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Islay Whisky’s blog

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 その1 その2 その3
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

別れ

仕事を終えて帰宅したら、家でずっと飼っていたカブトムシがいなくなっていた。

娘の学校で「おうちでカブトムシの幼虫がさなぎになって成虫になるのを観察してください」という宿題を貰ってきたので、一年近く我が家にいたメスのカブトムシ。結局この2か月ぐらいは娘ではなく私が面倒を見ていた。

成虫になって一度脱走を試み、我が家の階段の上でひっくり返って脚をバタバタさせていたところを確保。その後しばらく一生懸命虫かごのふたを押し上げて再び逃げ出そうとしていたので不憫に思い、隣の大きな公園に放そうかと家庭会議。しかし「地元の環境を壊してしまう恐れがあるので自然に返さないでくださいと学校に言われた」という娘が主張し、そのまま我が家に居続けた。そして私が実質飼い主となって、毎晩エサをやったり土を混ぜたりしていた。

今日もエサを替えないと、と思って虫かご見たら、こんなことに。  f:id:KodomoGinko:20160918111722j:image

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やはり、一生を虫かごの中で終えるというのは不憫だという結論に勝手に家内と子供でなったらしく、私のいない間に放してきてしまったとのこと。
放してきたこと自体は全然咎めだてするつもりはない。けれどせっかくだから隣の公園にあるカブトムシが集まってくるクヌギの木の近くまで連れて行ってやりたかった。毎晩帰宅してつい虫かごのカブちゃんを覗きこもうとしてしまい、実は割と強い愛着が湧いていたのだな、ということに気が付いた。

カブトムシの家出と同程度の話題では全然ないのだが、一緒に働いてきた友が志半ばで会社を辞めるという。いろいろ考えるとそれも本人のためでもあるしやむなしかと頭では思うものの、寂しい気持ちは止められない。


癖のあるやつではあったが、彼にはいろいろ素晴らしいところがあった。

限られた資源で何か新しいことを始めるようとするとその代わり何かができなくなるので、思い付きや雰囲気だけではなくまず機会費用も入れたコストとベネフィットを数字にして比較できること。

限られた資源をやりくりしていかにチームの全体としてのパフォーマンスを高めるかがマネジメントの仕事なので、残念ながら全員にいい顔をすることができないことを理解して人のせいにしたりその場しのぎの対応をせず、時にはチームメンバーに厳しいメッセージも伝えられること。

自分の哲学を常に明確にチームに伝え、その時の感情で流されることなく一貫性のある決断ができ、結果彼がいない時でも下の人間が「あの人だったらどういう結論を出すだろうか」と簡単に推察できるので結論が出るのが速い組織を作ることができること。

マネージャーとして自分の声の大きさに物を言わせて一番物の分かっている現場の人間の判断を簡単に覆したりすることなく、信頼できる部下の判断は常に信頼し「餅は餅屋」であるということを理解してチームの士気を保ち、鼓舞することができること。

彼の美点はもっともっとあるのだが、これぐらいにしておく。

もちろん人はいいところもあれば悪いところもある。
人がわざとうやむやにしようとして周りもそれをわかっているところにあえて空気を読まず突っ込みを入れまくって白黒つけてしまう、みたいなことや、以前の説明との矛盾を抜群の記憶力で指摘し、多くの人の前で人に恥をかかせることなどもあったが、それは自分の哲学を貫き通したいという美点の裏返しでもあったし、実は偽善を憎むあまり偽悪に走るやつでもあった。


組織においては「一緒に働くにはいい人だけど普通の人」と「一緒に働くには苦労するけれど他人に出せない結果が出せる人」のバランスをどうするのか、という常に答えのない問題と闘わなければならない。

異物をあえて入れることでただのアコヤ貝から真珠ができる。異物を人工的に入れないと、ほとんどはただの貝で終わる。

金曜日の晩、彼の好きなステーキハウスで送別会をした。とても素敵な店だ。予約の時に「何かリクエストはありますか?」と店の女性に聞かれたので、「三連休前の金曜日の夜ですが、男二人なのでロマンティックな雰囲気のテーブルは避けてください」と言ったら電話の向こうで爆笑された。

昔の我々の職種の人たちは、何かあるとステーキハウスでワイン飲みながら肉を食っていた。Peter Lugerで。Smith and Wollenskyで。Del Frisco'sで。古き良き時代を知っていて、それを次世代に伝えらえる人が一人減るかと思うととても寂しい。

そして彼とウイスキーを飲みに行く。あまり酔わない。むしろ酔えなかったのかもしれない。f:id:KodomoGinko:20160918111751j:image