東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

大阪梅田阪急東通り エールハウス 加美屋

夏の甲子園の2回戦が始まる頃に毎年大阪を訪れている。今年でもう何度になるのだろう。私が二十歳になる年からだったから、今年でついに25周忌になったのか。四半世紀が経ったと思うと感慨深い。

 

私と彼とは中学校に入学してから高校を出るまで、大阪の外れの片田舎の学校で兄弟のように近しく毎日を過ごしてきた。ずっと仲良くやってきたのだが、何の理由だか忘れてしまったが高校卒業の前後に仲たがいして疎遠になってしまい、その後お互い浪人して、彼は東京の、私は京都の大学に進み、別々の道を歩むことになった。

 

彼が進んだ大学は、彼の第一希望の大学だった。その大学には模試の成績では合格するのが難しいとされていたのだが、最後の最後までの努力で見事彼は合格を勝ち取った。そして彼女もできたと風の噂で聞き、俺も負けずに頑張ろう、と思っている頃に彼は交通事故で死んでしまった。真夏のことだった。

 

昔は兄弟のように仲が良かった彼とは、いつか仲直りをしようと思っていたのに、それを成し遂げることができないうちに彼は手の届かないところに行ってしまった。永久に仲直りができなくなったことに気づいて俺は泣いた。昔からよく存じ上げている親御さんの前に出てお悔やみを申し上げ、自分だけ生きていることに後ろめたさを覚えて、部屋に帰って泣いた。彼が第一希望の大学に合格しなければこんなことにはなっていなかったと思い、人の幸せとはいったい何なんだろうと思い詰めた。

 

今はもうそんなことはない。年に一度は墓参りをするが、彼のことを忘れないのが一番の供養だと思っている。

 

クロアチアに行っていたせいで命日には行かれなかったが、2週間ほど遅れて盆に大阪へ。

 

夜8時過ぎても腹が減らないので、これも四半世紀ぶりに阪急東通り商店街に飲みに出た。でも全く土地勘を失っていたので、目についたバーに飛び込むことにした。ビアバー。

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親友に免じて、禁ビールの誓いを忘れてよなよなビールをパイントで貰う。タラモアで飲んでいたものよりかなり冷たく、暑いこの季節には香り高さよりものどごし重視でもいいじゃないの、と思いながら頂く。

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そしてカウンターの奥を見ると、東京では最近めったに飲めなくなっているIchiro's Maltの限定バージョンを発見。ホグスヘッドの樽に詰めたChibidaruを頂く。正直味は物凄く好み、というわけではなかったが、やはり色んなものを試せる自由があるだけで嬉しくなる。
 
その後、私が4年生の時に茅ヶ崎から転校した梅田の近くの小学校で仲良くしてくれた友達が教えてくれたお好み焼屋、美舟でまた禁を犯してスーパードライの小瓶を飲みながら焼きそばを食べる。
 
この店には私の大好きな古き良き昭和が残っていて、昭和の最後の年には自分が田舎の高校3年生で、その頃であればまだ彼と仲直りすることができたことを思い起こし、改めて心の中で少し泣いた。
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