東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

【緊急アピール】全ての誇り高きバーマンへ: 進むべきか退くべきかの考え方のヒント

最近一番気になっていることは、自粛要請と売上減のせいで一部のバーテンダーの方が「もう何をやっても無駄かも」と気持ちが折れつつあること。リーマンショックなどの修羅場を乗り越えたバーを愛する社会人の一人として、「学習的無力感」から脱し、建設的に考えるヒントを整理・提供したいと思います。

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はじめに

犬を檻に入れて逃げられないようにし電気ショックを与え続けると、犬はなぜそのような罰を理不尽に与えられているのか理解できず諦めることしかできなくなり、檻が取りはらわれて逃げられるようになってもそのまま電気ショックを受け続ける。酷い実験だが、これが「学習的無力感」。

 

Wikipedia「学習的無力感」より
学習性無力感とは、長期にわたってストレスの回避困難な環境に置かれた人や動物は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという現象。
なぜ罰されるのか分からない刺激が与えられる環境によって、「何をやっても無駄だ」という認知を形成した場合に、学習に基づく無力感が生じ、それはうつ病に類似した症状を呈する。

 

大変失礼な言い方だとは承知しているが、SNSでは憔悴しきっているバーマンの弱音を目にすることが増え、一部には「何をやっても無駄かも」という「学習的無力感」が出てきているような気がする。

そもそも消費税増税後のコロナ感染拡大で夜の人出が減ってしまっているのに、さらにバーを名指しで自粛要請出ればノーゲストの夜も増えてさらに辛い精神状態になると思うので仕方のないことだと思う。長期化すると売上を上回る固定費支払いで手元から現金がなくなっていくわけだから。

私が許せないのが不安感を煽るように「政府は無策だ!このままでは我々は絶望だ!」とSNSなどでしつこく言い続ける人たち。助けが来ることはない、と誤解させて心の弱った人を追い詰める。

本来慎重かつ冷静に今後の対処策を検討すべき最も重要な時に、人々の恐怖心を意図的に煽って感情的に絶望させ、理性に基づいた冷静な判断から遠ざけるよう仕向けている連中を見ると、私は腹が立って仕方がない。


 

バーマンがセーフティネットを自力で調べられない弱者だとは私は全く思わないが、救いの手がそこにある。頭の整理のためお役に立ちたく、以下書いていきます。

 

まず考えるべきこと:この状況がいつまで続くのか

それが分かればだれも苦労しない、という質問であることは百も承知だが、「この状況がいつまで続くのか」の予測が一番肝心。

データポイントがなかなかない中で参考にできるのが真っ先に感染を封じ込めた中国の例。以下がざっくりとしたタイムライン。

 

2月初旬: 新規感染者の増加がピークアウトし減少に転じる
2月末:  ホテルの8割が再開
3月中旬: レストランの7割以上が再開

 

つまり中国では感染拡大がピークアウトしてから1か月半ほどである程度サービス業が正常化した

日本で感染拡大のピークはいつ来るのか、まず推測してみてほしい。それに1か月半から2か月ほど足せばどのタイミングで飲食業が(ある程度)正常化するかの予想ができる。

ただし感染爆発により医療崩壊で大量の死者を出している海外と異なり、日本は患者数のピークの高さを極力低くする代わりに収束まで時間をかける戦略をとっていることを考慮する必要があるかもしれない。

仮に6月ごろに日本での感染拡大のピークが来るとすると、8月ぐらいから通常に近い営業が可能になると考えることができる。違う言い方をすると今から4か月は苦しい時期が続くということになる。

もちろん感染拡大のピークが4月末、5月にも来ると考える人がいても反論するつもりはない。念のため。

また通常の風邪やインフルエンザ同様、秋から冬にかけて再流行し、感染拡大の第二波が来ると考える慎重な人もいるかもしれない。感染拡大のピークアウトが遅れて冬に近づけば近づくほど第一波と第二波が近づいてしまう恐れはある。

 

