東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

酒も魚も肉も美味い村上が好きだその1 御茶所 九重園

村上笹川流れトライアスロンのゴールとなる村上市役所を大会前日のぞきに行った後、ふらふら街歩きをしていて見つけた、250年の歴史を持つお茶屋さん九重園。
中をのぞくと煎茶と和菓子のセットが店内でいただけると書かれていたので入ってみることにした。

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歴史を感じさせる帳場の奥、立派な虎が描かれた屏風一双と水墨画の一双が飾られたお座敷に通され、Tシャツ、ジーンズ、サンダル履きという超ラフな格好で来たことを激しく後悔。

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二十畳は優にあろうかというお部屋に場違いな格好でぽつんと一人座って待っていると、きれいな紫色の練り切りと煎茶が出てくる。
小ぶりの茶碗にとても丁寧に淹れられた煎茶。口に含むとさわやかな香りと甘みが鼻を通り抜ける。苦味はあまりなくじわりと凝縮された、それもわざとらしくない端正な旨味。

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お茶の商業栽培の日本最北端が村上市というのは知らなかった。さわやかなお茶の甘みは冬に雪で覆われる地方ならではのものなのだろうか、栽培が簡単ではない環境だから手間暇かけて育てられたためだろうか、などとうすぼんやりと考えながらお茶をすすり、和菓子をいただくとしみじみ落ち着く。

f:id:KodomoGinko:20181006091056j:plain屏風の虎は活き活きと描かれていてなんだかかわいい。

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村上では10月15日まで祇園祭のようにそれぞれのおうちにある屏風をお披露目するイベント「町屋の屏風まつり」が行われている。

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屏風だけでなくとてつもなく仕事の細かい螺鈿の重箱や日露戦争の頃に作られた堆朱の硯箱も飾られていてうっとりする。絶賛開催中の日本伝統工芸展@三越本店かよ。何だこの螺鈿の細かさは。漆にはめ込むのにどれだけ手間かかっているのだ。
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そして今話題の旭日旗 をかたどった帝国海軍御用達の堆朱の硯箱。こんなに彫りの厚みが異なるようにするにはどれだけの漆を塗り重ねたのか想像を絶する。
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やはり米どころだけあって経済的にも余裕があり、文化が蓄積したのだと思う。裕福でなければお茶も楽しめず、お茶がなければ和菓子も発展せず、茶碗も茶室もそこに飾る調度品も代々伝わらなかっただろう。

気になって何の予備知識もなく入ってみたが、直感に従って正解だったと強く思った。

 

 

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