東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

G&MのBalblairが終売に

入社3年目までぐらいの20人ほどを前に仕事について何か話してください、と頼まれ、会社の会議室でランチをとりながら3つほど小話をした。

1つ目は、赤白100個ボールの入った箱があってそこからボールを1個取る。100個のうち99個は赤で赤を引くと100万円もらえるが、1個だけ入っている白を引くと2億円払う。あなたはこのゲームをやるか?あなたがマネージャーになったら部下がこのゲームをやりたいと言ったらなんというか?

この問題はかなり奥が深い。100個全部引くと9900万円貰って2億円払うからネットで1億100万円の損。1回当たりの期待値はマイナス101万円。
期待値はマイナスだが、ほぼ100%の確率で100万円がもらえる(ように思える)ので調子に乗ってやりたがる人が多い。特にキャリアの初期に成功者になった気がするので若者はやりたがる傾向が強い。
だけど100万円儲かった、1000万円儲かった、とうれしがって2億円払わされる確率が上がっている (箱にはボールを戻さない)ことを無視しているうちにハズレを引いて結局大負けする羽目に。

白玉引いたらそこでゲームオーバー、だと期待値は1.5倍も悪くなる(残り全部の当たりが引けなくなるので)。

つまりこのゲームはロシアンルーレットと一緒。確率が低くてもダウンサイドを食らったら立ち直れないような賭けは何度もすべきではない(し、もしやりたかったらダウンサイドを小さくしておくべき=誰かにリスク移転する)。

現実世界はもっと難しくて、確率が事前に分かることはなく、ペイオフ(結果が100万円貰うか2億円払うか)も事前には分からないことが多い。

そんなような話をした。残り2つの話も含め、その場でアドリブで出来る話ではない(上に英語で話さなければならない)ので、前の晩に何を話すか考えた。原酒不足のために終売になってしまったGordon&MacphailのBalblair10年を飲みながら。

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蘊蓄をたれると、1790年創業でハイランドで3番目に古い蒸留所を名乗ってはいるが、その近くに1894年に建てられた新しい蒸留所で作られている。タイ資本所有。

今の若い人たちの言い方を借りると、「普通に旨い」。口に含むと加水してあるはずだがピリッとした刺激が口の中に広がり、その後甘みとクリスピーな穀物の感じが残って比較的速く消えていく。派手さはないが、飲み疲れしない。

こういう人目を引かない地味なウイスキーが終売になるのは仕方のないことかも知れないが、存在を忘れないでいることも大事だと思う。絶対値段が上がることはないのだろうが信濃屋渋谷店でストック用にもう一本買った。ウェブで見ると残りがやはり少なくなってきているようだった。

ちなみに残りの2つの小話はこちら。

教室の中で幼稚園児と二人きりになり、マシュマロを1個見せて、「このマシュマロ食べてもいいけど、今から先生が出て行って15分後に戻ってくるときまで食べずに我慢できたらもう1個あげます。」という実験を行った。3分の2の子供は我慢できずに食べてしまって1個しかもらえず、残りの3分の1の子供は15分待って2個もらえた。2個もらえた子供を追跡調査すると、センター試験に相当するテストのスコアが待てなかった子のスコアに対して平均で8%強高かった。われわれがこの実験の結果から得られる教訓は何か?

10年ほど前にNYからシャーロットに向かった飛行機が、離陸直後にバードストライク(鳥の群れとの衝突)によりすべてのエンジンが止まってしまい、不時着せざるを得なくなった機長が乗員乗客200人を乗せた飛行機をハドソン川に着水させて奇跡的に一人の犠牲者も出さなかったという事故があった。NYの市街地に墜落していたら乗員乗客はおろか、とてつもない数の市民も犠牲になったかもしれず、ハドソン川に緊急着水させた機長はヒーローだと讃えられた(ここまではノンフィクション)。その機長が自分のやったことに対して特別ボーナスを欲しい、とマネージャーであるあなたに言ってきた。その時にマネージャーとしてのあなたが考えるべきことは何か?