店を続けるべきか否か考える際の頭の整理

釈迦に説法ではあるものの究極的には以下の二択となる。

選択肢1
持久戦で目先赤字を出しながらも営業をこのまま続けていく

OR

選択肢2
一度撤退して収束後に再起を図る

 

1か2かどちらがいいか考えるにあたって重要な点は以下の2つ。

 

A. 事態収束までいくら手元からお金が出ていくか
= ( 事態収束までの長さ(月) x ひと月当たりの赤字額)
ただし重要なことはこの額は (手元資金 + 借入可能額) を上回ることはできない

 

B. 店を閉めるにはいくらかかるのか
= (店の原状回復費用 + 賃貸契約の違約金 - 保証金・敷金返還額) + その他費用 
(+復活するときにかかる再出店費用)

 

AがBを(大幅に)上回る、すなわち「事態が収束するまでに出ていくと思われるお金の合計額」が「閉店のための費用」を明らかに大幅に上回る可能性が高ければ、一度撤退するのも一つの判断になるだろう

当たり前だが選択肢1の持久戦を永遠に続けられる人はいない。

「バーの灯りを消さない」という矜持は尊敬に値するけれど、長期化して赤字が広がり再起不能なダメージを負ってしまうよりも、事態が収束した時にまたそのバーマンに違う場所ででもお会いできた方がバーを愛する客の一人としては嬉しい。

ではAとBを計算していくためにさらに整理していく。

 

事態収束までに出ていくお金の合計額(A)の考え方

 

先ほども書いたように、

 

事態収束までに出ていくお金の合計額(A)
= ( 事態収束までの長さ(月) x ひと月当たりの赤字額)

 

となる。

 

繰り返すが非常に重要なことは、この額は (手元で保有する自己資金 + 借入可能額) を上回ることはできない。上回ってしまうと資金繰り破綻でゲームオーバーとなってしまう。

予想されるひと月あたりの赤字額についてはこれはお店をやっていらっしゃる方が一番よく分かっているはずなのでここでは語らない。

現金流出額をいかに小さくしていくのか、すでに皆様様々工夫されていると思いますが念のために考えられる対策の例を以下に整理する。

 

仕入れ額を減らす
(家にあるボトルを持ってきて新しく買わない、ビールサーバーを止めて缶・瓶ビールにする、アルコールスプレーとペーパータオルを置いておしぼりレンタルを止めるなど)

● 賃料の減免、支払い猶予を不動産オーナーと交渉する
(国土交通省も業界団体に要請を行っているため無茶苦茶な話ではないし、今テナントが廃業して出て行っても新しいテナントは今後しばらくは見つからない可能性が高いので家賃下げても入居し続けてもらった方がオーナーにしても得で交渉の余地あり)

雇用調整助成金の申請 (スタッフを使っている場合)
(従業員を休業させるが給料を出すとき、雇用を継続するときに国から出る助成金、休業手当もしくは雇用を維持する場合は賃金の8-9割が一日当たり上限8330円まで助成され返還の必要はない、詳細は最後にまとめてありますのでご覧ください)

● 自分もしくはスタッフの給与支払い時に納めている社会保険料の支払い猶予の要請
(厚生年金など、詳細はこちらのP.34をご覧ください)

● 昨年分の所得税・消費税の納付期日4月16日(再延長される可能性あるが)を口座振替の納税にすることで納付期限を5月16日、19日まで延長
(詳細はこちらのP.35)
もしくは納税の1年猶予の申請 P.36、37
税務署も税金支払う意思はあるけれど支払えない人には親身に相談に乗ってくれる)

● 電気・ガス料金の支払い猶予申請 
(上記リンク P.38)

 

 

実際に事態収束までに出ていくお金の合計額(A)を計算してみる


ではより具体的に以下のケースを考える。

 

12坪程度の広さのバー、オーナーバーテンダーが一人で営業
店の家賃:        月坪当たり1万5千円として月18万
水道光熱費その他費用:  月7万
月の仕入れ費用:     月10万円
ローン返済額:      月5.25万円
(開店費用が600万円、その半分の300万円を5年のローンで2%の金利で均等返済していると想定)
自分への給料:      月20万

