東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

モンテネグロとボスニアヘルツェゴビナでやたらと警察のお世話になるの巻

昼間の気温が35℃を超えるコトルから脱出し、車で2時間半ほどの世界遺産ドゥルミトル国立公園に出かけた。綺麗なところだ。こちらがBlack Lake、黒い湖。

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そしてこれがTara River Canyonを見渡す展望ポイントからの景色。ちょっとした登山。

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その帰り、幹線道路の超長い直線下り坂をちんたら走っていると突然、黒地に鮮やかに赤い縁取りが付いた制服を着た警察官が「止まれ」と書かれていると思しき制止用の棒のようなものを振り回して物陰から飛び出てきた。

どうやらネズミ捕りに引っかかってしまったらしい。

予想もしていなかったのでかなりびっくり。ガソリンが少なくなっていたのであまりスピード出さずに走っていたつもりで、前の車ともさほど変わらないスピードだったのに。

免許取りだそうとカバンに手を入れていきなり警官にズドンと撃たれてもシャレにならないし、一応旧共産国の警察相手なので慎重に対処。銭形警部を思わせる眉毛が太くてがっつりつながっている長身の警官が完全にモンテネグロ語、というかセルビア語で話しかけてくるので、何を言っているか分からないしそのまま言葉の壁を利用して立ち去ろうとしたが駄目だった。

モンテネグロジュネーブ条約加盟国ではないため、日本の免許証を携帯する義務がある。にもかかわらず国際免許しか持っていなかったので、下手するとめんどくさいことになるな、と思って素直にパトカーに連行された。もう一人の英語が少し話せる警官が「26㎞オーバーの時速76㎞で走ってただろ、罰金払え」、という。確かに何だかおもちゃのようなスピードガンみたいなブツがパトカーの助手席に置いてあるのだが、計測した数字を見せられたわけでもなく今一つ納得できない。前の車で計測してその数字で私を検挙しようとすればできてしまうではないか。

だがそんなこと言って怒らせても意味はなく、しょうがねえ、日本の点数減るわけでもなし時間も勿体ないので金で解決するのが簡単だわ、と思っていたら「罰金20ユーロ」とのこと。3000円弱。切符切られて銀行で納付するのか、と思ったら「今ここでキャッシュで払え」だって。結局罰金払ったが何の書類ももらえなかった。つまるところ私の払った20ユーロは彼らのビール代にでもなったはず。モンテネグロの警官は、地元の車捕まえるよりも他国のナンバーの車捕まえて、切符切らずにカツアゲするという副業をしているような気がする。

その数日後。今度はモンテネグロの海水浴で有名な街プトヴァの宿からバルカン半島最大の湖であるシュコダル湖に遊びに行く途中、海沿いの幹線道路と山に入っていく地方道の分岐でどっち行こうか、と一瞬迷って止まって山側の道に入ったところでまた警官が例の棒を振り回してやってきた。今度はティアドロップのサングラスをかけた強面かつガタイのいい警官一人。そして全く英語を話さない。それも超高圧的。揉めるとマジで逮捕されそうな勢い。警官が何言っていたのかはあくまでも私の想像だが、「お前あそこの分岐で一時停止しなかっただろ、パスポート見せろ」、「いやホテルが預かったままなので持ってない」、「なんで持っていないんだ」、「いやホテルがチェックアウトまで預かるというから渡してある」、「外国人はパスポート携帯しなきゃダメだろ、どこのホテルだ」、みたいな押し問答を二か国語ですれ違いながらずっと繰り広げ、最後まで俺はあそこの分岐でちゃんと止まった、と毅然と主張し続けた。国際免許見て「どこの国から来たんだ」というから「日本からだ」と答えたらようやく放免。

もしかするとモンテネグロクロアチアナンバーのレンタカーに乗っているのは、甲子園球場の1塁側にジャイアンツの帽子かぶって座っている、みたいなものなのか。もしくはサッカー日韓戦でアウェイで日の丸振るみたいなものか。気のせいなのかもしれないが。

そしてさらにその数日後、ボスニアヘルツェゴビナ、というかスルプスカ共和国のトレビニエでも捕まった。今度は駐禁。

街の中心に大きなプラタナスが生い茂って木陰ができている素敵な広場があって、その横の駐車スペースにクルマを停めて広場に面するホテルのテラス席で優雅にランチを食べた。その後オーガニックフードの店を冷やかしたり観光案内所で話を聞いたりして戻ったところ、フロントガラスに素敵な書類が。さらにご丁寧に前輪はでかい金具でロック。

駐車区画から3分の1馬身ほどはみ出て停めたせいなのか。前の車もはみ出していたから車が出せなくなっても困るのでそうしたのに。なかなかイラっとする。

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書類の一部は英語で書かれていて、30兌換マルク(2000円強、ボスニアヘルツェゴビナはなぜかいまだに旧ドイツマルクが通貨となっていて、実質ユーロと100%リンクしている)を銀行もしくは郵便局で払った後ロックを解除してやる、とのこと。

小さな銀行の支店がすぐ見つかったのだが、反則金を納付するのも一苦労、まずカウンターに8人ほどが列を作っていて、一人一人の処理に結構時間がかかって私の番が来るのに小一時間。そして英語が話せて反則金納付の書類の書き方がわかるマネージャーを連れてきてもらい、カードで下した30兌換マルク払ったら手数料をさらに払わなければならず、それをクロアチアクーナから両替して、たかだか数百円程度の両替なのにパスポート見せろとかそれはまたややこしい。後ろに並んでいたお兄ちゃんがイライラしているのが分かって申し訳ない。でもみんな毒づいたりせず紳士的。

何とか反則金を支払い、その領収書みたいなものを誰に見せたらロックを解除してもらえるのかわからないので再び観光案内所へ。
さきほど街について案内してもらった切れ長の目をした栗色の髪の超美人なお姉さんに相談したら、「ついてってあげるわ」、とのこと。車まで一緒に来てもらってロック解除の手続きしてくれる人を見つけてくれた。超親切で感激。「駐車料金払ってなかったからよ」と言われ、「いや、サインが出てないからわからなかった」といったら「確かにわからないわね、申し訳ないわ」と言われてこちらが恐縮。

不幸中の幸いは金曜日の銀行の営業時間中に駐禁切られたことに気付いたこと。これで銀行が閉まってしまったら車輪のロック解除ができず、月曜までモンテネグロでもなくクロアチアでもなくスルプスカ共和国(ボスニアヘルツェゴビナの一部)で足止め食らったかも。

異国の地、それも旧共産国での警察がらみのトラブルが続いたが、意外と何とかなるものだ。だがモンテネグロでのスピード違反と一時停止違反、ボスニアヘルツェゴビナでの駐禁をやらかしたときの対処の仕方、なんて日本国民の99.97%にとっては「ホッキョクグマのレバーを生で食べ過ぎると死ぬ」ぐらい全くなんの役に立たない豆知識、だと思う。