東京ウイスキー奇譚

こだわりが強すぎて生きていきづらい40代男性の酒と趣味への逃避の記録

ウイスキーの聖地アイラ島訪問の詳細は以下のリンクから。
訪問記 アイラ島 初日 2日目 3日目
蒸留所写真  Ardbeg1 Ardbeg2 Laphroaig1 Laphroaig2 Bowmore
アイラ島写真 
アイラ島への旅行についてのアドバイス エディンバラ2日目  グラスゴー

  

美味い鰻と素晴らしく硫黄臭い温泉と日本酒「仙禽」が揃った栃木は凄い

今回は珍しく日本酒のことを書いてみようと思う。

春分の日は生憎朝から冷たい雨。久しぶりに家でゆっくり過ごすか、と思ったのだが、このところ体の疲れが抜けないこともあり、雨でも問題ない日帰り温泉、それもスーパー銭湯のようなところではなくガチの温泉に行きたくなった。大好きな那須高原の鹿の湯、と言いたいところだが、山沿いは積雪もあり得るとのことだったので、鹿の湯同等の硫黄の強さを誇る喜連川の早乙女温泉をチョイス。だが実はそれだけではなく、大好きな鰻を食べ、栃木の名酒「仙禽」の酒蔵を見て酒を仕入れるという隠れミッションつき。

雨なので交通量が少ないかと思ったが、首都高山手トンネルから東北道に出ると渋滞ではないがそれなりの車の量。栃木インターの先から北関東自動車道に入ると12時前で、鰻が焼きあがるまでの時間を考えると温泉より先にランチを食べたほうがいい、という結論に達し前から気になっていた宇都宮市の北にある「和食 たにぐち」さんへ。上三川インターを降りたぐらいから雨がみぞれに、そして雪に変わる。

インターから15分ほど、目指したお店はそこにあった。店構えも凛としていて、いい予感がする。

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小上がりに通され、家人たちは鰻重の並を、私は上を注文。並は鰻一串、上は一串半だそうだ。後で分かったのだが上は味噌汁の代わりに肝吸い付き。
昼のニュースで関東地方でも大雪、と言っているのが聞こえてくる。窓の外は湿度の高い雪がかなり強め。私の車はサマータイヤなので、下手したら帰れなくなるリスクも考えておかないと、と考えながら焼き上がりを待つ。
30分ほどして出てきたのがこちら。

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柔らかく蒸し上がっているが焼きで香ばしさもしっかりついていて上品な鰻。一粒一粒がしっかり自己主張するお米でべたべたしておらず私の好きなタイプ。タレは少し辛目、若干かかり過ぎていたのが残念だったが、期待以上に美味しかった。

外に出ると雪は強いが路面がそれまでの雨でかなり濡れているので積雪にはならないだろうと判断、第二の目的地、喜連川早乙女温泉へ。「和食 たにぐち」さんからは車で15分ぐらい。

雪の降る中、かわいい猫が玄関でお出迎え。そそくさと受付を済ませて男湯へ。風呂の扉を開けると、予想外の半露天で寒い!急いで大量に掛け湯をし、白濁とエメラルドグリーンの中間のような湯に浸かる。

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外気の冷たさでお湯が絶妙の温度、ずっと入っていられる。硫黄と石油の匂いが入り交じった独特な柔らかなお湯。色が夜になると乳白色に変わるらしい。カランや機械がすぐにだめになるぐらい硫黄が強い、とのことだったのでさぞかしpH低いかと思いきや7.4とほぼ中性。鹿の湯のpH3弱とは大違い。でもしみじみと肌あたりのいいお湯で、ストレッチしながら50分ぐらい浸かっていられた。身体がポカポカ。そして身体拭いても硫黄と石油の匂いがいつまでも取れない。最悪着られなくなってもいい服を着て行って大正解、だって脱いでも服に着いた匂いが取れないんだよ。それぐらいのお湯ってことでもある。こちらのブログで早乙女温泉教えていただきました、ありがとうございます!情報の海で溺れてしまう世の中、こうやって情報を取捨選択してもらえると本当にありがたい。

takachi.hatenablog.jp


そして硫黄の匂いを引き連れながら、祝日で閉まっているだろうと思いつつ駄目もとで仙禽へ。以前ランニングで北千住に行き銭湯「梅の湯」に入った後、目の前にある居酒屋「やすらぎ」で飲ませてもらった立春朝搾りの仙禽の酸味と甘みのバランスが途轍もなく旨くて忘れられず、さくら市に行くことがあったら必ず酒蔵に寄ってみようと心に決めていたのだ。

何でこの辺りには花崗岩を使った蔵がたくさんあるのだろう。米が沢山取れてみんな豊かだったということだろうか。仙禽も花崗岩造りの建物。仙人に仕える鳥、という由来だが、看板からして超カッコいい。

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中を覗いてみるものの人影はなく、直売所のようなものも残念ながらなかった。だがイメージ通りの酒蔵だったのでそれが確かめられてよかった。すぐ近くの酒屋に行き、モダン仙禽雄町の4合瓶を買い求める。

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酒の仕込みに使う水と田んぼの水が同じようにするドメーヌ化を行っているという。私の大好きなブルゴーニュのワインを思い起こさせる。口に含むとまず甘みが広がるとともにアルコール分が立ち上がるのだが、柔らかな酸味がアルコールの角を削って落ち着かせる感じ。その後旨みが押し寄せてくるのだが、全然重くなく飲み疲れしない。ムルソーと比べても負けない日本酒が、2000円でお釣りがくるというのはすごいことだ。フランスのワインと比べてどうこうというのも少し失礼なほどの独特の旨さと主張がある。いつもスコッチウイスキーばかり飲んでいるけれど、実は灯台下暗しなのではないかという気が猛然としてきている。

家人からはまたバイクに乗って仙禽買いに宇都宮の先まで行って来い、と煽られている。先入観なく色々試してみるのも本当に面白い。素晴らしい鰻と素晴らしい温泉と素晴らしい酒が揃う栃木は凄い。またこの3点セットで訪れたい。

 

 

 

 

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八景島と横須賀

バイクで金沢八景野島公園まで行ってみた。海の横にあることもありずっと「やちょうこうえん」だと思っていたが実は「のじまこうえん」だったことを知り、軽く衝撃を受けた。

四半世紀ほど前、親が転勤で大阪から東京に戻ることになりどこに住むか検討していた時、「横網」というところが候補に挙がっていた。相撲大好きな私は「国技館も近いし『よこづな』なんて最高」と舞い上がっていたが、その後「よこあみ」だったことが判明してテンションだだ下がりだったことを思い出す。

野鳥公園ならぬ野島公園に何の用があったのかというと、こちらのブログ読んでいたら金沢八景の忠彦丸本店の生海苔がこの時期旬で超美味い、と書かれていて(記事のかなり下の方です)居ても立っても居られなくなり、というのは大げさだが早速買って食べたくなったのだ。本当は時間があればYokosuka軍港めぐりを体験したかったのだが、家庭の事情で3時間一本勝負。都心から片道50㎞ほどなのでほとんどピンポンダッシュかタッチアンドゴーのような状態。

車だと何でもないのだが、バイクだとベイブリッジ渡る時は下の見えない中央寄りの車線走らないと怖い。高所恐怖症気味なので。磯子から三渓園、幸浦までは空いているうえ超高速コーナーの連続で、車で走る数倍気持ちいい。幸浦で高速降りて少し走ると野島公園