通常時のひと月当たり費用合計 約60万円 

 

まず上に書いた経費削減策を実行。

家賃が3割免除もしくは1年後から1年間3割増しで支払う猶予の交渉。
仕入れを半分に。
水道光熱費の猶予。
銀行に返済猶予を求める。毎月2.25万円の返済にリスケジュールしてもらって3万円支払い削減。

これで約18万円コスト削減でき、費用は月42万円。仮に苦しい中でも1日あたり4000円の売上げがあるとすると月25日の営業で売上10万円、赤字額は月32万円。

なお上記の支払い猶予などすべてトライしたうえで店を一時休業にするという選択もある。その場合は仕入れが基本ゼロ、水道光熱費も基本料金程度。

何もしない場合、コスト削減実施後、休業のそれぞれのケースにおいていくらお金が出ていくのかをまとまると以下の通り。

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それぞれの場合について、現在の状況がいつまで続くとお金は合計でいくら必要になるかをまとめたのが以下の表。

 

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上の表をグラフにすると以下の通り。手元資金(自己資金と借入)が250万ある場合は黄色の点線、400万円ある場合はオレンジの点線で、点線と斜めの線がぶつかるところが資金繰りに行き詰まるタイミングを示す。

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手元現金は現状減ることはあっても増えることは残念ながら考えにくいので、どれだけお金を借り入れられるのかというのが重要。当たり前だがお金が借りられれば資金繰りがつかなくなるタイミングが先送りされる。

据置期間の長い(=お金を返し始めるタイミングが先)の実質無利子の融資がセーフティネット融資として借りられる(後程細かく実際に借入ができたバーの例も含めて説明します)。

日々状況は変わっていて融資基準はどんどん緩和されているので、昨日融資を断られたからもう全然借りられない、とあきらめないことが非常に重要。

また忘れてはいけないのが減免・猶予はあくまでも「今すぐ返さなくてもいい借金」であって借金には変わりなく、いつか返さないといけないということ。上記の例では月に18万円ずつ借金が増えていくことになるので、念のため。ただしこれもセーフティーネット借入で将来のキャッシュフローで賄える可能性がある。

 

店を閉めるための費用(B)の考え方

縁起でもない、というのはよくわかっているが、名誉ある撤退を必要とされるケースもあるだろう。深手を負って再起不能になるよりは一度損切りしてコロナのワクチンが出来て混乱が終息してから復活するというのも一つの考え方だし、それはバーを愛している客に対するバーマンの様々ある誠実なチョイスの中の一つかもしれない。

撤退にあたって手元から出ていくお金の額はざっくり以下の通り。

 

店を閉める際に手元から出ていくお金の合計額(B)
= (店の原状回復費用 + 賃貸契約の違約金(もしあれば) - 保証金・敷金返還額) + その他費用(什器搬出・ボトル搬出保管など))

(+ 金融機関借入の即時弁済を求められる可能性(もし借入があれば、ただし可能性は低い)) 

 

大家さんも急に退去されてもこれから1年以上はテナント見つからない可能性が高いので、空き家になるよりは賃料下げても現在のテナントにいてもらった方がいいと考えるかもしれない。だからいきなり退去届出すよりも不動産管理会社にまず賃料の減免・猶予の相談をしてみたらいかがだろうか。そして上記Aのシミュレーションを改めてしてみてから、撤退の決断をしても遅くない。

まず不動産の賃貸借契約書を確認し、原状回復についての取り決めがどうなっているか確認してほしい。前賃借人の内装をそのまま使って開業した場合、つまりいわゆる「居抜き」で開業した場合でも、退去するときにスケルトン渡しにする原状回復義務がある場合がある。
現状の内装をそのまま残すことができれば費用を安く抑えることができる。

また退去予告が通常3-6カ月前になっている場合はすぐに退去する場合その分の家賃(例えば6か月分)は大家さんに前払いをする必要があり、実質違約金となる
恐らく敷金・保証金の月数と退去予告の月数が同じになっているケースが多いと思われるので、敷金・保証金の返還と相殺されてゼロになるケースが多いのではないだろうか。

