東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

無駄は無駄ではないことを知る

ふと、WolfburnのBatch 128がいいのではないか、と思った。そもそもオフィシャルがまだ若いのに矢鱈と旨い。だから初期の限定ボトルとなるBatch 128を買っておき、10年後ぐらいに思い出して飲んでみたら凄いことになるのでは、と考えた。だが今飲まずに買って10年後に開けるのもちょっと違う。そう思い、どこの店に行ったら飲めるのだろうと悩む。

しばらく考えて、こういう時こそInstagramだ、#ウルフバーンでBatch 128の写真を見つけてそのバーに行けばいい、そう思いついた。池袋と浜田山のバーにありそうなことが分かった。こういう時こそSNSはありがたい。

池袋はたまに行くが、浜田山は通り過ぎたことしかない。だから行ってみた。Trackside Scotchpub。駅から歩いて3分、線路沿いの角を曲がったところにあった。

金曜日の夜だが先客はいない。カウンターに座ると目の前のバックバーにいきなり70年代オフィシャルのLinkwoodが2本。ある意味結構危険な店だ。お目当てのWolfburnは…あった、ありました。ハーフでいただく。

ちょっとまだ固くて角があるが、ウッディさが前に出すぎず上品な仕上がり。香りもビスケットのような水仙のような。膝を打って「これは旨い!」というところまではいかないが、十分旨い。

ここもオフィシャルのオールドボトルが沢山。先ほどの危険な店、というのはどれ頼んでいいかわからない人が自分の知っている銘柄見つけて指差して頼むと結構な年代のものだったりする、という意味で危険。だが全部高いわけでは全然なく、後から頼んだ私の大好きなGlen Elginの90年代オフィシャルボトルはハーフショットで900円とのこと。とてもスムースなバーボン樽熟成のお手本のような一本で、口開け直後にもかかわらずちゃんと開いてくれた。

そしてマイナー系が好きだ、という話をしたらGlenugieの80年代のボトルを出してくださった。飲んだことなかったよGlenugie。でもこれも私の好きな穀物感とクリーミーさがあり、その上にいいパフューミーさが加わっている一本。

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私の後に入ってきた女性のお客さんがカウンターのボトルを見て、「そのウイスキーなんて読むんですか?しらす?」とおっしゃったので笑いを噛み殺すのに一苦労。予想もしなかった質問だったので。「そんなことも知らないの」とかそういう意味でなくノーガードの脇腹に切れ味鋭いボディー決められたかのようにツボった。そんな裏技繰り出すの止めてほしい。マダムが「白州です」と平静にスルーした大人の対応にも感心。

中野Southparkの二方さんに勧められ、中野でベルギービールのお店をやっていらっしゃったのを浜田山でモルトバー始めることにした、とのこと。面白いお店が見つかってよかった。3杯ハーフで飲んで4野口でお釣りが来た。

じゃあWolfburnを発注するか、と思ったのだが、ウェブを眺めているうちにどうしてもArranのマスターディスティラーJames Mactaggart10周年記念ボトルとTullibardineのThe Murrayが気になって仕方なくなり、売れ行き見たらどちらもすぐ売り切れているところが多かったのでとりあえず3本ずつ発注。Batch 128はまさかの後回し。久しぶりのウイスキー大人買い、といってもちょっと前にブラックニッカ アロマティック箱買いしたばかりか。

週末クルマで出かけようとしていたところにいつも来てくれるクロネコのおじさんが我が家向けらしい段ボールを積んだ台車を押しているのを発見して引き取る。帰ってきて開けてみると、ArranもTullibardineも立派な箱入り、磁石で蓋が閉まる造りで驚いた。

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結局「試飲する前にボトル買うのはなんだかな」と思っていたところから、飲まずにとりあえず在庫のあるうちに買ってしまえ、となってしまいわざわざWolfburn目当てに浜田山まで行かなくてもよかったじゃん、何やってんだか、という展開。まあ嗜好品なのでそういう無駄があってもいいのでは、という適当な説明で自分を納得させた。浜田山のバーでGlenugieやElginに出会えたことを考えると無駄じゃなかったとも言える。

今度は自分が買ったボトルを飲める店をインスタで探さなければいけなくなった。改めて考えると、効率だけ求めるのなら、腕時計は中国製のデジタルウォッチでいいし、食器は100円ショップのものでいい。酒も安い酒で無駄な時間をかけず手っ取り早く酔っ払えばいい。むしろ酒なんか飲まなくてもいいかもしれない。だが私はそんな彩りのない人生を歩むほど生き急いではいない。