相方。東京にも星の数ほどバーがあるのに、なんで一人飲みしている二人が同じバーで出くわさなければならないのだろうか。あまりの偶然にお互い顔を見合わせる。周りのお客さんもびっくり。

流石に追い返すわけもなく、隣の方とお店の方に断ってカウンターからテーブル席へ移動。せっかく妙齢の女性と話が弾んでいたのになんて間が悪い。その後Ardbog(Ardbegの間違いではなく、バーボン樽とシェリー樽のバッティッド、2013年限定)をいただきながら野郎二人で飲み続ける。流石に都合6杯も飲むといい感じになった上、日付も変わりそうになったので撤退。ここは「びらかし」系のバックバーではなく内容の濃いいい酒をリーズナブルに出す店だということがよくわかった。スタッフも、お客さんもいい感じで、また来たいな、と思わせる店だった。

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最近伺ったバーなど: 有楽町キャンベルタウンロッホ、池袋クエルクスバー他

最近伺ったバーその他を備忘録的にまとめておきます。

有楽町 キャンベルタウンロッホ

仕事中に腹が減ったのでデスクで軽い夕食を取り、9時半ぐらいに仕事を終えて会社を出た。さてどうしよう。食事する気にはなれない。さくっと飲んで帰りたい。さあどこへ行こう、と思い、久しぶりに有楽町のCampbelltoun Loch、キャンベルタウンロッホさんにお邪魔した。今思い返すと、真っ直ぐ家に帰るという選択肢もあったのに、なぜ思いつかなかったのだろう、ああ不思議不思議(棒読)。


店がこぢんまりとしていて6人も客が入れば閉所恐怖症気味の私が圧迫感を覚える感じなので、長居せずにさくっと飲むには丁度いい。そしてバックバーが恐ろしく充実。限られた時間で充実した時間を過ごすにはぴったりだ。お勘定もクオリティの割に超良心的。

Caydenhead'sのAllt-A-Bhainne22年と他にもう一杯頂いて、「最後にアイラで締めたいのですがおすすめを」と言ったらSestanteのCaol Ila14年、おそらく70年代終わりから80年代初めのものが出てきた。
上手い感じで枯れてきているものの、骨格を失ってはおらず最後にかけて香りが立ち上る。これは素晴らしかった。

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隣で飲んでいた巨漢のモルトマニアのおじさんも「こんなのこの値段で飲めないよ~」と言っていた。3杯飲んで1新渡戸稲造、じゃなかった1樋口一葉。ここは引き続き凄かった。また行こう。

 

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銀座3丁目 日比谷バー ウイスキー

最近は仕事が遅いことが多く、家で夕食を摂ることをすっかり諦めていて家人にもそう言ってある。そこで会社と自宅との間にある、食事が出来てウイスキー飲める店を調べていたらこの店を発見。

銀座を独りでウロウロするにはまだ早い、と自分では思っていたが、よくよく考えるとあと1ヶ月もすれば四捨五入したら50だよ。そろそろ自主規制を解禁しないと徘徊老人in銀座になってしまう。会社からも近いし。ということで地下鉄出口から銀座松屋方面に向かってすぐのところにある日比谷Bar Whisky-sに行ってみた。

最近行くバーはほとんど個人経営的なところばかりで、いつもの感じをイメージしてドアを開けたら「いらっしゃいませ」と複数の声をかけられてちょっとびっくりする。結構な大箱。ウェブではわからなかったが、メニューを見てサントリー直営店だと気づく。スコッチもサントリー1社提供的な品揃え。なので1杯目はタリスカーソーダ、と決めていたのに叶わない。

おすすめはウイスキーソニック、というウイスキーとトニックとソーダを1:1:1で割ったものとのこと。そちらを頂くものの、やはりタリスカーソーダを飲みたかった気分は満たされず、Laphroaig10年のソーダへ。オールドで同じ10年があるので飲み比べてみませんか、と言われ、3杯目はストレートで。ソーダとストレートを飲み比べるのはなかなか難しい。90年代の10年か。瓶熟したものの方がやはり丸い気がする。
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一口で食べられるように切られたカツホットサンド、燻製が効いていてそして食べ応えもある。それをつまみながらピートの効いたウイスキーを啜るのも悪くない。

その後Balvenie、白州の93年蒸溜の10年物、山崎の90年代蒸溜のものなど頂いて退散。ちなみに誕生月に来るとすべての飲み物が半額だそうだ。一度来店してメンバー登録し、ジャパニーズウイスキーのレア銘柄を飲みたい人と誕生月に一緒に来るとよいのでは。