つまりネットでの撤退費用は内装撤去にかかる原状回復費用とその他費用になるだろう。
一般的には内装撤去には坪数 × 10-15万円程度かかるといわれているので、先ほどの12坪の店のケースでいえば120-180万円程度。

その他費用は什器の搬出(製氷機や冷蔵庫、グラスなどは売却できる可能性も)、ボトル撤去と保管費用などが見込まれる。バー好きとしてはグラスやボトルは手元に置いておけることを心よりお祈りしている。

あと気を付けないといけないのは金融機関からのローンの返済義務。開店時に金融機関からお金を借りてまだ残高がある場合は、廃業すると期限の利益を喪失する可能性がある。平たく言うと商売やめるなら借金の残額を今すぐ全額返せ、といわれる可能性があるということ。

ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)を見ると、通常は「著しい信用力の悪化が見られるときに期限の利益の喪失とみなす」と書かれている。廃業は「著しい信用力の悪化」に普通は該当する。

ただし金融機関は今回のコロナ感染拡大に関しては貸しはがしをするなと強く指導されているので、突然「今すぐ全額借金返せ」といわれる可能性は極めて低い。

ローンが残っているバーの経営者の方は廃業するしないにかかわらず金融機関担当者とは密にコミュニケーションをとることを強くお勧めする(まともな金融機関の担当者はすでに連絡を密にしていると思いますが)。またローンがない方でも、地元の信用金庫にとりあえず相談を始めるのがいい。信用金庫は地元の中小企業の味方で親身に相談に乗ってくれる。地元の商店街や商工会に相談するのもあり。

また見えない費用としては復活するときにかかる再出店費用がある。
敷金・保証金を払い、什器をそろえ、内装をまた一から始めないといけない。これは開店したときにいくらかかったのか覚えていらっしゃるであろうから割愛するが、一度撤退してから新たに開店するには原状回復費用と開店用の内装費、退去にあたっての違約金と新規開店にあたっての敷金保証金の2つについては往復ビンタ、二度払いになることは頭に置いておいた方がいいだろう。

仮に原状回復義務があり、営業を続けて赤字を出すのを回避するためにすぐに廃業するとすると上記のバーの例では120-200万円程度の廃業費用がかかると考えられる。また開店するにあたって借り入れているローンが残っていれば廃業していったん仕事・収入がなくなったのにそれを返済していく必要もある。

 

店を続けるべきか、閉めるべきかの判断

仮に保守的に見積もって10月から正常化すると考えた場合、これから半年間でいくらお金が出ていくかを確認。先ほどのシミュレーションでは大体200万円ぐらい。ただし各種減免分の18万円 x 6ヶ月分、108万円分は将来返済が必要なので借金が増えている形になる。

廃業するとするとすんなりいって120-200万円程度。だが仕事がすぐに見つかるとは限らない。失業保険を受給することもできるが、20万円の給与だったとするとその5-8割程度の支給となる。そして復活したときに開店するための費用を仕事を新たに見つけて稼がないといけない。

これのどちらがいいかという究極の選択。

バーに行きつけている客の見方からすると、コロナ感染拡大が起きる前、損益分岐点をしっかり超えて売上が上がっていて固定客もついているようなバーであれば、店を続けても踏ん張っていかれる可能性は比較的高いと思う

逆にコロナ前からあんまり儲かっていなくて損益分岐点をなかなか超えられなかったようなお店だと、コロナ収束後もしばらく景気は悪くこれまで以上に客の財布の紐はきつく締まったままで損益は悪化すると思われるので、その点を考慮したほうがいいかもしれない。

ただしテレワーク/自宅勤務などで勤務形態が大きく変わってきており今後もある程度継続するはずなので、自宅で働いて家の近くの店で夜飲む人が増え、かつて立地の悪さに悩まされた住宅地から近い地元密着型の店が再評価される可能性もあり、これまで儲かりにくかったから今後も絶対だめだ、というわけではないことをお含みおきください。