忠彦丸はすぐに見つかり、色々試食させていただいた上、生海苔、海苔の佃煮と焼き海苔のはねを仕入れる。とても親切なお店の女性に「どこで食事したらいいですか?」と伺ったら「アナゴの天丼ならカリビアンさん、お刺身なら八景島のシーサイドスパの中のレストラン」とのこと。ネーミングと料理のギャップが激しいカリビアンさんに行ってみることに。

野島公園駅目の前の交差点のビルの2階にあるスナックの居ぬきみたいな店に入ると、ちょうどオリンピックの男子スケートフリーの演技が行われているところだった。壁を見るとやはり、「あなご天丼のカリビアン」と書いてある。それもネオンサインで。 

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「あなご天丼のカリビアン」級の破壊力を持つネーミングは他にないかと知恵を絞ったが「おふくろの味 ニューヨークグリル」「本格中華料理 タージマハール」「元祖もんじゃ焼きの店 道頓堀」ぐらいのパンチの効かないやつしか思いつかない。夜は「あなご天丼のカリビアン」ってネオンサインが光って駅から見えるんだよ、インパクトすごくない?カリビアン恐るべし。

そして羽生結弦選手の金メダル演技が後半に差し掛かるときにやってきたのがこちらの野菜の天ぷら盛り合わせ入りアナゴ天丼、880円也。想像以上にでかい。

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見た目よりも意外とあっさり食べられる気がして、また時間もあまりなかったのでさくっと完食。穴子の量が少ないので穴子好きは穴子天丼を頼んだほうがよろしいかも。「あっさりしている」というのはやはり勘違いに過ぎず、中年というか初老男性の胃にはダメージ大、著しく食欲減退。晩御飯は鴨鍋にしようと合鴨肉を築地の宮川食鳥鶏卵店で1㎏近くも買ってしまったことを思い出して激しく後悔。だが高級食材を無駄にするわけにもいかず、意地っ張りなうえに食い意地も張っているので胸やけしながらも完食したよ鴨鍋。

宮川食鳥鶏卵店では鴨鍋用に切ってください、というとちょうどいい厚さに切ってくれるのでありがたい。ちょっと脂身残してもらって焼きつけたほうが上品な脂が出てよりよかったかも。家族3人では合鴨肉1枚だと物足りず2枚だと微妙に多い。でも相変わらずうまい。

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そして若干の残尿感的なものがあったので(加齢とは関係ない)2週間後家族とともに八景島に再訪、その前に念願のYokosuka軍港巡りにチャレンジ。戦艦三笠は見たことあったのだが、横須賀軍港は初めて。

アクアラインの渋滞が湾岸線までつながっていて予約した10時のクルーズの時間に間に合わないかと思いドキドキしたが何とかなった。横須賀インターから本町山中有料道路にでてしばらく走るとショッピングセンターが見えてきて、そこからすぐ船に乗れる。

出航するといきなりディーゼル潜水艦が見えてテンション上がる。船の上から兵隊さんが帽子を振ってくれる。

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iPhone Xで撮った動画がこちら。結構近くで見られるのが分かるかと思う。


横須賀軍港めぐり 掃海母艦うらが、試験艦あすか

原子力空母ロナルド・レーガンも入港中。保安上の理由でそもそも陸地から軍港を一望できるところはほとんどないが、その中でも一番奥まったところで作業中。ひたすらでかい。

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天気も良く、沢山船も見られて小一時間ほどのクルーズは想像以上に楽しく、「なんで土曜日なのに早起きして出掛けるのよ」とやや機嫌の悪かった家人も満足した模様。軍港巡りのボートは右舷に乗らないと船が見えにくいのでご注意あれ。

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その後はヴェルニー記念館を冷やかし、どぶ板通りを歩いてハニービーでハンバーガー食べる。米軍横須賀基地のど真ん前、ほぼアメリカのダイナー。

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割としっかりした肉の感触が残るパティで、超旨いわけではないけれどアメリカの田舎町で食べたハンバーガーを思い出す。開店とほぼ同時に入ったが、食べ終わって店を出ると長蛇の列ができていた。「横須賀市民の方ですか?」と聞かれたがそうだと答えると何かいいことがあるのだろうか。(多分観光客と地元の人で値段がこっそり違うのだと思う)

そして16号線を北上し、改めて忠彦丸の海苔を買いに行く。娘は先日買ってきた生海苔の佃煮がえらく気に入ってすぐ食べてしまったので追加購入。大人にはわさび入りの佃煮がお勧め。そしてあおさ入りの焼き海苔も。家で手巻き寿司作るときにいい海苔を使うと美味しさが全く違う。試してみてください。

じゃあ帰ろうか、と幸浦に向かっていたら、小柴漁港の入り口に大漁旗が掲げられている。何か買えるかも、と思って車で入ってみると、ちょっとしたイベントをやっていた。小柴といえば江戸前のシャコ、というイメージだったのだが今はもう取れなくなってしまい、ホタテの養殖とアナゴ漁、海苔の栽培がメインのようだ。

f:id:KodomoGinko:20180310102508j:plain棒の先に糸を垂らしてクリップを付けたものをホタテ貝の隙間に突っ込んだらパクっとくわえて離さないのを引っ張り上げる、というちびっ子向けホタテ釣りをやっていて、娘はそれでホタテを1個確保。大人は1個250円のホタテを買い、その場で炭焼きにしていただいた。歯ごたえがしっかりして甘く、上品な旨みが凝縮されていて味付けなしで全く問題なし。次回はアナゴを買って家の七輪で白焼きにしておろしたてのワサビで食べたい。想像するだけでも幸せになる。

帰宅して生鮮食料品の充実した近所のスーパーで刺身買ってきて、忠彦丸の焼き海苔使って手巻き寿司。イカは醤油ではなく、大葉をしいて生海苔の佃煮とわさびを乗せて食べると旨い。横須賀は都心から1時間ほど、やはり軍事施設があるところは厚木にしろ横須賀にしろ交通の便がいいのでありがたい。近場なのに様々楽しめるのでおススメします。

 

 

 

 

 

 

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 f:id:KodomoGinko:20180310112723p:plain金沢八景 忠彦丸海苔|神奈川県横浜市金沢区野島|野島名産海苔 養殖/製造/直売/販売

サービスに対する正当な対価について

近くの駅前にある書店が閉店になった。40年の歴史があったのだという。ベストセラーと雑誌と漫画しか置かないしょうもない店が多い中で、面白い人文書や歴史書などを置いていて、立ち寄るとこれまでそのテーマに興味を持ったことのない本が平積みにされているのを見てなぜかつい手が伸びる、というような不思議な気づきと出会いを生んでくれる店だった。大きな本屋でも全くセレンディピティ、偶然の出会いを感じさせない店もあるので、在庫の多寡にかかわらず何か目に見えない導きを生み出すことができる空間だったと思う。

NHKも取り上げた話なのでご存知の方も多いと思うが、ウェブを見ると「言うのも恥ずかしいぐらいの給料」で経営していた、と書いてあったのを読んで改めて小さな衝撃を受けた。

本屋のおじさんも「店を畳んでは地元の皆さんに申し訳ない、本屋をやっているのはお金儲けだけ考えてのことではない」と思って歯を食いしばって頑張っていた部分もあったと思う。けれど、そのようなほとんど目に触れることのない日常的な地元への貢献は、閉店という非連続的な突然の出来事によってしか人の意識に上ることはない。残念なことだが、現実はそうなっている。私だってあの本屋の丸眼鏡のご主人が「正直人に言うのも恥ずかしい給料しか取っていなかった」ことなんて全く思いも及ばなかった。それを聞くと自分勝手に「いい本屋だったのに」とか「街から本屋がなくなるのは残念だ」なんてさらに言えなくなった。

