東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

台湾にて人の好意と偶然に支えられて奇跡のような一日を過ごす

二日目は南投蒸留所訪問の日。朝7時過ぎに部屋を抜け出して軽くランニング。晴れていて気持ちのいい一日の始まり。お年寄りが朝公園に集まって思い思いに謎めいたゆっくりとした運動をしている。台湾はお年寄りが元気で、若い人が多くていい。植物園の温室の前に巨大オブジェがあり、一瞬夏の夜の安眠を切り裂くあいつかと思ってぎょっとした。お年寄りたちがみんな思い思いの方向にジョジョ立ちしている感じがいい。
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再び朝の街を走り、一息ついて宿の近くで朝食。暖かくて甘い豆乳が慢性アルコール過剰摂取の体に沁みる。これ東京で毎朝飲みたい。ハム入りオムレツみたいなのもおいしい。
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朝食をとって少しゆっくりした後、ホテルからさほど離れていない国光客運朝馬バスターミナルにバスで移動。南投行きのバスで蒸留所の最寄りの軍功里へ。バスは1時間に1本程度。所要時間は約一時間、94元。蒸溜所まではそこから歩いて15分ぐらい。

バスターミナルには特段時刻表やディスプレイなどはなく、バスが来るたびにお姉さんが中国語の大声で行き先を叫んでくれるだけ。南投、というのは中国語でも日本語でも発音が一緒でわかりやすい。時刻表はないし、Google Mapは10時26分が定刻だというし、切符売り場のお姉さんは10時40分発だというし、よくわからない。二日連続で明後日の方向行きのバスに乗りたくはない。

9時半過ぎにバスターミナルに着いてヘッドフォンで音楽聴いていて、ふとバスターミナルの外を見たら「南投」と書いてあるバスがまさに出発するところ。時刻は10時過ぎ。どうなってんだよ、と悪態をつきつつ慌ててカバンひっつかんで外に飛び出そうとしたらさっきの切符売り場のお姉さんがカウンターから飛び出してきて引き止めてくれた。後から思うと南投からの上りの台北行きのバスだったのだと思う。お姉さんのお陰で無事に正しいバスに乗れた。
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乗り込むとバスは予想以上に昭和を煮詰めたような感じが強くて逆に感動する。

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順序が狂いましたが、ここ大事なところですのでよく聞いてください。台湾でスマホ使えないとマジ詰みます。バスの路線も時間も分からない。トラブルあってもGoogleMapかGoogle翻訳さえあれば何とかなる。たまにGoogle先生に嵌められるけど。安くあげたいなら台北空港に着いた途端にSIMカード買ってください。SIM差し替えれば3日ネット使い放題で1200円とかなので、何千円も払って日本で何とかWiFiとか借りて弁当箱みたいにかさばるWiFiルーター持ち歩く意味わからない。
日本にいる時にキャリアのHPでSIMフリー化しとけば空港のSIM売り場でiPhone渡すとお店の人が全部セットしてくれる。台北から台中までの新幹線のチケット買ったらオマケで5日分のネット使い放題のSIMついてきた。もう3日分買っちゃったっての。SIM差し替えると電話番号は台湾のものになってしまうけれど、最近みんな電話もLINEとかでしょ?最悪日本出る時に携帯の留守電メッセージに用事あればLINEしてくれって吹き込んでおけば無問題。

GoogleMapで経路探索してあれば自分の乗ったバスの位置が把握できるので、乗り過ごしたかも疑惑を抱えながらバスの中で気持ちがざわざわすることもないのでオススメ。バス停着いてから歩く道も心配いらない。

諸パイセン方のブログで目印になっているセブンイレブンを通らない行き方をGoogle先生が推してくるのでそちらを採用しよう、と思ったら同じバス停で降りた20代後半ぐらいに見えるカップルも同じ方向に行く。よく見ると彼女の方はポートシャーロットのTシャツ着ている。彼氏の方もダンピーボトルがデザインされたTシャツ。「蒸溜所に行くんでしょ?」というと「何でわかるの?」と聞かれたから「いやそのカッコだとわかるでしょ」というと笑っていた。

どこから来たの?と聞くと香港からとのこと。アイラに直近行き、タスマニア余市、駒ケ岳にも行ったことがあるというので相当重症な人たちだった。田舎道を3人でテケテケ歩きながらウイスキーの話をする。初対面の異国人とでも共通の趣味があると話題が弾むなあ、と思いながら田舎道を歩くが、抜けるような青空の陽射しがきつくて短パンTシャツでも汗をかく。
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ほんとに暑いねえ、と3人で話しながらようやく蒸留所にたどり着く。人気がなくて物音もせず、車もあまり通らずとても静か。
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人が本当にいないのでどこに行けば見学できるかわからないけれど、よく見たらOmar Whiskyと書かれた看板を発見。とりあえず3人でゆるゆるとそちらに移動。

扉を開けると試飲コーナーが。

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本当は事前にメールで予約を取らないと蒸留所の中を見学できないとのこと。だが香港人が中国語でカウンターの中にいる社員の人に「ツアーやってくれませんか?」と交渉してくれる。台湾の人と香港の人は言葉の壁がなくてうらやましい。

香港人のプッシュのおかげで我々3人と試飲コーナーにいたちびっこ連れの若い台湾人夫婦の計6人でプチ蒸留所見学プライベートツアーを急遽やってもらえることになった。私一人だったら多分無理だったのでめちゃくちゃついている。

