東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

神楽坂 バー・フィンガルにて

私にとってはあまり馴染みがない街、神楽坂。私の頭の中では、新宿荒木町と同じ抽斗に収納されている。神楽坂で会食が終わって10時過ぎ。さあどうしたものか、新宿行くか、渋谷に行くか、はたまた。しばしの逡巡の後、結局神楽坂で1人飲むことに。

ググって探したバー・フィンガル。神楽坂の真ん中らへんから北に入ってしばらく行くとある路面店。照明が明るく、中が窓から見える珍しいモルトバー。誰も先客がいない。月曜日の10時では仕方ないのか。一度通り過ぎてから戻る。なぜ通り過ぎたのかは自分でもよくわからない。

カウンターに陣取ってバックバーを眺める。オフィシャルの現行品のボトルがほぼないので、人に素直にものを聞くことができない人が後輩や女性を連れて入ってくると厳しい展開になるタイプの店。だがバーテンダーの方はとても親切だ。Longmorn飲みたいんですがお勧めは、と言ったらバックバーから3本ほど見繕って持ってきてくださって、各々のボトルの特徴を細かく説明してくださった。一杯目はSignatoryのLongmorn、1990年の26年をいただく。
自分の知っていることはもう知っていることなのでいくらひけらかしても仕方なく、人から新しい何かを教えていただくことで人生がより豊かになる、と信じている。

初めて訪れるバーでは「いつからお店をやっていらっしゃるのですか」とか「この近くではウイスキー飲まれる方は多いのですか」などあえてこちらから水を向ける。もちろんウイスキーそのものの話をしてもいい。特に今回のように先客なしで1対1だと、どこかのタイミングで私に話しかけないわけにはいかないだろうから。

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二杯目はスペイサイドのバーボン樽熟成のおすすめを、と言ってStrathIslaのSociety1973年をいただく。Societyの昔のラベルのボトルが2本バックバーに出ていたうちの1本。オフィシャルのボトルもほとんどがオールドのものに思える。どのボトルもきれいに磨かれている。場所柄か出版関係と思しき4人連れが入ってきてカウンターに陣取り、静かな時間の流れが止まる。
StrathIslaを時間をかけて飲んで喧騒をやり過ごし、次のもう一杯へ。再び店には静寂が戻る。宮城峡と余市の蒸留所でウイスキー造り体験、というのができるのだが、その体験した人だけがもらえるボトルがある。聞くとお客様からのいただきものだということ。愛されているバーなのだろう。分かる気がする。

おすすめを、といったら山崎蒸留所80周年記念のボトルを出してきてくれた。「そろそろ酔っぱらってきていて折角の貴重なボトルがもったいないので、また今度にします」と言ったら「次回いらっしゃったときにはおそらく残っていないので」とのこと。確かにあと1杯取ったら終わってしまいそうだったのでいただくことに。そうやって貴重な酒を出してもらえるということは、酒飲みの1人として認めてもらえたのだな、と少し気持ちが温かくなって店を出た。これまでよく知らなかった街に改めて来てみるきっかけができた。

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