このお店があることに感謝しています、という気持ちをいくら伝えたところで、本屋のおじさんが老後を心配しなくていいぐらい儲かったりはしない。私がAmazonで本を買うことを止めて街の本屋に多くの本を発注するようにすれば店が潰れずに残ったのかというとそれも現実的ではないだろう。だから仕方のないことだったのかもしれない。街のレコード屋も八百屋も魚屋もどんどんなくなっているのだし、それも時代の流れなのだ、と片づけてしまうのは簡単だ。だけどなぜだかわからないが簡単に片づけてしまっていいのだろうか、とずっと引っかかるので、いろいろ考える。

本は定価販売されているので、様々工夫している店の方がその他大勢の店よりも経済的に報われる仕組みはあまりない。売り上げ全体が変わるかもしれないが、例えば同じものを三越で買うと3000円払うけどドンキでなら1500円しか払わない、というようなドラスティックな違いは生まれない。良質なサービスはタダでも受けられる、というままだとサービス業の人の生産性は絶対上がらないだろう。だとすると日本にチップという習慣ができれば、あるいは心付けという一度廃れた習慣を復活させられれば、幸福書房のような事態、すなわち他の店と差異化を図る努力があまり報われない状況、を避ける手段なのかもしれないと薄ぼんやりと思う。なぜ薄ぼんやりなのかというと、そのような習慣をどうやって浸透あるいは復活させればいいか思いつかないからだ。

ちなみにアメリカに行くとスターバックスだろうが本屋だろうがレジの横にチップを入れる箱を置いているのは珍しくない。またバーテンダーやヘアサロンのスタッフなどは給料は安い代わりにチップが手取りの半分以上を占めているようなケースも少なくない。いいサービスをしている人、付加価値を付ける人が経済的にも報われる、というシステムになっている。

学校の先生にせよ、介護施設のスタッフにせよ、看護師にせよ、あるいはバーテンダーもそうかもしれないが、幸福書房の店主のように「誰かのために私が頑張らないと」という個々の責任感を搾取されている状況がいろんなところで起きている気がする。

そしてそれは「日本人なら当たり前」的な直接的でない心理的強制が生んでいる気がする。それは以前も触れたPeer Pressureの違った形かもしれない。オリンピックが近づくにつれ、「日本人なんだからおもてなしして当たり前でしょ、見返り求めるなんて」みたいなサービス業に従事する人たちの責任感を搾取する謎のプレッシャーが強まらないといいな、と思う。

islaywhiskey.hatenablog.com

最近渋谷のバーでこんなの飲んだ。バー11さん、という行ったことない向けのIchiro's Malt。池袋、だからフクロウなのか。2011年12月蒸留の6年ものだから、去年の祭ボトルと結構近いものだと思われる。

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このボウモア9年シェリカスクマチュアード、強くお勧めします。わざわざ個人輸入までして手に入れたのですが、今また結構な本数が日本に入ってきているようです。 


 

 

islaywhiskey.hatenablog.com

 

オチのない最近の飲み食いの記録 2018年2月

築地場内 山はら

会社の同僚が、「このブログ読んでみてくださいよ、行きたくなりません?この店」とメールを送ってきた。久しぶりに読んだよこんなに前のめりなブログ。

barzam154.hatenablog.com

でも読んだ後、築地が移転してしまう前に一度は行っておかないと、と猛然と思い、越乃寒梅の大吟醸、宮城峡、知多、ニッカカフェモルト等を持参の上で40年ぶりの寒気が東京を襲う中、築地場内を目指す。

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熱く語るのは避けるが、湯引いた鯛やマグロからしてすごい。 f:id:KodomoGinko:20180212003256j:imageそして焼いた鯛がまるっと一尾鍋に沈む。出汁をとるために。香ばしさがスープに染み出る。f:id:KodomoGinko:20180212003314j:image
アンコウがやってきた。土手鍋みたいにぐつぐつ煮るのではなく、しゃぶしゃぶっとして食べるのだ。

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そしてペーパータオルにくるまれたあん肝がやってくる。見るだけで足の親指の関節がうずく。

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鍋が完成。大人数で行かないと物凄いボリュームで最後まで美味しくいただけないので注意。最初に入れた鯛の身もほぐしながら食べる。そして〆の雑炊。正直ここまでたどり着くのは大変で、大食いの男性10人で鍋を二つ囲むぐらいがちょうどよい。

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豊洲に行くと今の値段では到底やっていかれないということで、移転までの営業、その後は店じまいだそう。行ってみたい方はお早めに。
ごちそうさまでした。

熱海網代 さつき鮨

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伊豆の実家にバイクでふらっと向かう途中、あ、そういえば網代の鮨屋で旨いところがあるとどこかに書いてあったな、と思い出し、立ち寄ってみた。
国道沿いから一本山側に入った道をちょっと曲がったところ。一度泊まってみたいと気になっている大成館という旅館の近く。

3連休の初日の午後1時半ごろだったのだが、暖簾をくぐると先客はなく貸切状態。ご主人に上にぎり一人前をお願いするとテンポよく握ってくださった。タネが少し薄めだが長いのが特徴。シャリも少し平たいのが珍しい。握ってもらったらすぐ食べるようにしているので写真は撮らずじまい。最初に中トロが出てきて少し驚く。赤身と〆たアジが気に入った。クラシックなお鮨。

バイクに戻るとなぜか左後ろのウインカーのカバーがなくなっていて電球がむき出しになっていた。どうしたんだろう。謎だ。

香取 いちご狩りと佐原 小堀屋本店のそば

そういやこの時期は毎年いちご狩りに行っている、というのをすっかり忘れていたのだが、Facebookが思い出させてくれた。

首都高に乗って東関道を佐原香取まで。都心からは1時間程度。水の郷さわら、という大きめの道の駅があるのだが、国道を挟んで反対側にあるのがいちご狩りができるさわらリバーファーム。比較的新しいので空いており、去年から我が家のいちご狩りはここ。

今年は例年より寒いこともあって、2月第一週の時点ではまだ少し早く、去年と比べて熟していないいちごが多かった。でもご覧のように大きいものもちゃんと見つかる。
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お腹いっぱいになるので、お昼ごはん食べずに行くのがお勧め。

その後、あみプレミアムアウトレットで家人の買い物に付き合い、また佐原に戻って小堀屋本店で軽くそばを食べる。昆布が練り込んである黒いそば。

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べらぼうに旨いわけではないが、雰囲気とのど越しがよく楽しめた。その向かいにある古本屋の老夫婦が一丁ずつ手焼きで焼いているたい焼きも旨いのでお勧め。

来年のための備忘録的に書いておくが、佐原の山田屋 別館という鰻屋が美味そうだ。鰻好きとしては一度行かざるを得ないだろう。

帰り道、クルマに積んできた家の中で使っていない家具やランプなどの電化製品を四街道のブックオフの家具版みたいなところで処分。粗大ごみで捨てるとお金がかかるのに、ほんのわずかな値段ではあるものの値付けしてくれて引き取ってもらえて助かった。断捨離できてクロゼットがすっきりしてよかった。

神田 三州屋f:id:KodomoGinko:20180212003637j:image

居酒屋放浪記でも登場する神田の老舗の居酒屋。いわしの煮つけが旨い。マラソンを走った後、グリコーゲンを使い果たしたせいかめっきり酒が弱くなり、焼酎のお湯割り2杯飲んだら酔いが回るようになってしまってあまり長時間楽しめない。刺身の盛り合わせも角がきりっと立っていて新鮮さがよくわかる。いつ行ってもにぎわっている、というのがよくわかる老舗だった。 

