東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

美味い鰻と素晴らしく硫黄臭い温泉と日本酒「仙禽」が揃った栃木は凄い

今回は珍しく日本酒のことを書いてみようと思う。

春分の日は生憎朝から冷たい雨。久しぶりに家でゆっくり過ごすか、と思ったのだが、このところ体の疲れが抜けないこともあり、雨でも問題ない日帰り温泉、それもスーパー銭湯のようなところではなくガチの温泉に行きたくなった。大好きな那須高原の鹿の湯、と言いたいところだが、山沿いは積雪もあり得るとのことだったので、鹿の湯同等の硫黄の強さを誇る喜連川の早乙女温泉をチョイス。だが実はそれだけではなく、大好きな鰻を食べ、栃木の名酒「仙禽」の酒蔵を見て酒を仕入れるという隠れミッションつき。

雨なので交通量が少ないかと思ったが、首都高山手トンネルから東北道に出ると渋滞ではないがそれなりの車の量。栃木インターの先から北関東自動車道に入ると12時前で、鰻が焼きあがるまでの時間を考えると温泉より先にランチを食べたほうがいい、という結論に達し前から気になっていた宇都宮市の北にある「和食 たにぐち」さんへ。上三川インターを降りたぐらいから雨がみぞれに、そして雪に変わる。

インターから15分ほど、目指したお店はそこにあった。店構えも凛としていて、いい予感がする。

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小上がりに通され、家人たちは鰻重の並を、私は上を注文。並は鰻一串、上は一串半だそうだ。後で分かったのだが上は味噌汁の代わりに肝吸い付き。
昼のニュースで関東地方でも大雪、と言っているのが聞こえてくる。窓の外は湿度の高い雪がかなり強め。私の車はサマータイヤなので、下手したら帰れなくなるリスクも考えておかないと、と考えながら焼き上がりを待つ。
30分ほどして出てきたのがこちら。

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柔らかく蒸し上がっているが焼きで香ばしさもしっかりついていて上品な鰻。一粒一粒がしっかり自己主張するお米でべたべたしておらず私の好きなタイプ。タレは少し辛目、若干かかり過ぎていたのが残念だったが、期待以上に美味しかった。

外に出ると雪は強いが路面がそれまでの雨でかなり濡れているので積雪にはならないだろうと判断、第二の目的地、喜連川早乙女温泉へ。「和食 たにぐち」さんからは車で15分ぐらい。

雪の降る中、かわいい猫が玄関でお出迎え。そそくさと受付を済ませて男湯へ。風呂の扉を開けると、予想外の半露天で寒い!急いで大量に掛け湯をし、白濁とエメラルドグリーンの中間のような湯に浸かる。

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外気の冷たさでお湯が絶妙の温度、ずっと入っていられる。硫黄と石油の匂いが入り交じった独特な柔らかなお湯。色が夜になると乳白色に変わるらしい。カランや機械がすぐにだめになるぐらい硫黄が強い、とのことだったのでさぞかしpH低いかと思いきや7.4とほぼ中性。鹿の湯のpH3弱とは大違い。でもしみじみと肌あたりのいいお湯で、ストレッチしながら50分ぐらい浸かっていられた。身体がポカポカ。そして身体拭いても硫黄と石油の匂いがいつまでも取れない。最悪着られなくなってもいい服を着て行って大正解、だって脱いでも服に着いた匂いが取れないんだよ。それぐらいのお湯ってことでもある。こちらのブログで早乙女温泉教えていただきました、ありがとうございます!情報の海で溺れてしまう世の中、こうやって情報を取捨選択してもらえると本当にありがたい。

takachi.hatenablog.jp


そして硫黄の匂いを引き連れながら、祝日で閉まっているだろうと思いつつ駄目もとで仙禽へ。以前ランニングで北千住に行き銭湯「梅の湯」に入った後、目の前にある居酒屋「やすらぎ」で飲ませてもらった立春朝搾りの仙禽の酸味と甘みのバランスが途轍もなく旨くて忘れられず、さくら市に行くことがあったら必ず酒蔵に寄ってみようと心に決めていたのだ。

何でこの辺りには花崗岩を使った蔵がたくさんあるのだろう。米が沢山取れてみんな豊かだったということだろうか。仙禽も花崗岩造りの建物。仙人に仕える鳥、という由来だが、看板からして超カッコいい。

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中を覗いてみるものの人影はなく、直売所のようなものも残念ながらなかった。だがイメージ通りの酒蔵だったのでそれが確かめられてよかった。すぐ近くの酒屋に行き、モダン仙禽雄町の4合瓶を買い求める。

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酒の仕込みに使う水と田んぼの水が同じようにするドメーヌ化を行っているという。私の大好きなブルゴーニュのワインを思い起こさせる。口に含むとまず甘みが広がるとともにアルコール分が立ち上がるのだが、柔らかな酸味がアルコールの角を削って落ち着かせる感じ。その後旨みが押し寄せてくるのだが、全然重くなく飲み疲れしない。ムルソーと比べても負けない日本酒が、2000円でお釣りがくるというのはすごいことだ。フランスのワインと比べてどうこうというのも少し失礼なほどの独特の旨さと主張がある。いつもスコッチウイスキーばかり飲んでいるけれど、実は灯台下暗しなのではないかという気が猛然としてきている。

家人からはまたバイクに乗って仙禽買いに宇都宮の先まで行って来い、と煽られている。先入観なく色々試してみるのも本当に面白い。素晴らしい鰻と素晴らしい温泉と素晴らしい酒が揃う栃木は凄い。またこの3点セットで訪れたい。

 

 

 

 

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