都道府県別成人1人当たりの酒消費量データから読み取る県民性
最近のウイスキーの消費動向はどうなっているのかな、と思って総務省家計調査のウイスキー消費量のデータを見てみた。2018年のデータでは、県庁所在地・政令指定都市の中でウイスキーに最も多く金使った街はぶっちぎりでなんと山形市がトップ、次いで奈良市、福島市。
ウイスキーの消費が最も多い/少ない県庁所在地・政令指定都市それぞれ10都市(2018年)。
— 子供銀行券 / funny money (@tk_whiskeykitan) 2020年2月2日
この数字は家飲み用にウイスキー買った額、という見方が正しいと思われる(外食費は別にある)。
山形市は酒への支出のうち約20%がウイスキー、奈良市14%。すげえ。https://t.co/3y2vIpPqok pic.twitter.com/zIKKkvhS3b
ちょっとこのデータ面白すぎるだろ、と思って時系列で見てみたら、残念なことに信頼性に欠けることが分かった。そういえば去年の今頃は厚労省の毎月勤労統計を始めとする国の機関統計データが捏造に近いものだったと大騒ぎになっていたことを思い出した。
恐らくサンプル数小さすぎるので時系列で追いかけたらブレが多すぎてあんまりインプリケーション読み取れなくなってきた。失礼しました。
— 子供銀行券 / funny money (@tk_whiskeykitan) 2020年2月2日
山形市のウイスキー消費が2018年7000円、2017年2800円、2016年5700円ってブレすぎでしょ。
奈良の消費が多かったのも2018年だけ。 pic.twitter.com/J6uRYLWO6F
より信頼性の高いデータを探して国税庁のHP見ていたら、酒税の課税関係等状況表(平成29年度)で都道府県別成人1人当たりの酒の種類別消費量を発見。現在入手可能な最新のデータ(沖縄のデータについては沖縄国税事務所統計情報)をまとめ、そして参考までに都道府県別の飲酒運転検挙率もつけてみたら色々面白い事実が分かった。
ちなみに沖縄は酒税が泡盛が35%、その他の酒が20%低いという「本土復帰の特別措置」が今も続いているために、国税庁の全国統計とは別扱いになっている。
こちらのデータが2017年度都道府県別成人1人あたり酒類消費量(単位リットル)と2018年飲酒運転検挙率(飲酒運転検挙件数を運転免許保有者数で割ったもの)。筆者まとめ。
日本酒消費量は新潟、秋田がずぬけて多くてあとは秋田、山形、福島の東北が強い。高知も納得だが意外と佐賀も飲むんだ。知らなかった。
焼酎は九州、特に南と泡盛飲む沖縄強し。意外と山陰・中国も力強い。
ビールは東京の圧勝ぶりが目立つ、が発泡酒と合わせた時の高知が強すぎて笑う。
ワインは東京が強いのには驚かないが山梨がこんなに強いとは知らなかった。ウイスキーも山梨強い。そして飲酒運転も。
リキュールは恐らく第三のビール(風アルコール飲料)の売れ行きに左右されていると思うが沖縄圧勝。調べてみるとオリオンビールから結構な新ジャンル出ててそれによるのかな、と思う。
この数字見て私が勝手に導き出した仮説は4つ。
仮説その1「実は山梨県人は嗜好品としての酒が大好き」
果実酒、主にワインは「酔うため」に飲んでいるのではなく嗜好品としての性質が高いと思われるが、東京がぶっちぎりなのは分かるとしてもその次に多いのは山梨。ワイン生産出荷量は山梨が日本で一番多くて33%のシェアだそうだが、二番目に多い長野県(22%)よりも2倍以上の消費量。三番目に多い北海道(15%)でもそれほどワインの消費量が多くないことを考えると山梨県人は嗜好品として酒がめちゃくちゃ好きということ?
それに山梨はウイスキー消費量も多い(東京、宮城に次ぐ3位)。白州蒸留所があるから?
ちなみに山梨県は人口千人当たり飲酒運転検挙率で全国ワースト4位。県民性として民度が低いといった悪いイメージなかったけどな。鉄道があまり便利じゃないのに酒飲むからかな。
仮説その2「やっぱり高知はヤバい」
これは仮説ではなくて事実だろう。四国の他県と比べてもビールと発泡酒の売れ行き違い過ぎて笑う。発泡酒飲む量が香川の2倍をはるかに上回る力強さ。でも島根よりも日本酒飲まないって結構意外。飲酒運転も堂々の(?)全国6位。色々納得できます。
仮説その3「沖縄は発泡酒と第三のビールをめちゃ飲む、そして飲酒運転ヤバい」
これも仮説ではなく多分事実。泡盛飲むからもっと焼酎売れててもいいかな、と思ったけれど、若い人はあまり飲まないらしい。公共交通機関があまりないのに酒やたらと飲むからだと思うが、飲酒運転検挙率(飲酒運転検挙件数を運転免許保有者数で割ったもの)が東京の25倍。さすがです。
仮説その4「茨城が一番ヤバいかもしれない」
大してお酒飲まないのに東京対比で飲酒運転検挙率10倍はヤバい。同じくらいしか飲まない近くの栃木や群馬と比べても飲酒運転3倍超。もしかしたらある意味一番ヤバいかも。
そしてこちらが成人1人当たりのウイスキー消費量の都道府県別ランキング。
結果はやはり東京圧勝。そして2位が宮城、ニッカのおひざ元だからか。そして白州おひざ元の山梨が3位。マルス信州蒸留所があるお隣長野県よりも相当多い。
東京、大阪のような大都市と北海道、東北のような寒い地域でウイスキーの消費が多い傾向があることが分かる。愛知の人は県民所得高い大都市の割には酒飲まないのにやや驚く。
家計調査では健闘の目立った奈良は下から8番目。
なんか眺めているだけでも意外と面白かった。いつもと違う感じの記事ですが、調べてみてよかった。
出典
国税庁平成29年度分 酒税課税関係等状況表 酒類販売(消費)数量等の状況表https://www.nta.go.jp/taxes/sake/tokei/kazeikankei2017/pdf/29-06.pdf
統計情報(沖縄国税事務所)
https://www.nta.go.jp/about/organization/okinawa/statistics/index.htm
沖縄県 住民基本台帳年齢別人口
https://www.pref.okinawa.jp/site/kikaku/shichoson/2422.html
平成30年の犯罪
https://www.npa.go.jp/toukei/soubunkan/h30/h30hanzaitoukei.htm
警察庁 運転免許統計平成30年版
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/menkyo.html