東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

カバラン蒸留所見学

台北の宿から一番近い駅、科技大樓のすぐ隣にあるバスの待合所でお金払って、高速バスでカバラン蒸留所のある宜蘭(イーラン)に向かう。クッションが肉厚で大ぶりな座席に収まると、自分がまるで肉まんの皮に包まれた餡になった気がする。いい感じの揺れが気持ちよくてうとうとしているうちに着いてしまう、1時間弱の旅。

宜蘭の雰囲気は日本の田舎の県庁所在地の次の次に大きな街、みたいな感じ。そんな街のJR駅の裏にありそうなぶっきらぼうなバスターミナルで下車、そこからタクシーで20分ほどでカバラン蒸留所に到着。タクシーの中でまたうとうとし、ふと目を開けたら自分が群馬の田舎にでもいるのかと一瞬混乱した。なんだか懐かしい景色が広がる。

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カバラン蒸留所は電子部品を作っています、と言われてもあまり違和感ないぐらい近代的でハイテク、「工場感」が漂う。日曜日に行ったせいでガランとしている。タクシーで来ているのが我々ぐらいで、バスのツアー客、その他の人たちは自家用車。帰りはちゃんとタクシー拾えるだろうか、という不安は後程的中してしまう。

まずはこちらの製造棟を見学。

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見学コースも効率的、ガイドは特におらず工場の真ん中にある通路からガラス越しに糖化や蒸留工程を眺め、説明文を自分で読む、という淡々としたもの。

ちなみに日本語の説明はない。
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グレンリベットなどメジャーな蒸留所で使われているForsythsの蒸留器が使われている。

樽の貯蔵庫まで来るとようやくウイスキーの香りがする。樽を立てたまま熟成するというのは知らなかった。

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あっさりとした工場見学が20分程度で終わり、無料の試飲。iPhoneの性能のせいで明るく写っているが実際はもっと暗く、ちょっと安っぽい電飾が光る。
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カバランのスタンダード、久々に飲んだがこれはこれで旨い。

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普通にお金払って最近出たソリストの青いやつとか飲みたかったのでショップの人に聞いたら、「1時まで待てばいろんな種類の有料試飲もできる」とのことだが、1時間半以上も先なのであきらめる。せっかくの機会だから有料で色々試せたらよかったのに、残念。

蒸溜所限定のボトルも特になく、それであれば免税店で買えばいいか、と思い結局グラスを2個だけ購入。
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そういえばウイスキーブレンド体験ができると誰かが言っていたけれど、どうすればよかったのだろう。事前の申し込みが必要だったのかもしれない。いつも出たとこ勝負だと、そういうところがうまくいかない。

はっきり言ってしまおう。日曜日に来たせいで誰も働いていなかったせいもあるのかもしれないし、ブレンド体験を事前に申込んでおけば違った印象になったかもしれないけれど、申し訳ないがここの蒸留所の見学はつまらなかった。どういう人たちがどういうこだわりのもとにウイスキー造りをしているのか、といった哲学的なものを感じ取るのがかなり難しいのだ(一応英語の説明は一通り読んで言っているつもりだ)。アイラ島やニッカで感じたような職人魂が伝わってこない。歴史が浅いので仕方がないかもしれないが。私はカバランのウイスキーそのものについては評価しているので、念のため。

買い物を終えてさあ宜蘭の街まで帰ろう、と思ってタクシーを探そうとするものの、街からクルマで20分ほど、さらに立派な蒸留所のゲートから2分ぐらいかかるビジターセンターに流しで来るタクシーはいない。駐車場に止まっているイエローキャブのおじさんに乗せてくれと言ってみるものの、首を横に振られる。誰かがタクシーで来て、待ってもらっているのだろう。困ったな、小雨も降ってくるし。

さっき声を掛けたおじさんが、タクシーの中を掃除しながら客の帰りを待っている。おじさんに、英語で「タクシー一台呼んでもらえませんか」とお願いしてみる。英語が全然通じず、おじさんの喋る台湾語もわからないけれど、おじさんは分かった、という顔をして携帯電話で電話してくれる。そしてタクシーの番号らしき数字を書いた紙を私にくれ、ちょっと待っていろ、と言っているのが何故だかわかる。シェイシェイ。おじさんは笑う。

台湾の人は、と一括りにしていいのかわからないけれど、少なくとも私が出会った台湾の人たちはみんな優しかった。旅行の下調べでウェブを見ていたら「台湾のタクシーでぼられないために」みたいなページをいくつも見たけれど、帰りのタクシーの運転手さんも親切だし、台北でも嫌な思いをすることは一度もなかった。

謎めいた宜蘭駅。面白い。
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日曜の昼下がりの駅前の公園でやっていた蚤の市を見て、少し歩いて寂れたデパートの前を通り、みんな生活に疲れた感じで働いている家族経営と思しきお店でぼんやりした味のラーメン的なものを食べる。
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不味くもないし、うまくもない不思議な食べ物。

街には人がいるけれど、日曜日のせいか寂しさが目立った。

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屋台のおじさんも暇で寝てしまっている。
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街なかの公園で見かけた注意書き。
「この辺りではよく野犬が出ます、エサをやったりせず注意してください」ってことか、と書いてあることを自分が100%理解できたのに自分で驚く。凄くのんびりしている街なので、獰猛な野犬がいたらとても場違いに感じるだろう。

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駅裏のバスターミナルに行く途中に大きな踏切があって、つい電車の写真を撮りたくなった。茅ケ崎に住んでいた小学生の頃、東海道線を走るブルートレインや踊り子号の写真を小さなカメラでよく撮ったことを思い出した。 

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宜蘭の街を歩いて既視感を覚えたのは、うっすらと記憶に残る昭和50年代の日本とどこか似ていたからかもしれない。


 

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