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神宮外苑 森のビアガーデン

家人と地下鉄に乗って散歩に出掛け、四谷を通りかかると迎賓館に人の群れが。そういえば一般公開始まっているのかも、と見に行くと見学できるという。券売機でお一人様1000円払い、中に入ろうとすると後ろで何かもめている。

どうしたのかな、と思いながら子どもの手を引いて中に入ろうとしたが、「クレジットカードでは払えないのか、ここまで来たのに」と英語で言っているのが遠くに聞こえた。確かに円の現金しか券売機では受け付けていなかった。海外からの観光客だって見学に来るのだから、観光立国目指す国策に沿ってクレジットカード使えるようにせいよ宮内庁、と思いながら行き過ぎようとした。が、さすがに自分がエディンバラ城に見学に行った時、ポンドの現金の持ち合わせが少なかったので追い返されて見学できなかったら悲しかっただろうな、と思い、券売機のところまで戻った。

アジア系のアメリカ人のおじさんと係員が話している。「ドルを円に両替してもらえないか?」と言われ、係員がブロークンな英語で無理だと言っている。見かねて声をかけ、「10ドル持っているのなら私の1000円と交換するよ」と言うと、20ドル札しかないという。私も1000円札1枚しか持っていない。彼は「いいよ、1000円と20ドル交換しよう」というが、流石にそれはないので家人を呼んでもう1000円手に入れ、無事に物々交換。彼はそれで入場券を買うことが出来、喜んでもらえた。

おじさんはピッツバーグから来たという。どこに住んでいるの?と聞かれたので東京だよ、と答える。おじさんはどうやら私がアメリカからの旅行者で、ドルを受け取っても問題ないアメリカ人だと思ったらしい。日本人だと分かったら恐縮していた。でも彼もアジア系で、ペットボトルを入り口で回収されそうになった時に片言の日本語を話していたのでもしかしたら日系人かも知れなかった。

それはともかく、迎賓館凄い。凄すぎ。何が凄いって、ぱっと見西欧の宮殿の模倣のようにしか見えないのに、よく見ると屋根の上に甲冑乗っていたりする。それも鹿の角付きで。

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喩えて言うと、日本のことが大好きで仕方がない欧州の一国の王様が自分の国に紀州から上質の木材を輸入してきて名古屋城そっくりの城を建てて、シャチホコの代わりにマーメイドの銅像つけた、みたいなそういうノリか。あんパンとか欧風カレーとか中華そばとか日本で独自の進化を遂げたものは沢山あるが、そういうアレンジが上手なのだろう、我々も我々のご先祖様も。って欧風カレーってヨーロッパにはカレーないんですけど。

内部も楽しく見学したが撮影禁止なのでご紹介できない。裏庭も美しかった。

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そして見学を終えて東宮御所の脇を青山一丁目交差点に向かっていたら、娘が喉が渇いたと訴える。御所の横には自動販売機なんかなく、私も何か飲みたくなったので神宮外苑の森のビアガーデンへ。

台風のせいで天候が安定せず、外で飲むのにはあまり向いていない日だったにもかかわらず昼飲みしている人たちが結構いた。我々もあくまでも散歩の通過点、な訳でがっつり飲むつもりはなかったが、痛風予備軍のため控えていたビールをどうしても飲みたくなる臨界点に来ていたのでかまわず行っときました。一番搾り東京づくり。でも作っているのは横浜は子安にある工場。

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ビール会社の方に伺うと、一番旨いのは樽生ではなくて瓶ビールとのこと。そしてここは一番搾りのアンテナショップ的な存在でもあるので、ここで飲む一番搾りは不味い訳はない。

私はキリンラガーが好きだったのだが、最近キリンの決算説明資料を見たらビール類の販売数量ベースでいわゆる「なんちゃってビール」が6割、一番搾りが24%で残り11%が「その他」。

かつての基幹ブランドキリンのラガーは「その他」の中の一つ、に成り下がってしまったようだ。なんだか残念。そしてラガーではなく一番搾りで暑い日に喉の渇きを癒すビールを満喫。

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池袋 クエルクスバー

ググれカス、でもなく、某商社が会計操作していると指摘したグラウカス、でもなくクエルクス。オークのことだ。先日おバカな映画を見に来て以来の池袋。金曜日の夜9時半過ぎ。帰宅方向と逆ではあるがとんでもなく遠回り、というほどでもない。

東口を背にしてしばらく歩くと、豊島区役所の解体現場があってすぐその先のビルの地下。入っていくと先客がカウンターに4名、テーブルに2名。カウンターの一番端に陣取る。一杯目はタリスカーソーダ。あっという間に飲んでしまった。旨い。脇を見るとボトルキープされたウイスキーが棚に置いてあり、飲んだことのなかったTullibardine(タリバーディン)とお店のコラボボトルがあったのでそれをお願いしたが残念ながら品切れ。同じくお店と蒸留所とのコラボのMacduff2007年を頂く。蒸留所の名前はMacduffだが、売られるウイスキーの名前はGlen Deveronの時もある、という珍しいパターン。お店の14周年記念のボトル。

