東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

アイラ島 3日目

アイラ島3日目、旅に出て6日目。

前日同様7時半から朝食。この日は昼にポートアスケイグから出るオーバン行きのフェリーに乗る。

朝食後娘はアーチーとまた遊ぶ。こういう宿の子供というのは、小さな頃から仲良くなっては別れ、というのを繰り返すことになるわけで、その経験を続けると不思議な人生観を持つようになるのではないのだろうか、と思ってしまう。

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迂闊だったのだが、宿への支払いは当然ながら現金のみ。どこへ行ってもクレジットカード決済が当たり前なので、持ち合わせがあったか不安になる。お勘定をお願いしたら220ポンドとのこと。手持ちを数えると210ポンド。私としたことが。ポケットから小銭出すと4ポンド出てきて、結局6ポンド足りない。ボウモアまで5分、ATMでお金下ろせる。だがジムは210ポンドでいいよ、と言ってくれる。お前はいいやつだから気に入った、だから小銭もいらないよ、また来てくれ、とのこと。じゃあまた来るよ、本当に良くしてくれてありがとう、と礼を言う。アーチーにも2人でいる時にホントに君のご両親は親切だったよ、と言ったらはにかんでいた。もちろんキャロラインにも。

 

別れを惜しんでいるうちに9時半になってしまい、どこに行くにしても中途半端な時間に。島の南西、Ardbegの先をドライブして野生のアザラシを見る予定だったのだが、そこまで行くとフェリーの時間が厳しい。とりあえずCaol Ilaを目指して北上。途中で羊の群れを統率するシープドッグを見る。

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昨日は天気が良かったが、Caol Ilaに着くと大粒の雨が降り始めた。でも一日中降り続くことはない。ざっと降って、しばらく待つと止む。蒸留所の白壁がグレーに変わる。

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またFeis Ile2013か2014か悩んで、再び試飲させてもらう。同じ99ポンドだが2013年は昨日のバーでは一杯10ポンド、2014年は8ポンドで出していたことを思い出し、2013年の方が美味しい気がしてきてしまう自分に苦笑する。で、結局2013年。3000本限定のうちの1836本目。棚の中から一番古い番号を選ぶ(ちなみに隣はArdbegの試飲で頂いたグラス)。そして再び猫のスシと遊ぶ。

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Caol Ilaからポートアスケイグまでは車で5分ぐらい。フェリー乗り場にはぼちぼち車が集まり始めていた。港にはしょんぼりとしたコンビニ兼土産物屋と、ホテルが一軒。

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ホテルのバーが開いていたので、また一杯飲むことに。昼酒を飲むことに全く抵抗がなくなってきた。

地元に敬意を表してPort Askaig12年。後で調べたらこれもCaol Ilaで作っているのね。

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店番のお姉さんは大学生で、最初は言葉からドイツ人かと思っていたら聞いてみるとフィンランドから夏の間だけスコットランドに働きに来ているとのこと。フィンランドスコットランドはあまり変わらないわ、と言っていた。ヘルシンキ出身だそうで、娘に向かってムーミンランドに連れてってもらったら?と言っていたが娘は英語がわからない。

時間になって、船に車を載せる。4時間ほどの船旅。アイラ島に来た時のフェリーと全く同じ船だと思う。

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飲み過ぎるとこんな事になるかも知れない。

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船が出港して、船室で時間を潰していたが、出港した時にCaol Ilaの蒸留所が海から見られたはずなのにそれを見逃したことに気づいてほぞを噛む。

 

これでアイラ島の旅は終了。蒸留所見学と酒飲む以外に何かすることあるのか?と聞かれれば正直言って特段何もない。だがゆっくりウイスキーを楽しんで、この不可思議な飲み物がどんなところから来てどうやって作られているのかに思いを馳せ、わざわざスコットランドの西の島まで来ようかと興味を持つような人は、そんな野暮な質問はしないだろう。

 

何か刺激的なものがあるわけでなく、とても静かなゆっくりとした時間を味わう。

 

その経験(というかむしろ何も「経験」してはいないのかもしれない)を、住み慣れた街であくせくしている中でよみがえらせることができるタイムマシン、がアイラのウイスキーなのかも知れない。だから、慌てて飲んでも美味しくないのだ。