代々木公園 タラモア

安定のタラモア。ガストロパブ、という呼び名がいいと思う。食べ物がちゃんとしているパブ。スモークされたサバとともに先日家飲み用に大人買いして未開封だったTullibardine The Murrayを頂く。

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まだ若いからアルコールのアタックが若干強めだが、その奥にはファーストフィルバーボンバレルならではのフルーツ感と麦芽の甘さが感じられ、余韻もしっかりして楽しめた。これは我が家で口開けするが楽しみだ。3本まとめ買いして正解。

そして柔らかめのシェリー樽熟成を、と言ってゆかさんに出してもらったのがOld Pultney Pentland Skerries。綺麗なシェリー樽熟成で、好きな人は無限に飲めそうなぐらいスムース。

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リッターボトルでこのくらいのお値段だったら家飲みに最高ではなかろうか。

  

  

  


 

大阪にて:「最高にエロい」と称するガチャガチャにトライする勇者あらわる

久しぶりの大阪は私の知っている大阪よりも圧倒的に寒かった。日中の気温は3℃ぐらい、風がびうびう吹いていて氷点下の体感温度。間違ってコートを着ずに飛行機に乗ったので、あまりの寒さにかき氷を食べた時のような頭痛に襲われる。

昼飯は大阪名物お好み焼き定食。食べたかったミックスモダン焼きは時間がかかるというのでしょうがないなあ、と思いながら注文。おにぎりをおかずにご飯食べるみたいなもんだ、とかこれまで東京でネタにして茶化していたが、食べてみるとお好み焼きのソースと白いご飯が意外にマッチし、同行した同僚と少しうなった。
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いつもなら仕事の後は街をうろうろするところだが、あまりの寒さに元気をなくし、いつも拝見しているこちらのブログで紹介されているお店に行く。「民芸酒房 牧水」という法善寺横丁の近くにある店。

walking-gourmet.hateblo.jp

 

店に入ると「おかえりなさい」と迎えられる。スタッフの女性は皆さんお年を召していて、実家でオカンにつまみ作ってもらって食べさせてもらっているような気がしてくる。寒いときの定番、麦焼酎のお湯割りを頼み、少し悩んでいわしのきずし、カキフライを注文。きずし、ってなんだ?と思われる方もいるかもしれないが、関西では青身魚を酢で〆たものをきずしと呼ぶ。念のためだがお米はなくて刺身のみ、アクセントは「き」にはこないで「ず」にくるので東京の人が正しいと思うアクセントで注文しても一瞬???という顔をされると思う。東京の人が「木津市」というのを読む感じでアクセントつけるのが正解。3文字の言葉の大阪弁でのアクセントの置き方は難しい。そしてハタハタの唐揚げ。

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周りはやはり裕福な感じの帝塚山とかに住んでいそうな大阪のおじい様中心。そんな関西でいいものずっと食べてきている人たちの話すことを聞くともなく聞かなくともなくしているうちに身体も温まったので店を出る。

ふらふらと難波の近くの商店街を歩いていたら、道端にこんな謎の物体を発見。一回通り過ぎたが、あまりのインパクトに戻ってきて写真を撮った。こんなの東京にはないわ。




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「たった500円で人生最高のエロい笑顔が生まれます 悩んでないでレッツガチャ‼」って言われても。これが怪しい一角の怪しい店の前にあるならまだわかるが、東京でいうなら渋谷センター街の入り口のツタヤのちょっと先にある、ぐらいのロケーション。大阪ならでは。面白かったのでFacebookにアップしておいた。

そしたらなんと次の日に勇者があらわれた。私の大学時代の同級生、公認会計士事務所経営、から飛んできたメッセージ。

 

 

 

 

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流石に大阪在住の人からしてみても面白かったようだが「後学のため」という枕詞はこんな時に使うものではない気がする。1年以上無沙汰だったくせにここに食いついて連絡してくるとは…。いい友人を持ったものである。

 

 

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インパクト絶大のガチャガチャ、それをスーツ着た格好で一人でガチでやっているだけで結構周りはドン引きなはずだが、そのガチャの写真写真撮ってる時点でヘンタイだ。白鵬に負けた後にずっと土俵下で行司の軍配に抗議するふりして手を挙げたまま土俵に上がらないぐらいの真の勇者だ。何が彼をそこまで駆り立てたのかはよくわからない。


 

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東京ならこの写真を外で撮っているだけで通報されても文句言えないかもしれない。しかしこの写真だけだと今一つ史上最高のエロい笑顔がでるとはとても思われない。そもそもそんなもの500円で期待する時点で、50年弱生きてきた人生から何も学んでいないとそしられても文句は言えない。

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…。今度会った時に金渡そうと思っていたのだが残念なことこの上ない。しかし今度大阪で自分がやるには恥ずかしいけど興味津々、というときにはK会計事務所の所長がやってくれるということが分かった。自分で恥ずかしい思いして500円払って男物のパンツ出てきたらちょっと打ちのめされる、のでやはり私の友人は勇者だ。だがそこから意外な展開が。

 

 

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誰がガチャやったか、特定されたら恥ずかしいぐらいの羞恥心は残っていたようである。しかしやはりもう一度眺めてみると女性用かも。いくら新品とはいえ、女性用のパンツの写真を外で撮っているスーツ着た公認会計士の姿を想像してみたらさらに笑えた。大阪の懐の深さと友人のブレイブハートに改めて衝撃を覚えたせいでいつもと大分違う路線の記事になってしまってすみません。

 

islaywhiskey.hatenablog.com

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

好きなレストランを応援するということ

応援しているレストランがある。当たり前だが応援しているということは何らかの理由があるからなのだが、あまり真剣にそれについて考えてみたことがなかった。しかし今回とあるきっかけがあり、なぜ自分が応援したくなるのかを改めて考えてみた。

やはり一生懸命に美味しいものを作ろうとしていることが伝わってくると応援したくなる。もちろんすべてが口に合うとは限らないわけだし、現実問題として毎回ベストの一皿が出てくるとは限らない。例えば鮨だと魚の一番おいしいところは先ほどのお客さんに食べられてしまった、なんてことは普通にあり得る。野菜も肉も魚も、同じものは一つとしてなく、出汁の入り方も気温や湿度や素材の出来によって毎回変わってくる。でも一生懸命やっていらっしゃることを知っていれば、たまに少しのハズレがあってもまた来ようと思える。私が応援しているお店ではそうそう外れることはないが。

その延長線上で、来るたびに、とまでは言わないもののお邪魔すると新しい発見や驚きがある、というのも大事だ。いつも一定以上のクオリティの安定した味、というのは大歓迎だが、驚きがないと何度も来ようとは思わなくなってしまう。違う言い方をすると、常に進化し続けていて欲しい、ということになるのかもしれない。
生鮮食品の生産技術、流通や保存方法も日進月歩、昔と比べて食材の平均的なクオリティは間違いなく上がっている。だからそれに合わせて工夫ができる料理人と伝統に固執し続ける料理人ではどうしても差がついてきてしまうのでは、あるいは家で素人が料理するのとの差が埋まってしまうのでは、と思う。それだとそれなりのお金を出して、わざわざ何度も食べに出かける意味がないではないか。

