東京ウイスキー奇譚 Islay Whisky’s blog

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 その1 その2 その3
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

日本最南端のモルトバー Summer Glass

日本で最も南に位置するモルトバーで飲んできた。バーにウイスキーが置いてあるだけのなんちゃって、とかでなく、本物のモルトバー。

本当に最南端?と疑ったあなた、この地図見たら納得してもらえるだろう。那覇から400㎞以上離れた石垣島にある唯一のモルトバー。台湾の方がむしろ近い。石垣よりさらに南西にある西表島与那国島モルトバーがあるとはとても思えないのでこのバーが日本最南端のモルトバー、ということでいいだろう。ソースは俺。異論は認めない。

f:id:KodomoGinko:20170417215644p:image全身黒づくめのスーツに身を包み、時には命を落とすものも出る激しい活動を行ったり、ヘルメットやサングラスで変装して命がけで限界に挑戦する狂信的かつ過激な運動に身を投じてからはや4年。それまでの平凡で平和な生活を愛する一市民としての暮らしから、ここ石垣で公然活動家として2013年にデビューしてからは家族からも孤立し、休日も返上して多額の資金を活動のためにつぎ込み、また同志を運動に勧誘してきた。今年もまた過激な運動を行うために会社を半日休んで石垣島に上陸。石垣港ターミナル前の人目につかない安宿に潜伏してその日をじっと待った。毎年楽しみなんだよ石垣島トライアスロン

金曜日に石垣島入りして、日曜日に行われる大会で命を落としたりしないよう旨い石垣牛を食べさせてくれる焼肉屋でビールを一杯だけ飲んで9時過ぎには潜伏先のアジト、もとい東横インに帰ったのだが、やはり眠れず石垣島唯一のモルトバー、Summer Glassに行ってみることに。

東横インからほど近い石垣港には海上保安庁の艦艇がたくさん係留されている。というのもここは尖閣から一番近い石垣海上保安部があり、紛争の最前線なのだ。その船を背中に、夜道を美崎町に向かって歩く。

土産物屋の立ち並ぶ商店街から一本北のゆいロードに面してSummer Glassはあった。モルトバーなのに路面店、という東京ではめったにないロケーション。

扉を開けて中に入ると、かりゆしを着たおじさん二人がカウンターの端で飲んでいた。白州のハイボール

カウンターに座りバックバーを見るとかなり強烈、東京の下手なモルトバーよりも充実している。SpringbankのLocal BarleyやらArdbegの30年やらが見える。さらにカウンターの奥にはパンチョン樽が天井からつるしてある。こんなにたくさんボトルがあると選べなくて、オーダーするのに時間がかかるじゃないの。

悩んだ挙句に、一杯目は信濃屋限定のArranの2001年蒸留14年のシェリーカスクをチョイス。これは今年2月に速攻で売り切れたもののはず、こんなところ(失礼!)で飲めるとは思っていなかった。ArranのBrand Ambassadorの信濃屋だから確保できる、過去最高のフルボディのシェリーカスク、というのが売り文句だったと記憶している。

f:id:KodomoGinko:20170417215659j:plainかなり濃い深みのある褐色。そこまで超フルボディ、とは感じなかったものの、上品で深い甘みと香りが引き立ち、シェリー好きの人にはたまらないだろう。

金曜日ということもあって夜10時を廻るとお客さんが増えてくる。地元の人と観光客の比率は半々、女性が多い。観光客はカクテルを、地元の人はハイボールやカジュアルなウイスキーをロックで注文している感じ。シングルモルトをストレートで飲んでいるのは私だけだ。そもそも一人で来ているのも。

30代半ばぐらいに見えるバーマンが一人で仕切っている。お客さんが集中しなおかつカクテルの注文が多く入ると大変そうだ。彼の手が空くのを待ってから、2杯目のお勧めを聞く。Strathislaの19年、Cadenhead。

石垣島には他にモルトバーあるのですか?」「いや、ここだけです」「こんなマニアックなボトルを地元の人は飲まれるんですか?」「いや、あまりシングルモルトは知られていないですね」。雰囲気がいいので普通のバーとして使われているようで、マニアックな品揃えを見て目を回す人はなかなかいないようだ。Friends of Oakのボタンの花のラベルのCaperdonich21年が置いてあってびっくり。120本しかボトリングされていないはずなのに、日本で2本目をここで見るとは。

いつもどこで飲んでいるのですか?と逆に聞かれたので、一番よく行くのは渋谷のCaol Ilaさんです、と答えたら有名ないいお店ですね、とのこと。自分の行きつけの店が石垣でも知られていた。

そして「これ飲んで帰れ、というのは何かありますか?」と伺って出てきたのはケルティックラベルのG&M、Mortlachの35年。1974年蒸留。私の方が数年年上。いい感じで私の記憶にインプットされているMortlachに近い。いい意味で奥行きのない、不安げな平べったいベースに繊細なフローラルの香りが乗っている。これで今晩は終わりにしようか、と思いしみじみと最後の一杯を楽しむ。翌日はレース前日なので当然禁酒、そしてレース後も東京に着いたら運転が待っているので酒が飲めないと分かっていて、手元の酒が余計名残惜しくなる。

結局フルショット3杯飲んで帰ることに。6000円ちょっと。クオリティ考えると安い。

5年前の今頃に初めてフルマラソンを完走し、4年前にここ石垣で初トライアスロントライアスロンというと何だか凄そうに聞こえるかもしれないが、1.5㎞泳いで40㎞自転車乗って10㎞走る、というオリンピックディスタンスというやつだとフルマラソンの方がよっぽどしんどい。というのもフルマラソンは同じ筋肉を3時間半から4時間ぐらい酷使しっぱなしだが、トライアスロンだといろんな筋肉に負荷が分散する上に、大体3時間ちょっとで終わるからだ。

なんでそんな過激な活動に身を投じ命がけで戦って資金もつぎ込み家族から孤立しているのか、と聞かれることがある。自分でもよくわからなかったが、米帝とその傀儡に正義の鉄槌を下して暴力革命による人民政府樹立を目指しているから、ではもちろんなく、何か少し遠めの目標を設定してその目標をクリアしようとしている自分を自分自身で肯定したいから、ということなのではないかということに最近気づいた。

正直レース中は辛い。辛いがレースが終わった途端に次はもっと頑張ろう、と考える。今回は自分を追い込みきることができず、余裕を残してゴールしてしまったことで悔いが残った。自分の限界の遥か手前で勝手に壁にぶつかった気になり、手を抜いてしまう自分はいろんな場面で現れる。そしてそんな自分がいることすら認めたがらない自分がいる。レースに出ると、そんな自分のダメさ加減を思い知らされる。 

 

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