東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

渋谷 Caol Ila

週末のレースで3年連続ホリエモンと一緒になり、今年こそあんなぽっちゃりには負けないぞ、と意気込んでいたら結果はバイクで10分以上の差をつけられてボロ負け。悔しくて仕方ないので週一度のスイムのレッスンの後、さらに汗まみれになってバイクのトレーニング。

 
体を動かし過ぎると寝付かれなくなるのでいつも夜のトレーニング後は飲みに行くことにしていて、前から気になっていた渋谷のCaol Ila(カリラ)へ。
 
マークシティの南側の坂を上り、左に曲がると場末感の漂う風俗店があって、その隣がご無沙汰しているCask Dorの入ったビル、その隣の隣のビルの3階がCaol Ila。
 
実は3階のCaol Ilaに行こうと階段を上がっていたら、2階にロックバーがあることに気づき、音楽好きな私は衝動的にドアを押してしまったのだが、これが最近滅多にない大ハズレ。ドアの外からどんな曲が聴こえてくるのか確かめればよかったのだが。
 
店に入ると音楽はかかっておらず、Fのコードもきっちり押さえられない中年女子がエレアコをアンプにつないで狂ったままのチューニングでカッティングの練習をしている横で、サラリーマン2人がチューニングはあっているがピッチの揃っていないアコギをそれぞれ別々に弾く、というギター版ジャイアンリサイタル状態。それもトリオ。あるいは中学校の軽音楽部の部室状態。ロン毛のマスターがドリンク作り終わったら上手なギター弾いてくれるまでの場つなぎか、と思ってハイボール飲んでいたら、全く何も始まる予兆もなく。ハイボール出した後は私にはなんの気遣いもなく、何かの罰ゲームかと思いましたよ。
 
ハイボール飲み干して700円払って久々に感じる絶望感とともに3階のCaol Ilaへ。こちらはカウンターに男性スタッフ2人と女性客1人。店に敬意を表してCaol Ila頼もうかと思ったが、Ardbegのソーダ割りを注文。それを飲みながらカウンターの中にあるたくさんのボトルを眺める。Caol Ilaのオフィシャル、ボトラーズ物がずらっと並ぶ。もちろんそれ以外のアイラウイスキーも。
 
「お仕事帰りですか」という初めての店でのお決まりの質問からお店の方と会話が始まり、運動帰りで喉カラカラだけど尿酸値問題でビール飲めないのでソーダ割り飲みます、というこちらもいつも通りの会話の流れ。
 
2杯目は流石にCaol Ilaオフィシャルから、Unpeatedの10年をストレート、チェイサー付きで。もう1人の男性スタッフが「ピート焚いていないと言っても普通の物とポットも一緒なのでちょっとピートが香るんですよね」と話してきてくれたので、「そもそも仕込みの水が茶色くてピート入っていますよね」というところからしばしのアイラ談義に。Caol Ilaの蒸留所長もこの店に来たという。一番好きなのはオフィシャル12年で、手塩にかけて育てているとのこと。一番ベーシックなものが一番好きだ、それを旨くするために自分はベストを尽くしている、というのはいい話だと思った。「やはり25年が旨いね」とか言われても、高くて旨いのは当たり前なので困るではないか。
 
その後さまざまな蒸留所の話をし、最近行ったバーの情報交換をしているうちに、昔私が住んでいた大阪の北の方のご出身だということが判明。
 
3杯目には何かお勧めを、という漠然としたリクエストを出し、出てきたのが75年に蒸留されて2001年にボトリングされたCaol Ila。ピートはあまり感じられず、小さな四角い池の水が細かいさざ波をたててそれに固い光が反射してキラキラ光っているような感じ。要するに心穏やかになるような優しい飲み口のウイスキー。
 
飲み終わり、店の雰囲気といい飲んだウイスキーといい、本当に心の平安がやってきて、また来ようと思いつつ終電に急ぐ人の群れと逆行しながら小雨の降る渋谷を後にした。
 
 
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