心地よく食事できること、というのも重要だ。味だけではなくてそのレストランでの体験をもう一度味わいたいか、というのが再訪したいかどうかの分かれ道。どんなに美味しくても、寛げないと楽しくない。料理人から勝負を挑まれることは喧嘩上等、受けて立ちたいと思う気持ちもあるが、現実としてはせめて仕事じゃないときぐらいリラックスしたい。客に妙な緊張感を与える店もあるが、結果としてそういう店には味が良くても足が遠のいてしまう。それが店のせいではないときもある。例えばお店を紹介してくれた人が私にとって難しい人だったりすると、いつその方がその店に現れるかと思って寛げず、気が付いたらお店もお店の味も好きなのだが伺うのが億劫になってしまう、ということもある。
あとは自分の好みを覚えていただいている店はありがたい。私のためだけに仕入れをするわけではないのだろうが、「今日はYさんのお好きなホワイトアスパラガスのいいのがあったので仕入れておきました」などと言われたら当然居心地はいいし、また来ないわけにはいかないではないか。

気軽に何度も訪問できるぐらいバカ高くないことも大事。でも安ければいいというわけでもない。ちゃんとした材料を使って手間暇かけて作った料理を出していらっしゃるのだから、それなりの値段は取っていただいて構わない。利益率が低く、お店に儲けが出ないといろんな意味で疲弊してしまう。客筋も悪くなるし。変に雑誌やウェブで「値段の割に安い!」なんて取り上げられると一見の客が増えて予約も取れなくなって結果的に常連の足が遠のき、一過性のブームが去ると店の経営が安定しなくなる。だから、ちゃんとしたお店は高過ぎない、そして安過ぎることもないちゃんとした値段をとってもらいたい。

実は私にとってこれらの条件をすべて満たした店が2つある。一つは今流行りの奥渋、渋谷神山町交差点の近くにある鮨屋。10年以上お邪魔しているが、ここは紹介する人が皆驚くほどのクオリティの高い鮨が夜でも1万円ほど払えば食べられる。二年ほど前に、病院の待合で「おとなの週末」という雑誌の鮨特集を見ていたら、編集長が取材拒否された店、というコラムに書かれている鮨屋がまさにこの店としか思えなかったので大将に聞いてみたら、「一人でやっているから勘弁してくれ、って断ったんですよ」と言っていた。仕入れる魚もいいし、仕事も丁寧で、常連に愛されている店。一人でやっていらっしゃる上に場所柄もあり、周りのペースに合わせて注文ができる大人のお客さんのみ来てもらいたい。

そしてもう一軒が、こちらも渋谷だが青山寄りにあるステーキの店。かつてはお客さん全員分の塊肉を窯で焼いて、8時の焼き上がりとともにみんな一斉にメインを食べ始める、というスタイルだった店。今はいつお店に行っても大丈夫。ここのシェフの感覚の鋭さにはいつも驚かされる。例えば下の写真、宮崎の有田牛のステーキが美味いのは言うまでもないが、付け合わせのルッコラバルサミコとチーズのソースが秀逸。肉なしでこれだけ出てきたとしても問題のないクオリティ。酸味とパルミジャーノの塩味、甘みの均衡が取れていて、野菜のうまみを邪魔するどころか強く引き出す素晴らしいソースだった。
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窯で焼くスタイルなので食材の良しあしに大きく左右されるところがあり、素材に相当こだわっていることが分かるうえ、それをさらに引き出すための工夫が素晴らしく、いつ来ても驚きがある。こちらは鰤のかまと白子、ホワイトアスパラガス添え。ネギとアンチョビのソース掛け。
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今週この店に大阪の友達を連れて行った。東京で何か美味しいものを食べたいのでお店紹介して、という挑戦的なリクエストを受けたので。お店に入ると、フロアを取り仕切る(といってもそれほど大きい店ではないが)Yさんが素敵な笑顔で迎えてくださって、前回座ったカウンター席、お店で一番静かな席に通してくれる。私の好きなワインはメルローなことも、私がホワイトアスパラガスが好きなことも、ショートカットのとてもよく似合う彼女は全部覚えている。

7時から食事を始めて8時過ぎたころに、突然友人が「8時50分過ぎの山手線に乗らないと」と言い出す。てっきり今日は東京で一泊してから大阪に帰るのかと思っていたので油断していて、まだメインの肉料理が出てきていない。慌ててお店に伝えたら、全く動揺することなく「大丈夫です」と言ってくれる。ここでスタッフが浮足立ってしまうとこちらにも慌てる気持ちが共振してしまうのだが、全く動じずサービスが続いたことに舌を巻いた。

東京に不慣れな友人が新幹線の終電乗り過ごしても困るので、デザートの後渋谷の駅まで送り、バタバタさせてしまったことへのお詫びをしたかったのでお店に戻る。私の一杯のためだけにメルローのボトルを抜栓してくださったので流石にもう少し飲まないと申し訳なかった、ということもある(が、結果的にはチェックをすでに終えています、とのことでお代を受け取っていただくことができず、却って申し訳ないことをしてしまった)。

一人で飲んでいたら、気遣ってYさんがカウンターの横に来てくださったので、初めてゆっくりお話しできた。折角の機会だったので今日の料理もとても素晴らしくいろんな発見があったことをお伝えした。いつ来てもよくしてくださることにもお礼を言った。

そんな話をしていたら、彼女が「私、先週まで入院してまして」とおっしゃられたので心底驚いた。それも乳がんが見つかって、3週間ほど入院して切除されたそうだ。言われるまで全く気がつかなかった。食事中にサーブする自分に対して客に気を遣わせても、というプロ意識も当然あったのだろうが。
手術は上手く行き、転移も見つからず、無事に仕事に復帰でき、本当に何よりだと思った。彼女のいないお店は、ちょっと私には想像できない。そう思うと、なぜこの店に何度も来てしまうのか考えさせられた。それが先ほど挙げた、店を応援したくなるいくつかの理由だった。

お店を応援していることをこの機会に伝えられて良かった。娘にはお店で美味しい料理をいただいたら、ちゃんと美味しかったですといいなさい、と言っているのに、自分ができていたかといわれると疑問。違いが分からない客に対しても分け隔てなく一生懸命努力しサービスし続けられるほどハートの強い人はそんなにいないだろう。一生懸命料理を作ってくれる店が好きだ、と思うのであれば、「ちゃんとわかってますからねー」とカウンターのこちらからやはり強くフィードバックしてあげたほうが当然作っている方のやる気も出るだろうし、そういうお客さんが来たら頑張らないと、と思うのが真っ当なサービス業の人の矜持だろう。結果として、そういう客には一番の出来の皿が回ってきて、一番のサービスが受けられるはずだ。あくまでも結果として。あざとい意味でなく。

感謝の気持ちは、出来ればその場で相手に伝えたい方がいい。それはレストランであっても、バーであっても、家族であっても、友人であっても。頑張って自分の思いを相手に伝えているつもりでいても、感覚的には相手に2割ぐらい伝わっていたら上出来だろう。だから強く意識しないと、自分の思った通りの思いはなかなか伝わらない。そしてそれはお互いのためでもある。繰り返しになるが、あざとい意味ではなく。

次に仮に万が一がっかりしたことがあれば、それを上手く伝えられるような大人に私はなっているだろうか。そして良かれと思ってわたしの良くない点についてわざわざフィードバックをくれる人に感謝できるような大人になっているだろうか。そんなことを想い、少しだけ背筋が伸びた。Yさんにいつまでも元気でいてください、応援しています、と改めてメッセージを送っておいた。少しプライベートなことを含む内容なので、敢えてお店の名前を出してはいないが、機会があれば見つけて行ってみてください。

 

 

