月島 Bar Ley
最近飲みに行くのはいつもの店ばかり。説明しなくてもこちらの好みが大体分かってもらえているし、適度な間合いがちょうどいい。こちらが話したいときは相手にしてくれるし、話したくないときはほっておいてくれる。有り難い。だが出会いを拒絶していても鬱病の初期症状のようでよろしくないので、新しい店を開拓してみることに。
土曜の夜、自宅から月島へラン。先週日曜日のフルマラソン後、初めて走る。およそ12km。佃島の旭湯で一風呂浴び、ビールをぐぐっと、と行きたいところだがこちらはあいにく尿酸値問題があるのだ。仕方がないので湯上がりはいつもArdbegのソーダ。
さあ今日はどこ行くか、有楽町線乗ってしまうか。そういえば月島駅の近くにMalt Barと書かれた黒板が出ていたのを走りながら見たな。いい店ならそこで飲み、ダメなら一杯で切り上げよう。
地下鉄の駅からほど近く、もんじゃストリートから路地に入ったところに店はあった。Bar Ley。こっちはトレーニング帰りなのでジャージにトレイルラン用のバッグ、というラフな格好なので、カウンターの一番入り口に近い席に座る。
L字型の店の奥にはテーブル席。そこに2、3人と、カウンターに20代と思しき男性二人が飲んでいる。ボトルのコレクションを見ると、Lagavulinが4種類置いてあるし、上の方の棚にはオールドのGlenlivetが。趣味が合いそうな気がしつつお約束のウイスキーアンドソーダを頼む。
そして二杯目何頼もうか、ということで悩み始め、勧めてもらったのがグレンギリー。オールドの10年。Glen Gariochって書いてあってグレンギリーと読む。ブリックラディも読めないが、グレンギリーもかなり難易度高い。そんなの楽勝、と思ったあなた、ブリックラディのスペル今ここで書けますか(笑)?
店主の草野さんと自己紹介しながらウイスキー談義を始める。グレンギリーのオールドは旨くて安くて最高です、と教えてもらう。確かにオールドにありがちなまろやかなだけで枠組みがなくなってしまっている味ではなく、堅牢なストラクチャーの中にもヴァニラの香りと粘りがある。オールドなのにオークションだと1万円もしないとのこと。ただ大事なことは栓のまわりのラベルが金色のものでないとダメとのこと。緑のものは化粧品臭くてとても飲めないらしい。勉強になります。
グレンギリーの詳細についてはこちら。
歴史の息吹―グレンギリー蒸溜所【前半/全2回】 | WHISKY Magazine Japan
その後、アイラ島蒸留酒巡りの話に花が咲く。そしてLagavulin 95 European Oakを頂く。オーク樽の甘さと香ばしさがピートと絶妙にマッチ。
そしてバーボンバレルでなくシェリーカスクを使ったLaphroaig。
お店の名前Bar Leyというのはウイスキーの原料大麦Barleyと「礼」をかけたそうだ。
ふと道で見つけた看板をきっかけに、予想もしなかった経験が出来た。スピードの速い乗り物に乗っていては気づかないことも、二本の脚をてくてく動かしていると気づくことがある。ゆっくりと作られ、ゆっくりと味わうべきウイスキーを、せかせか探しても風情がないではないか。
(お店のFacebookページから写真をお借りしました)