バックバーはカウンターから少し距離があるのでラベルがよく見えなかったが、オフィシャルだと限定物が多く、あとはボトラー系。

3杯目はLinkwoodの27年、Whisk-Eが入れた限定物。ジャケ買い。サソリのラベルがかっこいい。84年の蒸溜。最後にいい感じでパフューミーになる。ブルゴーニュのピノの熟成されたものを飲んでいるよう。
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店に入った際に一人でカウンターに立っていた30代前半ぐらいに見えるお兄さんと世間話やウイスキーのあれこれの話をしていて盛り上がる。声が低くてよく通る、多分カラオケ行ったらみんなを感心させるタイプの人。この方がてっきりオーナーさんかと思っていたらそうではなかった。

お兄さんにアイラのウイスキーを締めに飲みたいのですが、といって出してもらったのがBunnahabhain(ブナハーブン)。Led Zeppelinのアルバムデザインみたいなラベル。かっこいい。ピート焚いてないながらもしっかりピーティ。仕込み水の段階でピートの茶色が入ってますから、アイラの場合。これも旨かった。加水するとより強く感じる、という出来の良いウイスキーにありがちなパターン。 

そしてぼちぼち帰ろうかな、と思っていたらオーナー登場。いいウイスキーばかり飲んで頂いて、とお礼を言われて、こちらこそいいもの飲ませて頂いてありがとうございます、と思う。

イチローモルトもいくつか置いてあって、ジョーカーがあったので凄いですね、というと肥土伊知郎社長のご実家が十条にあり、よく秩父から池袋に飲みに来られるので置いてあるのだそうだ。また最近では北欧からの観光客がよく来るらしい。1杯5000円とかでも飲んでいく、という。そりゃ我々もアイラに行ったらアイラでしか飲めない高いウイスキーがあれば、金に糸目つけずに飲みますよね、と言ったら確かにそうですね、と笑っていた。

ソサエティーから日本限定のBowmoreでいいのが入ったので是非飲んで帰ってください、と言われ、先ほど締めの一杯をお願いしたんですけど、と苦笑すると、それだけの価値はあるので是非、と強めのプッシュを頂く。そこまで飲食業の方がおっしゃられることはあまりないので、これは本当に希少な旨いものを勧めて頂いていることもがよく分かり、頂くことに。マンゴーの甘い香りが強いBowmoreなんて飲んだことなかった。最近オフィシャル飲んでも全然感心しないのに、何これ凄い。ピートと甘みの絶妙な調和。やはり人の言うことは聞いた方がいい。 

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都合5杯飲んで、諭吉と漱石が仲良く一人ずつ出て行った。クオリティ考えると安い。変な六本木のバーで飲むのの3分の2か半分ぐらいか。また池袋にも来ないと。

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渋谷 Caol Ila

渋谷Caol Ilaでこの前初めてAuchroiskを飲んだ。読み方分かります?正解はオスロスク。旨くてその場で携帯から同じボトルを早速購入。

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そして昨日、倉敷の酒屋からブツが届く。ちなみに包装で緩衝材に使われた新聞は山陽新聞。渋い。BBRの復刻ボトルの見た目が好きなのだが、今のボトルも決して悪くない。ロイヤルワラントもついてかっこよい。BBR日本法人が入れたボトルだが、BBRが日本でウイスキーのインポーター業務から撤退した際に処分したもののように思われる。当時は相当安く投げ売りしたのではなかろうか。今となってはお宝だ。

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これもいつ口開けしたらいいのか悩む。10年ぐらい忘れたままにしておいてもいいかもしれない。

 

 

 

 

 

南千住の尾花でうなぎを食す

世間では山の日からお盆休みが始まっているらしく、朝起きてニュース見たら中央高速が相模湖から50㎞渋滞とのこと。じゃあ都内は空いているかもしれないので、久しぶりに南千住の尾花に行ってうなぎでも食べるか、と思い立つ。

拙宅から尾花までは電車で一時間。10時ごろにお店に電話してお盆休みでないことを確認して、開店30分前の11時に現着すればいいかな、と考えいそいそと準備。で、10時になってそろそろお店の方も来たかな、と思い電話してみた。

確認するとお店は営業しているとのことだが、「11時にきて並んでもおそらく1回目には入れませんよ」と言われる。いや、今から行っても11時になるんですけど。うなぎ、うなぎと盛り上がった気分が一気に冷める。