黒い革ジャン着た陳さんが広東語と英語の両方で説明してくれる。私も理解できてありがたい。蒸留所見学の中身は先のブログ記事を見ていただきたいが、陳さんはすごく親切で蒸留所に関する質問にもできる限り答えてくれ、30分ほどの見学の後の試飲の間もそれぞれのボトルを解説してくれ、台北のおススメのバーも教えてくれた。連絡先も交換。どんだけ親切なんだよ。
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そもそも本来なら試飲しかできなかったかもしれないのに、急遽見学ツアーやってもらって解説付きで試飲させてもらったりとめちゃくちゃよくしてもらったので流石に手ぶらで帰るつもりもなく、バーボン樽熟成のシングルカスクカスクストレングス、4年11カ月熟成のボトルを購入。

f:id:KodomoGinko:20191226231326j:image私がレジでお金払う時に、バス停から一緒だった香港人が「マジかー」って言うのでびっくり。どうしたのかと思ったらマネークリップに挟んだ私の社員証が見えて、実は私と彼が同じ会社に勤めていることが判明。彼、コナンは香港オフィス勤務。

こんな偶然ってあるんだねーと二人で驚きながら、会社の携帯でメルアド交換。東京にまた来ることがあれば私の好きなバーに何軒か連れて行くよ、と約束する。

試飲も結構な量を注いでもらえるのでそこそこ酔いが回りつつ、そろそろ辺鄙なところにある蒸留所からどう帰ろうか頭を悩ませ始める。

案内してくれた陳さんが「車でどこか帰るのに便利なところまで連れて行きますよ」と言ってくれる。本当に親切で申し訳なくなる。だがコナンの友達が2時に迎えに来てくれ、コナンと彼女は友達と晩ご飯食べるけれど私を南投のバスターミナルで落としてくれると言う。台中で買ったウイスキー2本とオマーウイスキー1本、計3本をリュックに背負って40分歩かなければいけなかったので本当にありがたかった。

迎えの車が来るまであと30分ほど。試飲している間に後ろで社員の人がずっとティスティングしているのでプレンダーなのか聞いたら、「ブレンダーじゃないけどカスクを売るので樽ごとのティスティングノートを作っている」とのこと。
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5年熟成のバーボン樽5つのコメント書いているのを横で見ていたら、「ここのボトル勝手に飲んで大丈夫だよ」と笑って言ってくれる。「本当?」と聞くと「全然問題ない」といわれたので、飲み比べをさせてもらう。シスターカスクで大きく味が違わないものもあれば、「あ、これは違う」というものもある。あまり違いがないものも違いを書かなければいけない仕事は大変だろうな、好きに飲んでいる我々とは全然違う世界なんだろうな、と想像しながら仕事の邪魔にならないように横でちびちびウイスキーをいただく。

そのテイスティングしている若いお兄さんが立ち上がってシェリー樽とヴァージンオーク樽熟成のボトルを7本持ってきてくれる。どうしたのかと思ったら「好きなのどれでも勝手に飲んでいいよ」、だって。全然テイスティングに関係ないのに。どんなにラッキーなんだ俺。
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ちなみに中国語でシェリー樽は雪莉桶、バーボン樽は波本桶と書く。
お言葉に甘えて何本かいただくが流石に全部飲んだら酔いつぶれてしまいそうだったので少し遠慮した。

まだ2時なのに結構酔っ払い、無事コナンの友達に送ってもらって南投のバスターミナルで降ろしてもらい再会を誓い、遅い昼食を食べながら台北行きの高速バスを待つ。

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結構渋滞していて南投から台北まで3時間以上かかった。

ホテルにチェックインを済ませ、軽く食事をした後で蒸留所の陳さんが勧めてくれた台北のMOD Public Barで飲む。六本木にありそうなかっこいいバーで、客層もイケてる男女ばかり。山崎25年も含めハイエンドなボトルがバックバーに並ぶ。私はここでオマーのブラック・クイーンワイン樽フィニッシュをいただいた。バーテンダーのJintはウイスキーの知識も豊富だがカクテルを作る手さばきも美しく、エスプレッソマティーニ作ってもらって飲んだらとてもおいしかった。ここでもすごく良くしてもらえて本当にありがたい。

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お勘定をもらい、「Merry Christmas and Happy New Year!」と言って店を出た。

それからまたテクテク歩いてThe Malt、麦村へ。

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相変わらずの品ぞろえで価格も良心的。閉店間際までゆっくりとした時間を過ごした。
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この日のことを思い返すと、親切なバス会社のお姉さんのおかげで乗れたバスにたまたまコナンとコナンのガールフレンドと乗り合わせたおかげで本来できなかったはずの蒸留所見学ができ、想定外の試飲も含めて3時間近く掛けて蒸留所を満喫することができた。一人で来ていたら「事前申し込みがないと見学できません」と言われて諦めて数杯試飲するだけで蒸留所を後にしていたと思う。そして台北の素敵なバーで日本とゆかりの深いウイスキーを飲むこともできなかっただろうし、美味しいカクテルを飲むこともなかっただろう。

本当に人の好意や思いがけない偶然に支えられた1日だった。一足早いクリスマスプレゼントをいただいた気がした。いろんな人に支えられ、幸運にも恵まれて今の自分があることに改めて思いを馳せた。

 

 

 

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