東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

高知に行ってきた、オチは特にない

5月31日でJALのマイルが数千マイル失効することに気づき、急遽飛行機予約して日帰り一人高知の旅へ。5月31日期限の自動車税2台分と軽自動車税1台分の納税はほったらかしなので身勝手なものなのだけど。

もういい歳なのに前の晩の仕事の飲み会で煽られて変な紹興酒をさんざん一気飲みさせられた酔いが残る中、5時半に起きて7時25分の羽田からのフライト。

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9時半にははりまや橋にいた。意外と近い。街をふらふらして、本日10時発売のmotoGP日本グランプリのZ席のチケットをコンビニで買う。いまからとても楽しみだ。


それからひろめ市場に行くとすでにみんながんがん飲んでいる。
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こちとらまだ昨日の酒が残っているというのに、すでに酔い潰れてテーブルに突っ伏し、フライドポテトの入ったアルミの皿に顔を突っ込みながら寝ているおばさんもいた。いきなりマウントポジション取られた気分。高知すげえ。

ひろめ市場は、食べ物屋さんで注文して普通に食べるだけでなく、魚屋さんで売っている刺身を買ってお箸つけてもらってその場で食べてもいい、というフードコート拡大版的スタイル。私は魚屋で大好きな塩カツオのたたきを購入。「薄切りにしますか、厚切りにしますか」と聞かれ東京では確実に厚切りと超厚切りだよこれ、と思いながら薄切りをもらって食べた。めちゃくちゃうまくて腹が立つ。

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わらで炙ったことで出てくる脂の甘みと微かな香ばしさ、それを受け止めるさわやかな赤身のしっかり感のコントラストがあまりにも明確で、東京で食べる炙った皮目がふやけたカツオのたたきの解凍されたものとは比べ物にならない。そして薬味のネギやニンニクまでがいちいち旨くて腹が立つ。ポン酢掛けても塩掛けても旨すぎてマジ反則。ついでに鯛の刺身が乗った鯛めしと鯛のあらで出汁を取ったお吸い物も二日酔いの体に吸い込まれていった。大満足。

そしてはりまや橋からバスに乗ってベタに桂浜に行く。15年ほど前に明治維新というか司馬遼太郎がマイブームだったことがありその時訪問して以来かもしれない。その時のイメージは小さな綺麗な丸い石が敷き詰められた海岸、というものだったのだが今は波打ち際以外は普通の砂浜になっていた。勘違いだろうか。夏の雲が出ていて泳ぎたくなる。

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ガチで外海、太平洋なので透明感が半端ない。汚れた心が海の青さに洗われる。

そういえば以前「高知遺産」という本を買って帰ったのだった。「失う前に、もう一度」、と題された2000年ごろの街のアーカイブ。あれから時が流れ、空港からは高速道路もでき、街も随分きれいになった。この本に出てくるおばあちゃんたちも多くの方が鬼籍に入られたのだろうと思う。当時はこの世にいなかったうちの子供も大きくなっているのだからある意味当たり前なのだが、改めて時間の流れを思う。

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桂浜からはランニングではりまや橋まで戻る。およそ10㎞。打ち捨てられた民家の庭に咲き乱れているユリなど眺めながら浦戸湾沿いを走り、長浜まで出る途中で酒蔵を発見。酔鯨だった。日本酒は詳しくないが、司牡丹、酔鯨、土佐鶴が代表的な高知の酒だという程度のことなら知っている。

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ロゴはシャレオツ系だが仕込みは見学できないようだし特にビジターフレンドリーではないなあと思いながら折角なのでランニングを中断して写真を撮っていると、女性が出てきて「試飲していきせんか」と言ってくれる。気づかなかったが小さなアンテナショップみたいなのが工場の端っこにあった。
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本当はいろいろと試飲させてもらって酒の2本でも買って帰りたいところだけれど、こちとら二日酔いの上に炎天下のランで汗まみれ、飲んだらマジで使い物にならずバスで帰らないといけなくなるので2つの銘柄の味見だけさせてもらって、礼を言って辞去。4合瓶をリュックに入れて走るのは気が引けたので、季節限定の生酒を土産にはりまや橋の大丸で手に入れた。

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桟橋の通り沿いにとさでん交通チンチン電車の基地があった。中にずんずん入って行って写真撮りたかった。色々とノスタルジックでエモい。

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暑い中走ってパンツまでびしょびしょになった体をルーマプラザ高知で清める。がっつりととのったあと、携帯を充電するついでに休憩室でワカコ酒ゴールデンカムイを読み始めたら止まらなくなって結局4時過ぎまでいた。

ワカコ酒を読んでいるうちにぷしゅーっと酒が飲みたくなった。ツイッターで黒尊という居酒屋が最高だ、と教えてもらったが残念ながら予約で一杯。4時台から開いている店探すのも面倒になったので、地元の人の話でも聞かれれば、と再びひろめ市場に行ってまたカツオのたたき食べる。

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目の前で炙ってくれるだけでなんだかうれしくなってくる。バカな男は焚火とか暖炉とかカツオのたたきを炙る藁の火とかに弱い。

一人で遊び歩いている罪悪感もあり、家人に炙りたてのカツオを一本買って帰る。「どんな火でもいいので食べる前に10秒から15秒くらい軽く焙ると味が全然違います」と教えてもらった。絶対そうします、と心に誓う。
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ひろめ市場は意外と若い人が多い。たまたまデートと思しき二人連れと合コンっぽい飲み会やっている人たちがいるテーブルのはしっこに陣取ってしまったので、一人黙々と周りを観察しながら飲んで食べた。

向こうのテーブルでは綺麗なお姉さんが豪快に大ジョッキを飲み干している。目があったらちょっと恥ずかしそうにしていてそれもまたいい。まだ日も高いのに真っ赤な顔したおじさんたちもたくさんいる。

東京みたいな同調圧力の強いところから来た人間には、朝から堂々と酒が飲めて「細かいことはどうでもいいんだよ、楽しければ」、とみんな思っていそうな高知の雰囲気、悪くない。むしろ最高。また来たい。

 





 

 

 

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