一瞬あきらめかけたが、クルマで行けば30分ちょっとで着くので酒飲むのをあきらめて慌てて首都高乗って入谷を目指す。外環と中央環状線ができてほんとありがとう、空いてるぜお盆の都心。すっ飛ばして行ったら10時半過ぎには南千住の線路沿いの尾花に。昔はドヤ街の中に突然うなぎ屋が出現、という感じがしたが今は周りも随分きれいになった。でもすでに炎天下に人が15mほど列をなしている。店の隣のコインパーキングにクルマを停める。
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日光街道を浅草から尾花のある南千住に向かうと、常磐線の高架の手前に泪橋、という交差点がある。その先、尾花のすぐ近くに江戸の三大刑場の一つ、小塚原刑場があった。そこに向かう罪人が最後の涙を流したから泪橋、と言われている。刑場は今は小塚原回向院となっている、というか正確に言うと常磐線の建設で寺が南北に分断され、日比谷線常磐線に挟まれたところにある延命寺が刑場だったといわれる。まあそういうところだ。

朝は比較的涼しいな、と思ったが大間違い。1時間弱並んで待つのに帽子もしくは日傘、そして飲み物は必携。線路わきで陽を遮るものがない。いきなり店入った途端にぐびぐびビールとか飲んだらひっくりかえってしまうかも。そして汗かくからうなぎもよりうまく感じられるのではないかとも思う。


11時過ぎにお店の人が人数の確認にやってくる。店に入る前に全員揃っていないと入れてもらえない。その後改めて開店10分前ぐらいに人数揃っているかの確認があり、ちょうど私を含む2、3組が一回転目に入れるかどうか微妙なところ、と言われてしまってドキドキする。11時に入れないと、次に入れるのがおそらく早くても1時間半後。ということは並び始めてからは2時間待ち。ネズミーランドも行かないし、バーゲンで並ぶなんて死んでもしないので、私の人生でそんなに並んだことなど記憶にない。

そして開店。お庭の前のシャッターが開く。大丈夫か、大丈夫かと思ったが滑り込みセーフ。われわれが並んだのとほぼ同時に列を作ったひと組あとの二人まで入店。その直後に来た人たちはさらに1時間半待ちぼうけ、とわずかな差で明暗が分かれた。

店は入れ込み。神田の鳥すきのぼたんの二階のように、大広間にちゃぶ台がたくさん並んでみんなで一緒に仲良くいただく。
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奥の調理場には蒸籠が積み重なっているのが見える。

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鰻重、肝吸い、白焼きと鯉のあらいをお願いする。鯉のあらいをつまみながら小一時間ほど待つと、まず白焼きの登場。

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身が厚く、箸で持つとほろほろと崩れてしまうぐらいの柔らかさ。何とか摘まんで山葵を乗せ、軽く醤油につけるとさっと醤油の表面に脂が溶け出す。山葵もうなぎも甘く、山葵がうなぎの脂を引き締めてくれる。

我々が白焼きを食べているうちに他のお客さんのお重がどんどん運ばれてきて、香りが漂ってきてますます食欲がそそられる。白焼きを食べ終わって待ち構えているとようやく本日の主役が登場。

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こちらは大きいほうのお重。関西のうなぎは焼きが強くてパリッとしているが、尾花のうなぎはそれの対極にある。しっかりと脂の乗ったうなぎの旨さを蒸しで閉じ込めてたれの香ばしさを引き出すために軽く炙る、という感じだろうか。
身と皮の間の脂が甘いこと。そして白焼き同様にふっくらふわふわ。蒸しが強いと身が水っぽくなってしまいがちだが全くそんなことはない。そして主張しすぎない米とさっぱり目のたれがよく合う。これまでも東麻布や川越や三ケ日や名古屋、京都などさまざまなところでうなぎを食べてきたが、ここまで他の店との違いがはっきりしている事実を思い知らされ、改めて偉大さに想いを馳せる。ある意味東京のうなぎの極北。そして東京の食べ物の極北。

店内にはとても大きな神棚があり、庭には二羽ニワトリが、じゃなかった、庭にはお稲荷さんが祀られている。目には目を、歯には歯を、庭には二羽ニワトリを(©安住紳一郎)。
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家人と3人でお勘定は昼から二諭吉を超える。なかなかな贅沢だが、こんな贅沢がそんな値段で味わえるのは世界中で東京だけだ。ある確立したジャンルの食べ物の最高峰を極めるのにそんな値段で済む、と思うととんでもないバーゲンだと思う。だから人は夏の暑さの中でも寂れた常磐線の横の小道に今日も列を作るのだろう。

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