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酒飲みの考える「幸せな人生」の定義

酒を飲まない夜はなぜこんなに長いのだろう。いつもならアルコールの力を借りて昼間の緊張をほどいていくのだが、飲まないと自分の中のスイッチが入りっぱなし。田舎のコンビニか、と自嘲したくなる。周りが寝静まって真っ暗な夜更けに、ぽつんと一軒場違いにまばゆい光を放ち続ける田舎のコンビニ。

仕事の緊張を家に持ち帰りたくなく、帰宅前の少しの時間に気分転換をしたいのだが、飲まないとなると中々そんな場所は見つからない。唯一あるとするとジムぐらいだが、そもそも今回禁酒をしているのは週末のマラソンのため、レース前で運動も控えめにしておりジムにも行かれない。

場違いなテンションを下げるために仕方なく帰宅後読書したりウェブを眺めたりするのだが、何だか時間の流れがゆるやかだ。この手持ち無沙汰感はいったいなんだろう。そう考えてみてふと思った。これはもしかして定年退職後のサラリーマンが毎日感じるものと近しいのではないか。あくまでも想像にすぎないが。

そう思うと少し恐怖感を覚えた。仕事を離れて多くの人との関わりあいを失い、仮に金銭的には不自由なかったとしても自分が誰からも必要とされず時間を持て甘しながら緩やかに死を待つことを想像してみた。なかなかぞっとする。
そして手持無沙汰ついでに「幸せな人生とは何か」について考えてみた。

人との関わり合いであったり、金銭だったり、名誉だったりと幸せを象るものは沢山あり、その多寡で人を羨んだり思い煩ったりする人は多いが、そういったものを人生のどのタイミングで得るのがいいのか、という議論はあまり聞かない。

最近話題になったかつて一世を風靡した音楽プロデューサーのように、若いうちに自らの才能により人並み外れて成功して誰もが羨むような生活を送るものの、どこかで歯車が狂い超大金持ちから普通の金持ちに転落(?)した上、自分の才能の枯渇を毎日誰よりも強く思い知らされながら生きるというのは、彼の歩んだ道程をならして見ると圧倒的に幸福の総量は多いはずだが、「今幸せを感じているか」という意味では普通の人に大きく劣るかもしれない。それに似た最も分かりやすい例の一つは宝くじで大金を得た人だろう。一番幸せなのは当選した時点で、あとは右肩下がり。最初は散財して幸せを実感するものの冷静になるといつ金がなくなるかびくびくし、金があるうちには人は集まってくるがそのうち人は離れていく。おそらく幸せに人生を全うした人はそう多くないはず。

つまり、例えば人生の半ばで幸せのピークを迎えてそれがどんどん減っていく、という人生を送る人よりも、幸せの合計量は多くなくても右肩上がりに幸せを感じられる人生を歩む人の方が人生の幸福感は強いのではないか、と思う。
違う言い方をすると、幸せ(もしくは幸せを表象する富や周りの人たちや才能その他)の絶対量が重要なのではなく、かつての自分よりも今の自分の方が幸せと感じられるか、明日の自分の方が今の自分より幸せだと信じられるかどうか、という時間連続的、相対的な幸福感が一番重要なのかもしれない。

嘘だと思うなら、若いうちに大成功して100億円儲け、周りに人が急に増えてちやほやされたが、ほどなく99億円を失って周りの人たちが離れていきそのまま寂しい人生を送る人と、ゆっくりと時間をかけて1億円を稼ぎ、少ないながらも仲の良い友人に囲まれている人とどちらが強く幸せを感じられるのか想像してみればいい。細かな振幅はあっても緩やかな右肩上がりの人生が、急激な右肩上がりを経験した後ずっと坂を下り落ちて重力には逆らえないことを思い知らされながら終わる人生よりもいいに決まっている。

そう考えると今この国で生きている人たちが昔と比べて何となく幸せな感じがしないのも納得できる。そんな中で願わくば最期に近づいても損得抜きでの人との関わり合いがある人生を生きたいものだ、と思う。

こんなことを暇に任せてつらつらと考えた。

だが悲観する必要はないことに気が付いた。いつもの店に飲みに出かければ、そこにはいつもの人たちがいる。お金を払う側と受け取る側、という関係だけではない何かがそこにある。酒が入れば知らず知らずのうちに自分が身に着けていた鎧のようなものも自然と脱げる。バーのカウンターでは誰が偉いとか偉くないとか、金持ちか金持ちでないかとか、若いとか年を食っているとかは全く関係なく、好きな人が好きな酒を飲む。そして不思議な連帯感がそこにある。一人で飲みに来ても、あまり寂しくもない。

しばらく酒を止めてみて、飲まない人生は随分とつまらなくなりそうで、飲めるということは本当にありがたいことだと改めて想った。

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無駄は無駄ではないことを知る

ふと、WolfburnのBatch 128がいいのではないか、と思った。そもそもオフィシャルがまだ若いのに矢鱈と旨い。だから初期の限定ボトルとなるBatch 128を買っておき、10年後ぐらいに思い出して飲んでみたら凄いことになるのでは、と考えた。だが今飲まずに買って10年後に開けるのもちょっと違う。そう思い、どこの店に行ったら飲めるのだろうと悩む。

しばらく考えて、こういう時こそInstagramだ、#ウルフバーンでBatch 128の写真を見つけてそのバーに行けばいい、そう思いついた。池袋と浜田山のバーにありそうなことが分かった。こういう時こそSNSはありがたい。

池袋はたまに行くが、浜田山は通り過ぎたことしかない。だから行ってみた。Trackside Scotchpub。駅から歩いて3分、線路沿いの角を曲がったところにあった。

金曜日の夜だが先客はいない。カウンターに座ると目の前のバックバーにいきなり70年代オフィシャルのLinkwoodが2本。ある意味結構危険な店だ。お目当てのWolfburnは…あった、ありました。ハーフでいただく。

ちょっとまだ固くて角があるが、ウッディさが前に出すぎず上品な仕上がり。香りもビスケットのような水仙のような。膝を打って「これは旨い!」というところまではいかないが、十分旨い。

ここもオフィシャルのオールドボトルが沢山。先ほどの危険な店、というのはどれ頼んでいいかわからない人が自分の知っている銘柄見つけて指差して頼むと結構な年代のものだったりする、という意味で危険。だが全部高いわけでは全然なく、後から頼んだ私の大好きなGlen Elginの90年代オフィシャルボトルはハーフショットで900円とのこと。とてもスムースなバーボン樽熟成のお手本のような一本で、口開け直後にもかかわらずちゃんと開いてくれた。

そしてマイナー系が好きだ、という話をしたらGlenugieの80年代のボトルを出してくださった。飲んだことなかったよGlenugie。でもこれも私の好きな穀物感とクリーミーさがあり、その上にいいパフューミーさが加わっている一本。

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私の後に入ってきた女性のお客さんがカウンターのボトルを見て、「そのウイスキーなんて読むんですか?しらす?」とおっしゃったので笑いを噛み殺すのに一苦労。予想もしなかった質問だったので。「そんなことも知らないの」とかそういう意味でなくノーガードの脇腹に切れ味鋭いボディー決められたかのようにツボった。そんな裏技繰り出すの止めてほしい。マダムが「白州です」と平静にスルーした大人の対応にも感心。

中野Southparkの二方さんに勧められ、中野でベルギービールのお店をやっていらっしゃったのを浜田山でモルトバー始めることにした、とのこと。面白いお店が見つかってよかった。3杯ハーフで飲んで4野口でお釣りが来た。