凄く酷な言い方だが、ずるずる無理に続けると、負けると薄々分かっている勝負なのにどんどん賭け金をテーブルに積み上げていくという展開になる可能性がある。

その意味でこのタイミングでこうなれば/ならなければ思い切って撤退する、というプランを持っておくことが重要と考える。そう考えれば逆算して今のうちにこれをやっておくべき、これを試しておこうという気にもなる。

学習的無力感で打ちひしがれ、何も考えず「手なり」で現状維持バイアス(変化によって得られるリターンよりもそれにより失う可能性のある損失に過剰に反応してしまうこと)や損失回避バイアス(いったん払ってしまって戻ってこないコストにこだわって損切りが遅れて損失を広げること)によりだらだら続けて傷口を広げることだけは避けてもらえれば、と思う。まだまだ再起のチャンスはあるのだから。

 

 

参考: コロナ対策での雇用調整助成金の概要

 

休業するが従業員に給料を出す、あるいは本当は休業させたいが雇用を維持して従業員に働きに来てもらう、という時に国からもらえるお金が雇用調整助成金。会社都合で休業させる場合は従業員に給与の6割以上の休業手当を支払う義務があるが、その休業手当の8-9割、雇用を維持するときは賃金の8-9割が一日当たり上限8330円まで助成され返還の必要なし。

自粛要請を受けた業種つまりバーはお金をもらえる対象となるとこちらのQ&Aに明記されている(Q&A問10)が、「助成対象は雇用保険適用事業所、支給対象労働者は雇用保険被保険者」となっている(問16)ためお金をもらえるのはこれまで雇用保険に加入して保険料を納めてきたお店に限られる。

でもあきらめる必要は必ずしもない。

先ほど(4月4日土曜日午後)コールセンターに電凸して確認(ホットライン0120-60-3999、土日も受付)、とても丁寧に教えてもらえた。

「コロナによる自粛要請を受けている飲食業を営む個人事業主が自分に給与を支払っている場合、雇用調整助成金の対象となるか」と聞いたら答えは「現時点では対象にならない」とのこと。

また「現在雇用保険に加入しているか定かでないが、従業員使っている場合雇用調整助成金を受け取れるのか」という質問。
答えは「今からでも事業主として事業所が雇用保険加入を申請して認められ、雇用保険料を納付すれば、従業員が雇用保険を払っていなくても雇用調整助成金を受けられる」とのこと。

雇用保険料は月額従業員負担が給与に対して0.3%、雇用主負担が0.6%。給与20万円とすると従業員負担600円、雇用主負担は1200円。それで従業員一人一日当たり8330円を上限として助成してもらえるのは悪くない。もちろん所得そのものを「何らかの理由」で捕捉されたくない人もいるかとは思いますが。これだと家族や友人雇ったことにすれば以下ry)

詳細はこちらのリンクこちらのリンクをご覧ください。

 

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https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf 27ページ

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参考: 日本政策金融公庫からの公的融資その他の資金繰りの支援、借入/保証について

ざっくり言ってコロナの影響を受けたお店がお金を安く借りるには2つの方法がある。一つは日本政策金融公庫からお金を借りる方法。もう一つは「信用保証協会」から保証を受けて地元金融機関からお金を借り、利子補給を地元の区から受ける方法。

昔は中小企業金融公庫というのがあったが、2008年に統合されて日本政策金融公庫になった。まさに困った中小企業を助けるためにお金を貸してくれる公的な金融機関で強い味方。

信用保証協会というのは実質国のようなもので、地元の金融機関からバーがお金を借りて仮にお店がつぶれてしまって融資を回収できなかった時は、バーに代わって信用保証協会が金融機関にお金を返済する。だから金融機関からしてみれば信用保証協会の保証付きでバーにお金を貸すというのは国にお金を貸すのと同じリスクになるので、安い金利でお金が借りられる。

