東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

「あと三杯は飲んでいただけないと赤字になるのでお出しできません」

先日、酒と両立しない趣味、について書いた。クルマやバイクとトレーニングは全く相いれない。ギターや読書もあまり相性はよくない。でもどれも好きなので困る。

しばらく前に腰を痛めずっと運動できなかったせいで、ウイスキーばかり飲んでいる日々が続いた。前日飲みすぎて朝起きるのが辛かったにも関わらず、仕事が終わると「今晩はどこで飲もうか、何を飲もうか」と考えていたり。正直、最近何度か「もしかして俺アル中?」と自問自答した。

 

そんな中、昨日はトレーニング、クルマ、相撲観戦(テレビでだが)、ランニング、銭湯めぐり、モルトバーめぐりという多くの趣味を両立できた。リア充、ってやつかもしれない。

 

朝9時から洗車。そして子供を習い事にピカピカになった車で送り、その足でジムに行って時間をかけてストレッチと軽い筋トレ。シャワーを浴び、海ほたるで友人と待ち合わせ。渋谷から30分もあれば行くぜ、と思っていたら大間違い。3号線上りもC1も東京港トンネルもアクアラインも海ほたる駐車場も渋滞していて、海ほたるのスタバでコーヒー飲み始めるまで1時間以上。だが時間をかけて到着した海ほたるから見る浦賀水道は日差しがキラキラ反射して息をのむ美しさ。

 

そこから木更津金田のIC出てすぐのお店で、ポルシェ好きなモータージャーナリストやクルマ雑誌の編集者の方々が集まる会に参加。いろんな経緯で、なぜか過去から参加させていただいている。久々にお目にかかる方もいたが、全然皆さんお変わりなく、楽しい時間を過ごす。ポルシェの会、と書くとなんか高いクルマびらかし系と思われて感じ悪いと思われるかもしれないが、基本は「古いクルマを持っている人のほうがエライ」という謎の会。私のクルマはもう20歳で、普通の感覚で行くと結構おんぼろグルマなのだが、それでもまだ若いほう。

手前から3台目は1972年製だから私とほとんど歳が変わらない。

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ちょっと前までは国産スポーツカーみたいな値段で買えたクルマも多かったのだが、直近は欧州で昔のポルシェの人気が高まったことから、信じられないような値段がつくケースも。下の写真のクルマは某モータージャーナリストの所有だが、おそらく欧州に輸出されると地方県庁所在地の新築70平米のマンション一室ぐらいの値段になる。

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97年以前のポルシェは、ドイツ人をはじめとするヨーロッパ人の間でカルト的な人気を博しているために高値が付くようになってきている。ある意味ウイスキーとも近い。

 

クルマの仕事をしていて趣味もクルマ、という人たちは、クルマ見ながらずっと話していても全く飽きない、それも前会った時のクルマと何も変わっていないのに、という濃い人たち。

 

ランチを食べながら雑談していたのだが、アナゴ天丼の大きさにびっくりした。意外とあっさり食べられて二度びっくり。 f:id:KodomoGinko:20151122193416j:image

それから帰宅し、照ノ富士が白鵬を寄り切ったのに大興奮した後、夕食を食べて腰痛からの復帰後2回目となるランへ。軽く10㎞強走って東京23区を離れ、いつも行く風情のある銭湯に使って汗を流す。

家族のある身だと、一度家で夕食を食べてから一人で外出するのはハードルが高いが、「ランニング行ってきます」とか「ジム行ってきます」というとリンボーダンス並みにハードルが下がる。それを利用してランニングからの銭湯めぐり、そして風呂上がりのウイスキーソーダのコンボを楽しむ、という黄金コース。

 

一杯目はLaphroaigソーダ。尿酸値問題でビールの飲めない私にとっては、風呂上がりの一杯はウイスキーソーダ。それもピーティーなやつ。体にしみこんでいく感じをゆっくりと味わう、つもりが結構な勢いで飲み干してしまう。

 

二杯目は少し悩む。カウンターの奥に先日飲んでそのコストパフォーマンスに驚いたGlenDronach 8yo Hielanがあったので、それに似たものをお願いしたらGlenLivetのNadduraが。シェリー樽の効いた上品な味。

 

三杯目はBen Navisを、とお願いしたら「これしかないんです」と見たことのないボトルを出してきてくれて、いきなり質問された。「あと何杯飲めます?」「えーと、あと二杯ぐらい?」「それだとちょっと…」「え、最後に飲んだほうがいいという意味ですか?」「いや、正直この値段で出すと赤字なので、できれば三杯ぐらい飲んでいっていただけませんか?」いやー初めてだわこの展開。そのスペシャルなBen Navisは最後に温存して飲むことに。

 

気を取り直してお勧めいただいた三杯目はGlenFarclasを小さな樽に入れて4年間熟成させたWee Cask。4年とは思えない熟成感。Farclasってボトラーズにはほとんど出さないイメージなんだけど。でもまぎれもなくあの家族経営の蒸留所の味がする。

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そしてThe MaltmanのBunnaHabhainと鴨のスモークを頼んで、ようやく先ほどチラ見させてもらったBen Navisへ。

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見たことないラベル。一口飲んで力強い味わいが口から鼻に抜けてなかなか消えない、分厚い香り。先日はBen Navis200周年記念ボトルを飲んだが、ここまで味わいはしっかりしていなかった。 

「ウェブには載せないでくださいね」と言われた。それだけ貴重だということだろう。その趣旨を尊重して、どの街かも書かないし、どのバーでいただいたかももちろん秘密。f:id:KodomoGinko:20151122221814j:image

結局五杯飲んでつまみを一皿もらったにもかかわらず、諭吉を出したら三漱石と小銭が返ってきた。破格に安いのではないかと思う。でもどこのバーかは仁義があるので書けません。