じゃあWolfburnを発注するか、と思ったのだが、ウェブを眺めているうちにどうしてもArranのマスターディスティラーJames Mactaggart10周年記念ボトルとTullibardineのThe Murrayが気になって仕方なくなり、売れ行き見たらどちらもすぐ売り切れているところが多かったのでとりあえず3本ずつ発注。Batch 128はまさかの後回し。久しぶりのウイスキー大人買い、といってもちょっと前にブラックニッカ アロマティック箱買いしたばかりか。

週末クルマで出かけようとしていたところにいつも来てくれるクロネコのおじさんが我が家向けらしい段ボールを積んだ台車を押しているのを発見して引き取る。帰ってきて開けてみると、ArranもTullibardineも立派な箱入り、磁石で蓋が閉まる造りで驚いた。

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結局「試飲する前にボトル買うのはなんだかな」と思っていたところから、飲まずにとりあえず在庫のあるうちに買ってしまえ、となってしまいわざわざWolfburn目当てに浜田山まで行かなくてもよかったじゃん、何やってんだか、という展開。まあ嗜好品なのでそういう無駄があってもいいのでは、という適当な説明で自分を納得させた。浜田山のバーでGlenugieやElginに出会えたことを考えると無駄じゃなかったとも言える。

今度は自分が買ったボトルを飲める店をインスタで探さなければいけなくなった。改めて考えると、効率だけ求めるのなら、腕時計は中国製のデジタルウォッチでいいし、食器は100円ショップのものでいい。酒も安い酒で無駄な時間をかけず手っ取り早く酔っ払えばいい。むしろ酒なんか飲まなくてもいいかもしれない。だが私はそんな彩りのない人生を歩むほど生き急いではいない。

名古屋Bar Barns、津Bar Amberなど:オチのない年末年始の飲み食いの記録

名古屋にて

2017年のクリスマスディナーは名古屋の昭和の居酒屋で一人飲み。大須のその名も大須。絵に描いたような赤提灯。手羽先が旨い。狭い店だがアットホームでアウェイなのに変な緊張感を強いられないのがいい。

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少し歩くとBar Barnsがあるので行ってみた。階段を下りてドアを開けるまでと開けた後もいくつか客に対する注意書きのようなものがあって、ちょっと不安になった。客に対する注文の多い店は、オーナーバーテンダーの料簡が狭いか、客筋が悪いかで居心地の悪い可能性が高いので。だがそれは杞憂だった。

オーナーバーテンダーの平井さんをはじめスタッフが適度の距離感をとりつつも温かくもてなしてくれる。マイナー系の蒸留所が好きで、バーボン樽熟成の穀物感があってクリーミーウイスキーが一番の好み、というとバックバーから色々持ってきてくれた。Glenburgieの京都津之喜向けボトリングや、閉鎖蒸留所Glenlochyのボトル(最初はGlenlossieの間違いなんじゃないかと思った)、Croftengea(Inchmurrinと同じLoch Lomond蒸留所で作られているピートの強い銘柄)など珍しいものを沢山いただく。

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しかし大須亭で飲み過ぎたこともあり、テイスティングの記憶が飛んだ。帰りの新幹線で読書していたが寝落ちし、品川で降りる時に読み掛けの本を置き忘れてしまうという失態を犯す。そんなことは滅多にないのだが。ある意味いい感じで酔っ払った幸せなクリスマスだったのかもしれない。

神田にて

この冬はカキフライをたくさん食べた。神田のやまい、というとんかつの店のカキフライが途轍もなくいい。少ししっかりした衣の中にはカキが3粒ぐらい使われていて、それが一つのカキフライになっている。ここの特ロースにカキフライを二つつけてもらって食べるのが最高の贅沢の一つ。やまいちはとんかつだけでなくかつ丼でも有名だが、実はカキフライが美味いということは意外に知られていない。

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京都にて

年末になって2017年初めての京都。2泊3日だったが初日は東京からの運転疲れで引きこもり、2日目の晩に満を持して出動。東山東一条のイタリアンでの夕食後、家人たちを帰して四条寺町から一筋西を下ったところにあるBar Rocking Chairへ。カクテルが有名な店だが、ウイスキーも充実。一番奥のカウンター席に座ったのだがその奥の窓際のテーブル席で向き合ってロッキングチェアで揺れているカップルがいて、ちょっと羨ましい(女性連れの男性が、というわけではないので念の為)。
入口左には暖炉があり、その前にもロッキングチェアがあった気がする。ゆらゆらと揺れる炎を見ながら酒を飲むのは本当にくつろげて贅沢だ。前にも書いたが。
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Glenallachie、Glen Elgin、Glenrothesと頂き、せっかく京都に来たので季の美で何かいただけますか?と伺い、やはり日本の香草が溶け込んだジンを味わうのでしたら、とお勧めいただきマティーニを。薄白くもやがかかったような絶妙な色合いの一杯を頂き、そのまま幸せな気持ちで帰ればいいのに、烏丸今出川の天下一品に寄ってしまう。

今は北白川本店をはじめどの店もセントラルキッチンで作られたスープを使ってラーメンを供しているが、昔は少なくとも直営店では各々の店でスープを作っていて、私は今出川店の味が一番好きだった。改めて食べてみたけれどやはり他の店と同じ、今どきの味だった。しかし懐かしかった。

松阪・津にて

毎年恒例のお伊勢参りの途中で必ず寄りたいバーがある。津のBar Ambar。昨年は1946年蒸留のMacallanを頂いた。今年は何が頂けるか楽しみに、新東名から伊勢湾岸、東名阪を走って津へ。だがその前にもう一つのお楽しみ、松阪牛を食べに海津本店へ。

車で行って飲めないと寂しいので、津から近鉄に乗って30分ほどの松ヶ崎、という無人駅へ。そこから伊勢街道沿いを10分弱歩くと、巨大な海津本店の看板が出現。店もとても大きな和風建築、まるで大旅館。部屋に通されると今度は窓から大きな庭園が見える。なんだか凄い。

これまでは和田金とか牛銀にお邪魔していたけれど、地元の方はどうやら海津に行くらしい、と言うのを聞いてこちらにやってきたので期待も高まる。確かに松阪の中心部からは離れるので、観光客がこちらに来るというのもなかなか難しい。

家族3人で焼肉定食1人前とすき焼き定食2人前を注文。焼肉定食というと1000円ぐらいでお釣りが来そうな感じがするが、お値段8600円也。なぜかすき焼き定食の方が100円だけ高い。部屋に火鉢があって、そこに炭を敷いて網の上で仲居さんが肉を焼いてくれる。結論から言うと、こんなに旨い焼肉を食べたのは石垣島のやまもとで焼肉食べて以来2回目。正直びっくりするレベル。その後食べたすき焼きもただ柔らかいだけでなく肉の旨みが強く伝わって美味しかったが、焼肉だけずっと食べても幸せだったかもしれない。焼肉はレモンスライスの浮いた特製のタレにくぐらせてから網焼きにする。一人前わずか4切れだが、満足度は非常に高い。あまり火を通さずにすぐにレアで頂くので下手すると肉だけなら3分ぐらいで完食できるかも。時速20万円弱。次回は予約して200gのステーキとか食べるともうとろけるしかなくなるような気がする。

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そしてまた津まで戻り、家人をホテルに帰してBar Ambar(アンバール)へ。1年ぶり3回目。