保証を受けるにあたっては保証料を払う必要があり、また実質国に貸しているのと同様のリスクの融資とはいえ利息を払う必要があるが、地元の自治体が保証料や利息に対して補助金をくれるケースが多く、その場合は実質無利子もしくは超低金利でお金を借りられる。

こちらのパンフレット7ページをまず見てほしい。バーの方(個人事業主も含む)はほぼ100%融資の対象になる。据置期間というのはお金を返し始めるタイミングで、最長5年とあるがその場合は5年たつまで元本の返済は不要。

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さらにこちらをみると今後利子補給を受けることができるとある。

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3年分の利息は一度払った後で払い戻されるため、実質3年間はタダでお金が借りられる(すでに公庫からの借入があって有利子で借りている人も再申請すれば無利子化される)ということだ。

日本政策金融公庫の「借入に必要な書類」というリンクの一部には「直近2期もしくは3期分の決算書」などと書かれているが、あきらめてはいけない。

実際に創業から日が浅くても借りられた、というオーナーバーテンダーからの報告もあった(据置期間は1年弱、金利も1%弱)。

こちらの「はじめてご利用いただく方」というところを見れば、直近2期分もいらないことがわかるだろう。創業から3カ月たっていれば大丈夫。あきらめないでほしい。

 

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またそれなりに業歴が長いバーのオーナーバーテンダーからは、希望額プラスアルファを公庫から借りられた、という話も聞いた。

あきらめることなく日本政策金融公庫の相談窓口に相談してほしい(窓口は相当混雑しているそうだが)。

www.jfc.go.jp

 

日本政策金融公庫だけでなく、付き合いのある金融機関からの融資に信用保証協会から100%保証をもらって融資を受けられる、セーフティーネット保証4号・5号融資というのもある。これはわかりにくいのだけれど、あなたのお店がつぶれても金融機関は貸し倒れにならず、信用保証協会がお店に代わって返済するもので、信用保証協会は実質国と同じなので金を貸してくれる金融機関は基本リスクを全くとっていない(のでどんどんあなたのお店に金貸してくれる)、というもの。

 

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一部の地方自治体では利子と信用保証料を全額補助してくれるので実質無利子。すげえ。自分のお住いの、もしくはお店のあるところの地方自治体名に「コロナ対策」「補助」などのキーワードを入れてググってみてください。

www.city.shinjuku.lg.jp

www.city.minato.tokyo.jp

www.city.shibuya.tokyo.jp

 

ろが申請したら、2019年3月末の決算書と今年度の試算表があればセーフティーネット保証の融資を受けられたとのこと。もちろん納税証明その他の融資に必要な書類は備えた上でですが、業歴短くてもあきらめないで。

港区の場合据置期間1年、貸付期間7年以内、借入上限500万円かつ信用保証料は区が補助ということなので、仮に利息が実質ゼロで7年間500万円借りたとすると今後1年間は何の返済もいらず、1年後から6年かけて元本の500万円返せばいいということになる。月7万円程度。
もちろん審査があるので希望条件通りに行くとは限らないが、利息かからないのであれば借りておいて損はない。間違ってウイスキーのボトル買いまくったりしない限り。

いろんな形で公的なサポートはあるのだから、あきらめないでほしい。自分のためにも、あなたのバーが好きで通ってくれていた客のためにも。

 

(4月6日追記: こちらで実際に豊島区のあっせん融資について電話で聞いてみましたので是非ご覧ください)

 

islaywhiskey.hatenablog.com

 

 

最後に

全てのご相談に乗ることはできないけれど、フォローしていただいているバーの経営者の方で本当に困ったときはあきらめるのではなく私のTwitterまでDMください。何かお手伝いできることがあるかもしれません。ただし私の本業もこの時期忙しいのでお含みおきください。この記事に紹介したリンクについてはご覧いただいてからご相談ください。

手放したらいつ再び手に入るかわからないボトルがあるけれど、止むにやまれずヤフオクなどに出そうかな、でもそれも本当は絶対に嫌なんだけど、などとお考えの方(私がお会いしたことある方が望ましいですが)もご相談に乗ります。