今年の目玉はSpringbank Millennium Editionの50年だった。昨年の訪問もマスターに覚えていただいていた。改めて思うが、この店のオフィシャルのオールドボトルや限定ボトルの在庫には圧倒される。日本でこんなに残っているところは他にあるのだろうか、というレベル。マスターにそう言うと、「いやー田舎なんで頼む人があんまりいないんですよね」とのこと。実はワインもそうでして、とおっしゃるので見せていただいたのが97年ペトリュス。そろそろ飲まないとまずいんですけどね…でもラベルにラップを巻くのを忘れていたのでカビが生えてしまって、とのこと。ワイン好きな方にとってはラベルが重要なので、ラベルが傷んだペトリュス飲む人はあまりいないのでは、とおっしゃっていた。今普通に店で買うと100万円近くしますが、ラベル痛んでいるので55万円でいかがですか?と言われてしまった。

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青山のバーラジオで修行されていた時代にウイスキーもワインも相当買われたそうだ。そして津で独立。東京だとウイスキー人口が多いのでバックバーの回転も速くなるが、津だとそこまで売れないので物凄いものが残っている。

Tullibardineの27年のオールド、おそらく60年代蒸留も印象に残る一杯。またGlen Albynも初めて飲んだ。

わざわざ東京から飲みに出かける価値は十分あると思う。来年も間違いなく来るだろう。

 

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その他

年末に築地の宮川食鳥鶏卵店で1時間半並んで合鴨を買い、家で鴨鍋を食べたらあまりの旨さにはまってしまった。年末でなければそこまで混まない上、値段もバカ高くなく、家ですき焼きするのを一度スキップしてぜひ築地で合鴨買って鴨鍋食べてください。
鍋で鴨の脂を炒めてそこに1カップのみりんとしょうゆ、酒、お出しを半カップずつ入れ、煮立ったら合鴨、ゴボウのささがき、セリ、ネギ、焼き豆腐と麩を入れてゆずの皮を削るだけ。とても簡単に幸せな気持ちになれる。京都の鞍馬口駅前の鞍楽ハウディに入っている鶏楽で真鴨を買って合鴨ではない本物の鴨鍋作ったがそれも美味だった。

そして築地のもう一つのおすすめは大政のタコ。友人が某有名イタリアンレストランでのクッキングスクールに参加した時、築地でどこで何を買ったらいいかを教えてもらえるツアーにも連れて行ってもらい、タコはこの店で間違いない、と聞いて来た。築地でタコを売っているところはあっても、タコを塩もみした後茹でているのはこの店だけ。手間がかかるだけあって本当に旨いとのことで、レシピを見ながらリゾットとタコのガーリックソテー作ったが本当に旨かった。

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今年は自分で作るほうもより頑張ろうかと思っております。

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浅草サンボアにて

年末にランニングで浅草に行き、前から行きたかった温泉銭湯の蛇骨湯で汗を流した。流石かつての東洋一の歓楽街、大好きな昭和の居酒屋も含めたくさん惹かれる店があったが、年の暮れに家人をほったらかしにして街をふらふらしている訳にもいかず、後ろ髪を引かれる思いで帰宅。

そして新年を大して意識しないままに私の2018年は始まり、4日から出社、翌日金曜日の夕方には流石に手持ち無沙汰になり、早く切り上げる。さあどうする、そうだ浅草行こう、と思い立ち地下鉄に。

私は銀座線が好きだ。そして丸ノ内線も。古いだけあって浅い地下に作られていてすぐ乗れ、バスのような温かみを感じる。昔は銀座線は終点直前に一瞬停電して車内が真っ暗になっていたような気がするが、それはいつまでだったのだろうか。あるいは記憶違いなのだろうかと訝しみながら構内で反対側のホームに通り抜けできない古い造りの田原町で降り、国際通りを上がる。

いつもの金曜の夜だともっと賑やかなのだろう、ようやく築地の河岸も始まったばかり、まだ休みの人も多いのだろうか、と思いながら路地をぶらつくが、ホッピー通りに辿り着くと楽しそうに飲んでいる人たちが沢山いた。ぼっちだとちょっと入りにくいところもあり、一人で静かに飲める店はないかと探して結局水口食堂に落ち着く。

壁一面に貼られた木札がお品書き、おそらく100以上あるのだろう、なかなかに悩ましい。冷えた体を温めるべく麦焼酎のお湯割りを注文。頼んだカキフライも名物のいり豚も下町の食堂というか居酒屋としてはお上品な量だったので物足りず、肉豆腐を追加したらこれが豆腐ほぼ一丁分が入っているという特大サイズ、最後にぶちのめされる。一人で大テーブルの端に座って皿をつついていたら、松方弘樹を思い起こさせる、貫禄のあるがっしりした体つきをした常連客が入ってきた。藤井、と名前が大きく胸に書かれた外套を着ている。コートではなく、ゴム引きの外套。その下には和服を着ていても全くおかしくない。こういう街にはこういう人がふさわしい、と妙に感心しながら店を出た。

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最後に暴力的に腹が満たされ、寒空の下でまた街をふらつきバーを探す。そういえば浅草にはサンボアがあった。

街が意外とコンパクトなのですぐに店は見つかり、バーにしては明るいライトに店内が照らされているのが通りから見える。もっと古めかしいのかと思ったが店に入るとイメージが覆され、まだ新しいカウンターが肘に気持ちいい。だが寺町サンボアを思い出す。

何を頼もうか、ここでも悩むがバックバーにWolfburnを見つけたのでお願いする。私の好きなCaperdonich蒸留所(閉鎖)のウォッシュ槽が仕込み水のタンクとして使われている、スコットランドで最も北にある蒸留所。2013年1月25日に復興後初めての蒸留が行われた新しいブランド。ラベルに描かれているオオカミはスコットランドの北にはかつて沢山生息していて、言い伝えでは海面を歩くことのできる海狼がいると信じられていた。そしてそれを見ることができた人には幸運が訪れるとされた。

アメリカンオーク樽熟成のまだ若い薄飴色の液体がショットグラスになみなみと注がれる。この店は常にダブルショット。カウンターの上に置かれたコースターのユニオンジャックがチョコレート色のカウンターに映える。そしてあては薄皮つきの落花生。サンボアに来た、と思わせられる瞬間。

f:id:KodomoGinko:20180105202751j:plainコースターには100th anniversary renewed in 2018と書かれていた。落花生の薄皮を乱雑に床に落とすのはためらわれるぐらいの新しさ。

Wolfburn Northlandを少しずつ味わいながら店の中を眺める。どう聞いてもみずほ銀行の管理職のおじさんとしか思えない会話をしている二人連れ以外は若者ばかり、なのにやはり、というか夕刊が置いてあった。読売とスポーツ新聞。当たり前だが寺町サンボアではないので京都新聞はない。今どきの若い人たちは紙の新聞なんて読んだりしないだろう、やはり新聞は綺麗に折り畳まれたままの姿でカウンターの端にあった。

「次は何にしますか?」白いバーテンダーコートを着た若いバーテンダーが聞く。ぐるっと見渡して、季の美のマティーニを頼む。作ってもらっているうちに、若い客が店に入ってきてバーテンダーと新年の挨拶を交わした後、バーテンダーがその客に何か小さく囁き、彼はすぐに照れたように帽子を取った。

店の中では帽子を取る。昔はそれが普通だった気がするが、最近はそんなことを注意する店などほとんどないだろう。新聞にしろ、脱帽のルールにしろ、浅草にはまだ大人の店が残っていた。


外に出るとまだスーパームーンの名残が残っていて、月明かりが街を明るく照らしていた。何かに祝福されているような気分になって家路に着いた。

 

 

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浅草サンボア

食べログ浅草サンボア